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標準化・単純化・徹底化で変化が根づく組織へ。業務改善を持続させるための知見とは

標準化・単純化・徹底化で変化が根づく組織へ。業務改善を持続させるための知見とは

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株式会社スタディストが開催したオンラインセミナー「組織の健康診断で知る強みと課題~4ステップの改善で組織の課題解決に挑む~」の後半では、リーンオペレーションの標準化・単純化・徹底化について解説します。

「何に対してどのように手を付けるべきか分からない」「業務改善をしても、なかなか現場に定着しない」とお悩みの方々に向けて、実践的なヒントをお届ければと思います。

(前編はこちらから)

型に落とし込む「標準化」

標準化のポイントは合理性と再現性

株式会社スタディスト・庄司啓太郎(以下、庄司):可視化ができた後は、標準化に取り組み、会社のスタンダードを決めていくことになります。型への落とし込みをしないと、人によってやり方がバラバラで、時間がかかる手順で業務が行われて業務の再現性がない状態になります。会社の基準を決めることで、業務に対して「合理性」と「再現性」を持たせることが可能になるのです。

例えば、チェーンの飲食店へ行くと、時間や場所、人が変わっても同じ食事が出てきますが、これは再現性がある状態と言えます。また、おそらく使う道具や手順、時間などに統一性があると思いますが、これは合理性がある状態だと言えるでしょう。

完璧を目指さず、再現性と合理性の落としどころを探る

庄司:標準化は大切ですが、再現性や合理性を最初から100点に近づけようとすることが良いわけではありません。改善・改良の余地が残ることを前提に標準化に取り組むべきです。

例えば、チェーンの飲食店では、業務に再現性や合理性がある点は間違いありませんが、もっと効率的な業務オペレーションや、もっと美味しいレシピを追求する余地は必ず残ります。最初から「完璧」を目指し、完璧にならないと始められないとなると、何も始まりません。

現実解を決めることや完璧な標準化にこだわらない姿勢が大事です。

また、過去に引きずられすぎないことも大切です。標準化をする際は、過去に決めたことを根拠にしてしまいますが、過去のやり方ではなく、合理的なやり方を考えながら再現性のある状態を目指すようにしましょう。

シンプルにする「単純化」

現場に潜む“無駄”を見つけて削ぎ落とす視点

庄司:標準化と単純化のどちらを先にすべきかについては議論が分かれるところではありますが、我々は意図的に標準化を先に、そして単純化を後にしています。完璧にはできないことを前提としながら一度標準化をして、そのあとに単純化していくことが大切です。

単純化とは、業務に潜む無駄を削ぎ落としていく作業です。無駄が発生しやすい状況は、次の通りです。

数あるものの中から必要な物品や情報を探すこと。次に何をすべきか、どこに行くべきか分からずに迷うこと。情報を紙に書いたり、パソコンに入力したりすること。物品等の個数を数えること。ある地点からある地点まで歩いて移動すること。次の業務に着手できず、物品や情報の到着や完成を待つこと。物品を手で保持し、別の場所に移動させること。

このような無駄が発生しやすいので、工夫の余地を探る必要があります。

単純化の鍵は無くす・減らす・寄せる・任せる

庄司:無駄が発生しやすい状況はある程度決まっていますが「無駄なのでやめましょう」と頭ごなしに言われても、作業者としてはどこに無駄があるか分からず、改善しにくいものです。無くす・減らす・寄せる・任せるという4つの観点から無駄をなくすように提案しています。

次の話を例に、無駄をなくすための4つの観点を考えてみましょう。

朝と夕方に全員でオフィスを掃除している場合、この業務をどれだけ単純化できるでしょうか。

極論ですが、「無くす」の観点からオフィスの掃除をやめてしまえば、業務は単純化できます。しかし、それではオフィスが汚れますので現実的な選択肢とは言えません。

「減らす」の観点から掃除の回数を減らし、朝だけ掃除をしてはいかがでしょうか。夕方に掃除をしてからすぐに退勤するにもかかわらず、朝も掃除することはあまり意味がないとも考えられます。「掃除の回数を減らす」という単純化は、合理的な方法と言えるでしょう。

「寄せる」の観点を取り入れると、掃除のロッカーを1か所にまとめ、掃除の時間を短縮できるかもしれません。

「任せる」の観点を取り入れると、掃除は外部の方に依頼したり、お掃除ロボットを取り入れたりする方法が考えられます。

もちろん「みんなで掃除をすることに意味がある」というご意見もあると思いますが、あくまでも単純化の観点から考えた時には、無くす・減らす・寄せる・任せるの4つの視点から業務効率化を目指すことが可能です。4層フィルタ
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現場に定着させる「徹底化」

MORSの法則に従って明確な基準を提示する

庄司:徹底化とは、業務現場において業務プロセスや作業手順を正しく現場に定着させるようにシステム化することです。

「可視化や標準化、単純化に取り組んだはずなのに、改善されていない」という場合は、徹底化の部分ができていないわけです。徹底化までやり切れていないのは、ダイエットに取り組もうとしたものの体重が変わっていない状態と同じです。決めたことを実践し続けることで初めて取り組む意味がありますので、徹底化のプロセスは重要です。

「テキパキ動いてください」と指示を出しても、それはただのイメージの共有でしかありません。生産性を上げるには、誰が見ても分かる状況にする必要があります。

重要なのは、現場の行動変容につながる具体性と分かりやすさがあることです。MORSの法則に基づき、計測可能である定量性、観察可能である客観性、誰が見ても同じ行動だと承認できる信頼性、何をどうするかが分かる明確性を提示することが大事です。MORSの法則とは、行動科学マネジメントにおいて、より具体的な行動変容に繋げるための原則です。特に以下の4つの要素を重視します。MORSの法則

例えば、スーパーの品出しの場合には「テキパキ動いてください」はただの掛け声なので業務効率化の観点から見ればあまり意味がありません。MORSの法則に則って考えると、次のように指示できます。

「1ケース60個を10分で並べてください」「棚の手前側に商品が揃えられ、廃棄する段ボールが畳まれた状態で作業完了です」「作業の実績時間を1日1回記録してください」「作業実施時は段ボールカッターを使い、賞味期限順に手前に寄せ、両手で一つずつつかんで作業してください」

このように指示ができれば、徹底化のラインが見えやすく、基準が明確になります。

徹底化の壁を突破するには?“できていない理由”に応じた2つの原因と対策

庄司:呼びかけたり基準を決めたりしても、上手く徹底化できない場合も少なくありません。徹底化できない要因として「そもそも行動できていない」と「行動はしているものの結果が伴っていない」の2パターンが考えられます。この要因を解消できれば、徹底化できるようになるはずです。

まずは行動が伴わないケースです。

新方式の存在を忘れている場合は、忘れないように通知や警告を表示する仕組みを作ります。新方式を使う必要がない場面だと勘違いしたり、つい癖で慣れた方法で取り組んでしまったり、新方式が嫌いであえて旧方式を貫いたりしている場合は、新方式しか受け付けないルールに変更することが考えられます。

続いて、行動はしているものの結果が伴っていないケースについてです。

分かったつもりでいたが理解できていなかった場合は、正しく理解しているかどうかの理解度チェックテストを導入することが考えられます。慣れない方式に戸惑っている場合は、慣れるためのトレーニング機会の提供が必要かもしれません。スキル不足により十分に操作できなかった場合は、スキル向上を目指します。新方式自体に不備がある場合は、仕組化やシステムの改良を通して不備を解消します。

原因と対策が合わない状態だと、いくら声掛けをしても何も変わりません。原因に対してしっかり対策を打つことが重要です。徹底化の壁
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質疑応答

Q:自社では現場が協力的ではなく、業務改善を進めても途中で頓挫してしまうことが多いです。どのように現場を巻き込むべきでしょうか?

庄司:我々のような他社のサービスを活用することも一つの選択肢ですが、自社で業務改善に取り組む場合は役割を分けることが大事だと思います。

業務を推進する立場の人と改革する立場の人は、真逆の結論を出さなければいけない場面があるものです。一人にさまざまな業務をお願いすると、その人自身の中で矛盾が起きて動きにくくなるので、業務改善を進めるための専任の担当者を置くことがポイントになるかと思います。

Q:業務一覧表を作成する際は、個人単位で業務を割り出すものでしょうか。また、何度か「生産性」という言葉が出てきましたが、生産性はどのような基準で測れば良いでしょうか。

庄司:業務一覧表は部署や部門単位で作成すると分かりやすいと思います。元となる情報は個人で作成しても良いのですが、情報を集約して部署や部門ごとにまとめた方がさまざまな気づきを得られるでしょう。

生産性については、時間で見ることがもっともシンプルな方法だと思います。アウトプットとしては、売上や製作物の数が目安になります。例えば、どの作業に何時間かけて、製品が何個できたかを測ると生産性が割り出せるはずです。

Q:診断結果で「徹底化」が伸びしろポイントとなりました。ここを伸ばすには、具体的には何をすれば良いでしょうか?

庄司:徹底化ができていないパターンはよく起こります。まずは行動が伴っていないのか、行動はしているが結果が出ていないのかを確認しましょう。その上で、原因を解消するための対策をしていきます。

「これをすれば徹底化ができます」という万能薬のようなものはありませんが、会社が抱えている課題に応じて徹底化のために工夫できることはさまざまです。

お店に行くと、床に足跡のマークが2つ描かれているものがありますが、足跡のマークには「立ち止まってください」という指示をしなくとも、無意識的に立ち止まる効果がありますよね。あのような工夫も徹底化の一つだと思います。

安全を徹底するには「安全を徹底しましょう」と呼びかけるのではなく、床に足跡を2つ描いておくような、誰もがそこで立ち止まるような工夫を呼びかけ以外でできると良いと思います。

Q:弊社では属人化している業務が多々あり、課題を感じています。属人化している業務の見える化や、標準化を進めるうえでのポイントがあれば教えてください。

庄司:属人化している要因を分けて考えた方が良いと思います。代表的な要因としては、仕事そのものが複雑な場合と、「私しかできないのだ」と気持ちの面で心理的ブロックがかかっている場合に分けられるはずです。

もしブロックがかかっている場合は、いかにそのブロックを解くかが大事になってきます。ご本人はその仕事に誇りを持たれているのですが、その人にしかできない業務があることは組織にとってはリスクです。会社としては望ましくないということを丁寧に伝える必要があると思います。

まとめ

本セミナー後編では、リーンオペレーションにおける「標準化・単純化・徹底化」の実践ステップを解説しました。

業務の再現性と合理性を高める標準化、無駄を見直す単純化、行動定着のための徹底化の3段階を通じて、組織改善の持続性の高め方を具体例とともにご紹介しました。現場に変化を根づかせたい企業にとって、明日から実践できるヒントとなれば幸いです。

(前編はこちらから)

リンオペ度診断を受ける
話し手
庄司 啓太郎
株式会社スタディスト
取締役副社長

東京工業大学卒。国内シンクタンクにて、都市計画等の調査業務に従事。その後、株式会社インクスにて、設計支援システム導入や、製品開発プロセス改革や、業務分析のプロジェクトリーダーを歴任。同社マネージャー職を経て、2011年1月インクスを退社。同年2月に株式会社スタディストに参画。