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業務効率化は一度きりでは終わらない 「こだわり」と「割り切り」を問い続けることの重要性

業務効率化は一度きりでは終わらない 「こだわり」と「割り切り」を問い続けることの重要性

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業務効率化のための施策を導入しても、現場の理解や実行が伴わず、上手く機能しないケースは少なくありません。改善内容を定着させるには経営層によるゴール設定や担当者の適切な割り振りなど、組織全体で向き合うべきことがあります。

株式会社スタディストでは、業務効率化の専任体制を整えるとともに、「こだわり」と「割り切り」の線引きを通じて、組織の実態に合わせた変革を提案しています。

本記事では、同社取締役副社長である庄司啓太郎に、改善を機能させるための仕組みづくりや、経営層や管理職に求められる役割、従業員のエンゲージメントの向上に欠かせない視点について聞きました。

前編はこちらから)

専任体制で役割を明確にすることが業務効率化の肝

――まずはリーンオペレーションの実践例について伺います。業務効率化の担当者は内部から抜擢するのが良いのでしょうか。それとも外部の方を採用して進めた方が良いのでしょうか?

庄司:内部から抜擢するか、外部の方を採用するかはその企業の風土などにも左右されるので一概には言えない部分かと思います。むしろ大事なことは、業務効率化に専念できる体制や担当者、時間を設けることです。

目の前のことに時間をかけながら丁寧に取り組む通常業務と、業務効率化のように“減らすこと”に焦点を当てる改善業務は、相反する性質を持っています。一人の人間が両方を担当すると、役割に矛盾が生まれて仕事を進めにくくなるため、業務効率化については専任体制を推奨しています。

――相反する性質を持った別部署の従業員から理解を得られずに、業務効率化の仕事が進めにくくなることはないのでしょうか。

庄司:そもそも会社として改革・改善を行う必要性をきちんと説明し、業務を改革する人としての役割をつくることで、周りの従業員も受け入れてくれるように思います。業務効率化の担当者は、業務のあるべき姿をジャッジする人として、選手と審判のように役割をはっきりと切り分けて、改善業務に取り組んでもらいます。

また、業務効率化が遂行された先に、会社全体へのインセンティブを用意することで、快く受け入れてもらえる場合もあるでしょう。

――業務効率化は、期間を設けながら短期的に行うものでしょうか?

庄司:業務効率化は一時的に行うものではなく、問いを持ちながら絶えず取り組んでいくものです。もちろん時期を決めて集中的に業務を整理するタイミングはありますが、ある程度落ち着いてからも、常に機能させなければなりません。

その理由として一番大きいのは、仕事はいつの間にか増えてしまうものだからです。売上や利益を増やすために、店舗や従業員、業務などを増やすというのは自然な流れですが、その一方で減らす目線を持っておかないと業務は際限なく増えていき、結果的には現場を圧迫します。減らす目線を持ち続けるためには、常に業務効率化を専任で担当する従業員がいることが理想的です。

経営者にしか描けないゴール設定の重要性

――業務効率化にあたって、経営者に求められることは、どのようなことでしょうか?

庄司:経営者の方にお願いしたいことは、ゴールをできるだけ明確に描いていただくことです。前編で「こだわり」と「割り切り」についてお話したように、まずは会社としてこだわっていく部分と目をつぶって割り切る部分の境界線を引いていただきたいです。

「どのように実現するか」というHOWの部分は、当社のような外部企業に委託することができますが、ゴールを描くことは経営者にしかできません。何にこだわり、何を割り切り、いつまでにどれくらいの規模にしたいのか、という点は経営者の方に考えていただく必要があります。

――ゴールは細かく設定する必要があるのでしょうか?

庄司:ゴールが明確であればあるほど、私たちもさまざまな打ち手を考えられます。しかし、必ずしも細かく決めておく必要はありません。例えば飲食店の場合、「カジュアル路線か高級路線か」、「店舗を増やしていきたいのかそうではないのか」、「いつ頃までに実現したいのか」といった項目は、最低限明確にしていただきたいです。

カジュアル路線も高級路線もどちらも正解だと思います。どちらの路線に行くべきかは経営戦略に関わる重要なテーマなので社内でしっかり軸を定める。そうすると、自ずとどう業務効率化を進めるかも見えてきます。

――スタディストの業務効率化サポートの具体的な事例を教えてください。

庄司:ある大手外食チェーンのお客様から「3割程度の余力をつくり、できた余力は新規事業に投じていきたい」というご相談を受けました。ご相談を受けた段階で、明確に「3割の余力をつくる」という数字が決まっていた案件です。

従業員が一堂に会し、丸1日かけて業務を可視化するワークショップを行いました。経営層から一方的に業務効率化の指示をするのではなく、会社を巻き込みながら改善を進めていった事例です。

当社のサポートを実施した結果、従来業務を7割の人員でカバーし、残りの3割の人員は新規事業のチームに異動させることができました。目標が明確に決まっていたので、可視化・標準化・単純化などをシビアに進めた事例です。
スタディスト副社長の庄司

 

管理職が業務効率化に向き合うときの“板挟み”の難しさ

――経営者からの相談が多いようですが、管理職や部署のリーダーから相談を受けることもありますか?

庄司:そうですね、管理職の方からもご相談をいただきます。管理職の方が中心となって業務効率化を行うことは、経営者の方が中心となって業務効率化を行うのとは少し違った難しさがあると考えています。なぜなら、管理職の方は与えられた役割の中で管理業務をしているので、部署によっては業務効率化とは相反するミッションを背負っている場合があるからです。

例えば、会社全体としては業務効率化を推進したいものの、管理職として品質を保証する部署にいる場合、「業務効率化をしなければならないが、品質を守るためには細かい業務にも時間をかけたい」という矛盾が発生します。会社全体のゴールと部署のゴールの角度が若干ズレて、板挟みになって動きにくい場合が見られます。

――そのような場合は、どのように業務効率化を進めると良いのでしょうか?

庄司:会社の方針と自分の役割の間に溝を感じたまま業務を進めると、立ち行かなくなる場面が出てきます。その場合は、溝を見過ごさずに、、まずは関係者に相談しながら、どんな溝が生まれているのかを整理していくことが重要です。

「機会の報酬」と「意味づけ」が従業員のエンゲージメントに繋がる

――従業員のエンゲージメントを上げるためには、何が大切だとお考えですか?
庄司:会社が従業員に提供できるものとしては、金銭的な報酬に加えて「機会の報酬」があると考えています。「さまざまな場で、チャンスをどれだけつくれるか?」という部分が会社としての役割の一つではないでしょうか。個人の願望と会社の業務が上手く接続される形を考えるようにしています。

――個人の願望と会社の業務の接続について、詳しくお聞かせください。
庄司:例えば、若手社員にプレゼンテーションを任せる場合、ある人は「面倒な業務を押し付けられた」と感じ、ある人は「良いチャンスをもらえた」と捉える可能性があります。同じ業務を任せる場合でも、その人自身の願望やタイミングによっては、同じような仕事が負担にも喜びにもなるわけです。

「このような場でプレゼンできる機会はなかなかないので、成長のためには頑張った方が良いし、あなたにとって良いタイミングだと思うよ」と丁寧に説明することで、「もしかしたら成長のチャンスかも」と捉え直してもらえる場合もあります。特に上司の方は、部下の業務に対して丁寧に意味づけをすることが大事なのではないでしょうか。

話は少しズレますが、日頃から「意味づけ」をする癖のある人は、どんな仕事を与えられても楽しみながら活躍されているような印象があります。「意味づけ」というものは働く上では大事な考え方かもしれません。
スタディスト副社長の庄司

 

社会環境が厳しくなる今こそ、会社の本来のあるべき姿を問い直すタイミング

――今後の展望について教えてください。
庄司:業務効率化を実現したいと思われているお客様をあらゆる形でサポートしたいと考えています。当社にはさまざまな業務改善のためのツールがあり、それが事業の核となっていますが、ツールは適切に使ってこそ価値を発揮します。適切な活用方法をお伝えしたり、ツールではカバーしきれない部分をキャッチアップしたり、ツールでは埋まらない溝を埋めていけるように力を尽くしていきたいです。

――最後に、業務効率化について不安を抱えている経営者の方に向けてメッセージをお願いできますか?
庄司:この先、人口減少を含めて社会環境が厳しくなることは明らかです。現在の延長線上の効率化だけでは立ち行かなくなる瞬間が必ず来るでしょう。そのような時だからこそ、会社の本来のあるべき姿を問い直すタイミングなのではないでしょうか。

経営者が「こうなりたい!」というゴールを持っていれば、それを起点にさまざまな変革を起こせます。まずは「こだわり」のポイントと、その裏にある「割り切り」のポイントを整理することで、業務効率化の第一歩を踏み出していただきたいです。

取材・文:小町ヒロキ

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話し手
庄司 啓太郎
株式会社スタディスト
取締役副社長

東京工業大学卒。国内シンクタンクにて、都市計画等の調査業務に従事。その後、株式会社インクスにて、設計支援システム導入や、製品開発プロセス改革や、業務分析のプロジェクトリーダーを歴任。同社マネージャー職を経て、2011年1月インクスを退社。同年2月に株式会社スタディストに参画。