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なぜ業務改善が進まないのか?可視化と目標設定がリーンオペレーション成功への第一歩

なぜ業務改善が進まないのか?可視化と目標設定がリーンオペレーション成功への第一歩

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株式会社スタディストがオンラインセミナー「組織の健康診断で知る強みと課題~4ステップの改善で組織の課題解決に挑む~」を開催しました。

本セミナーでは、同社 取締役副社長の庄司啓太郎が、人口減少という社会的背景を踏まえ、企業が筋肉質な体制をつくるための「リーンオペレーション」の考え方と実践手順について解説しています。

特に改善の第一歩となる「可視化」について、業務一覧表を活用した具体的な手法や業務の優先順位付けの方法などを中心に、明日からすぐに実践するためのポイントをご紹介しました。

はじめに

株式会社スタディスト・庄司啓太郎(以下、庄司):スタディストは「オペレーションから、働き方と未来を変えていく」をミッションに、BtoB向けのクラウドサービスの開発やシステム立ち上げ、運用に付随するビジネスサービスの提供などを行っている会社です。

以前は「伝えることをもっと簡単に」というミッションを掲げていましたが、より広い範囲でオペレーション全体を変えていける存在になりたいということで2025年3月にミッションをリニューアルしました。

私は同社の取締役副社長兼リーンソリューション事業部長として、コンサルティング・研修・アウトソーシング等のソリューションを提供しています。これまでの経験をもとに、組織が陥りやすい問題や対応策について解説していきたいと思います。

深刻化する人口減少と企業に求められる“筋肉質”な組織づくり

庄司:皆さんもご存じだと思いますが、日本の人口減少は深刻な状況であると言わざるを得ません。2022年1月1日から2023年1月1日の1年間の間に日本の人口は約80万人減少しています。山梨県や佐賀県、大阪府堺市、静岡県浜松市などの人口がごっそり消えたと考えると、いかに急速に人口が減っているのか想像できると思います。

危機的な人口減少のなか、企業の側としては「筋肉質な状態」、つまりリーンな状態になる必要が出てきます。当社は、リーンな状態とは「業務改善と人材成長のサイクルが継続的に回り続けている状態」と考えています。

業務プロセスの手順が定まって人材が適材適所に配置される。そして、本部と現場が連携しながら、効率的に動いて現場の作業ミスや手戻りを未然に防止する。さらに、現場からの改善提案が集まって新たな付加価値を創出するためのチャレンジができる。

この一連のサイクルが回ることで、業務のプロセスが改善され、成果・成長が報われ、リーンな状態が達成されると言えるでしょう。

リーンオペレーションの5ステップ

庄司:リーンな状態を実現するためのステップとして我々が提唱しているのが「リーンオペレーション」です。

現状を把握するための「可視化」、型に落とし込むための「標準化」、シンプルにする「単純化」、現場に定着させる「徹底化」、価値を高める「価値強化」の5つのステップで構成されています。

可視化・標準化・単純化・徹底化は、オペレーションの無駄を省くためのダイエットのような位置づけです。価値強化は、より強くなるためのトレーニングのような位置づけとなっています。

業務の改善や生産性の向上については、無駄をそぎ落とすことに焦点が当たりがちですが、何もかもを削ってガリガリになることが良いわけではありません。やみくもに減らせば良いわけではなく、筋肉を伴った健全な状態を目指すべきです。

生産性を考える際に、投入資源を減らすことばかり考えるのではなく、投入資源をスリムにしながらも、創出される付加価値をいかに増やすかという「パワーアップのためのトレーニング」をすることが大事だと考えています。

今回のセミナーでは、無駄をそぎ落とす部分にあたる可視化・標準化・単純化・徹底化を中心に詳しく解説します。「そもそも何から取り組めばよいのか?」というお悩みを解消できるように、考えていただきたいポイントについてご説明します。リーンオペレーション5つのステップ
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業務改善の前に目標を設定し、組織の“ありたい姿”を言語化する

庄司:「リーンオペレーション診断」とは、あなたの会社がどの程度「無駄のない効率的な運営」を実現できているかを診断するツールです。業務の効率化や生産性向上に取り組みたい企業にとって、現状把握の第一歩として活用できる実用的な診断サービスといえるでしょう。

診断では、リーンオペレーション実現のための4つのステップである「可視化」「標準化」「単純化」「徹底化」の各段階で、自社がどの程度のレベルにあるかを評価します。結果として、会社が得意とする領域と、生産性を高めるための「伸びしろポイント」が明確になります。

さらに希望者には、リーンオペレーションの専門知識を持つコンサルタントが診断結果の詳細な解説を行い、具体的な生産性向上のヒントを提供するサービスも用意されています。

リーンオペレーション診断を受けていただくと、頻出する課題があります。価値を提供できているか、目的・目標が定まっているか、推進するための力があるか、という3点です。この3点が揃っていない限りは、可視化や標準化などの「how」を整えても、状況は前進していかないと思います。

この中で最も大事なのは、目的・目標を定めることです。例えば「筋肉質になること」は誰しも良いことだと分かっていると思いますが、筋肉質にもさまざまな種類があります。相撲取りのように瞬発的にパワーを出せる筋肉を必要とする場合もあれば、マラソンランナーのように長時間パワーを出し続けられるような筋肉を必要とする場合もあるでしょう。

我々がフィットネスクラブへ通う際も「どういう身体になりたいですか?」と聞かれるはずです。「何を目指すのか?」という部分を定めなければ、物事を前に進めることは難しいのです。

さらに、目標の程度も考えなければなりません。週末に近所を走れたら満足なのか、マラソン大会に出場したいのか、オリンピックに出たいのかによって鍛え方の度合いは変わるでしょう。どのような方向で、どの程度のレベルを目指すのかを定めることが重要です。

現状を把握する「可視化」

業務改善を頓挫させないための3つの視点

庄司:ダイエットに取り組む際、自分の体重や体脂肪率を把握しなければ手の打ちようがないことと同様に、業務効率化においても、まずは業務の実態を把握しなければなりません。しかし、やみくもに状況を把握しようとすると、取り組むことが膨大なのでプロジェクトが頓挫してしまいます。

そこで、可視化するにあたって考慮すべき点を3つに絞りました。

1つ目は「観点」です。何について、どの範囲で調べるべきかという部分です。把握すべき範囲をあらかじめ定めることで、作業の終わりが見えやすくなります。

2つ目は「形式」です。どのような形式で整理していけば使い勝手が良いか、という部分です。可視化のために作業する際は、調べ方やまとめ方を決めておきましょう。

3つ目は「精度」です。どこまで緻密に精度を求めて取り組むべきか、どれくらいの時間をかけるべきか、という部分です。緻密であればあるほど良いと思われがちですが、決してそんなことはありません。調査にかかる時間やコストを鑑みると、ある程度ざっくりと調べるだけで十分という場合も多いものです。

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業務一覧表で全体像を整理してマニュアル化の優先度を見極める

庄司:可視化を実行するにあたり、我々が提案しているのは業務一覧表の作成です。誰でも作成しやすく、さらに利便性も高いために作成することをオススメしています。

業務一覧表を作成する目的は、業務の全体像を可視化・体系化し、質・量の観点からマニュアル化の優先度を決定することです。

あくまでも一例ですが、表の左側には「網羅性」と「粒度」を両立させながら業務項目を抽出し、業務の全体像を体系化しています。表の右側には「業務量」「難易度(質)」の両面評価とマニュアルの整備状況を整理します。これらを組み合わせることで、マニュアル化の優先度を割り出すことが可能です。

業務の一覧表を出すためには個人で取り組んだり、チームでディスカッションしながら取り組んだり、ワークショップ化したり、やり方はさまざまです。業務一覧表

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「人数×時間×頻度」から業務の総量を数値で捉える

庄司:業務を洗い出す作業は大切ですが、それだけで満足すると可視化は進みません。定量的・定性的な評価を右側に記入することが業務効率化には大切です。

定量的なものとして、業務に関わっている時間の総量を洗い出していきます。作業にあたる人数や一回の作業にかかる時間、1ヶ月に取り組む回数を掛け算します。計算式にすると、「人数」×「時間」×「頻度」です。

例えば、5人集まって2時間の会議を月に1度開催している場合、総量は10時間になります。「月1回であれば大した時間を使っていないはず」と感じるかもしれませんが、そうとも言えません。

10時間という時間は、1人が1日フルタイムで勤務し、さらに2時間程度の残業をした場合の時間です。「1人が丸1日稼働するだけの価値がこの会議にはあるのか?」と考えると、時間の重みがより感じられるでしょう。

その仕事にどれくらいの時間をかけているのか、またそれは仕事全体の何%なのかを把握します。このパーセンテージが大きい業務は、効率化によるインパクトが大きいため、優先的に改善する必要があると判断できます。

業務の難易度をA・B・Cで分類しマニュアル化を進める

庄司:定性的な部分としては、業務の「難しさ」を分類し、業務の「あるべき姿」を定め、マニュアル化の対象とすべきかどうかを判断します。

難易度Aはプロが取り組む感覚型の仕事です。経験や知識から都度判断しなければならない、不確実性のある高度な業務が多いです。お客様との商談や、熟練工の技などがこれにあたり、マニュアル化するのではなく経験機会を増やす方向を目指します。

難易度Bはセミプロが取り組む選択型の仕事です。型がすでにいくつかあり、条件に応じて手順を選択して行う業務です。機器の設定やシステム操作などが難易度Bにあたり、マニュアル化を目指すべき部分になります。

難易度Cはアマチュアが取り組む単純型の仕事です。手順が明確で、手順さえ知っていれば誰でも行える業務です。機器操作や書類の記入などが難易度Cにあたり、マニュアル化を目指すべき部分になります。

業務一覧表を作成し、BやCの部分から順番に仕組化していきましょう。多くの会社ではAの仕事は全体の2割程度で、残りの8割はBやCの仕事が占めています。全体に対するインパクトを考えると、業務の8割を占めるBやCから早めに手を付けていくことが重要です。ABC分類の表

まとめ

本セミナー前編では、人口減少が進む社会において企業が持続可能であるために必要な「リーンオペレーション」について解説しました。

業務改善の5ステップ(可視化・標準化・単純化・徹底化・価値強化)のうち、今回は「可視化」に焦点を当て、業務一覧表を用いた実践的な手法や、業務量・難易度による優先順位付けの考え方をご説明しました。業務改善の課題を解決するためのヒントになれば幸いです。

(後編はこちらから)

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話し手
庄司 啓太郎
株式会社スタディスト
取締役副社長

東京工業大学卒。国内シンクタンクにて、都市計画等の調査業務に従事。その後、株式会社インクスにて、設計支援システム導入や、製品開発プロセス改革や、業務分析のプロジェクトリーダーを歴任。同社マネージャー職を経て、2011年1月インクスを退社。同年2月に株式会社スタディストに参画。