About Lean Operationsリーンオペレーションとは
リーンオペレーションの実現は、今後の日本社会において欠かせません。その背景には、将来的な人口減少が挙げられます。
日本は人口減少が加速しており、その中でも生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口)の減少は深刻な課題です。2020年時点の7,406万人から、2065年には約40%減の4,529万人になると推測されています。
(参照元:第1章 高齢化の状況(第1節 1)│内閣府)
それに伴い、GDPの低下も危惧されています。労働人口が減ることは確実であるため、企業もこれまでと同じ体制では収益を維持できません。また、グローバル競争が激化している中で、高品質かつ低コストな製品・サービスが求められています。
これらの背景から、より少ない人員でより多くの付加価値を生み出す必要があり、その方法としてリーンオペレーションが重要であるといえます。
リーンオペレーションとは
リーンオペレーションとは、組織の生産性向上に向けて、オペレーション改善と価値強化を継続的に行っている状態のことを指す言葉です。組織のオペレーション(業務や作業)を効率化し、それによって生まれた余力を再投資することで、生産性が高まります。
常に改善を繰り返し、長期にわたって継続していくことが、リーンオペレーションの本質です。つまり、短期的な成果や絶対的な完成形を追い求めるものではなく、企業の長期的なビジョンやスタンスを定着させることが鍵となります。
生産性向上とは何か?
そもそも生産性とは、投入する資源(インプット)に対する生産量や付加価値(アウトプット)の比率を指します。つまり、投入したヒトやモノ(設備・機械・ソフト)などに対して、どれだけの成果や付加価値を作り出せたかが生産性の指標です。投入資源の大きさに対して得られた付加価値が小さければ、生産性は低いと判断できます。
生産性向上は、インプットに対してアウトプットの比率をいかに増やすかが焦点となります。しかし、生産性向上の取り組みとして広く実施される経費削減や採用抑制は、企業として我慢を強いる施策であり、時として必要なインプットまで削ってしまいかねません。
真に生産性向上を目指すのであれば、「アウトプットの増加」と「インプットの削減」を別々に行うのではなく、一体的な取り組みとして捉える必要があります。
すなわち、現状のオペレーションを改善して余力を生み出し、それを必要な箇所へ再投資するということです。
そのような取り組みが実現できれば、同じ人員・設備でも効率的に成果を出せます。むやみにインプットを削るのではなく、目的を果たすための再投資をサイクル化させることが、生産性向上のあるべき形です。
リーンオペレーションの概要
リーンオペレーションでは、オペレーションの「可視化」から始まり、「標準化」「単純化」「徹底化」のステップを経て、投入資源を最適化するための余力を生み出すことで「価値強化」を図ります。これらは一時的な取り組みで終わるのではなく、常に循環させていくことが重要です。
また、新たな考え方を組織に定着させるためには、誰から見ても明確なフレームワークが必要です。リーンオペレーションのフレームワークは、以下に挙げる「5つの視点」と「9つのステップ」の組み合わせから構成されます。5つの視点を踏まえ、9つのステップでオペレーションの無駄をなくしていきます。
9つのステップは、以下のように構成されています。
- STEP1-現状の可視化:現在の業務のプロセス / 手順を把握する
- STEP2-標準化 / 単純化:プロセス / 手順が定まり継続的に改善できる
- STEP3-徹底化(外部化):BPOで業務を外部化しリソースを最適化できる
- STEP4-徹底化(自動化):業務を自動化してリソースを最適化できる
- STEP5-徹底化:効果的な人材育成ができる、適切にアサインできる
- STEP6-徹底化:現場が迷わずに、日々の業務ができる
- STEP7-徹底化:作業のロス、手戻り発生を未然に防止できる
- STEP8-価値強化:業務を行った結果を評価して価値を強化できる
- STEP9-価値強化:改善行動を確実に実行できる
企業ごとに課題のある通過点(ステップ)が明確になり、「我々はいまどこにいて、次はどこを目指すべきか?」を全員で正確に共有できるようになりました。9つのステップは単なるToDoリストではなく、組織変革の"道のり(ロードマップ)"そのものを構造化したものです。
リーンオペレーションにおける
「5つの視点」
まず前提として、効率的なオペレーションを構築するためには、企業や事業としてのゴールを明確にする必要があります。そうすることで企業としての判断基準が生まれ、オペレーション構築の方向性がはっきりとするからです。
では、どのような観点からゴールを設定すればいいのでしょうか。これは業界やビジネスモデルによって異なります。例えば商品・サービスのコンセプトや、価格・数量、顧客接点など、要素が関係します。
より具体性のあるゴールを設定し、自社に不足しているものや余分なものを把握することで、効果的なオペレーション遂行が可能です。
オペレーションを構成する
「5つの要素」
リーンオペレーションにおける5つの視点は、そのまま「企業のオペレーションを構成する要素」とも言い換えられます。
そして、その要素を3つの階層に分類することで、より関係性が明確になります。具体的には、土台の部分に「ルール」、その上に「プロセス」があり、さらに「リソース(ヒト・モノ・時間)」があるというイメージです。
この階層構造で考えた場合、どれだけリソースをつぎ込んでも、土台であるルールが不明確だと揺らぎやすくなることが分かります。良いオペレーションを構築するためには、ルールをしっかりと固めた上でプロセスを定義し、その後にリソースを投入することが大切です。
ルール
土台となるルールは、「原則」や「前提」とも言い換えられます。これらを明文化し、遵守意識を現場レベルで定着させることが重要です。
企業における原則や前提を突き詰めると、以下の2点に集約できます。
- 従業員として重んじるべき価値観(Value)
- 行動する上での規範(Principle)
これらは、従業員に「どうあるべきか」あるいは「どうあってはいけないか」を示す判断基準です。社内の基本方針として、価値観や行動規範の認識を共有することで、全員が同じ方向を向いて業務に取り組めるようになります。
ただし、実際に原則や前提を定着させるためには、より具体的で分かりやすい定義が必要です。企業によって内容は異なりますが、短いフレーズで直感的に表現した方が定着しやすくなります。
顧客・製品への向き合い方や、組織のあり方と個々の役割、成長意識などの規範を定着させることが、リーンオペレーションの土台となります。
プロセス
企業におけるプロセスとは、部署や人の間をまたぐ「業務の流れ」を指します。リーンオペレーションの実践は、業務プロセスをいかに最適化していくかが根幹です。
しかし、業務プロセスは大抵の場合、全体像が見えにくいという課題があります。工場のラインのような例外もありますが、ほとんどの業務はさまざまな部署・人が関わるため、分断されて捉えにくくなっています。
業務プロセスを最適化するためには、まずそれぞれの業務を洗い出して定義し、定量的に把握する必要があり、具体的な流れを記述して可視化しなければなりません。業務と呼ぶべきものがどれだけあるか、その業務を誰がどのような順序で行っているか、といったことを整理することが、業務プロセス最適化の第一歩となります。
リソース(ヒト・モノ・時間)
ルールとプロセスをしっかりと構築したら、そこに投入するリソースに目を向けます。
第一のリソースである「ヒト」は、単純な必要数だけでなく、どのようなスキルを持った人が必要かを考えます。業務遂行に必要なスキルはどのようなもので、それを保有しているのは誰か、過不足はないかなど、スキル面からの実態把握が重要です。
第二のリソースである「モノ」は、道具や設備を指します。これらは最新・高性能なものほど良いと思われがちですが、あくまで業務プロセスに必要十分なものを投入することが鍵となります。用途や場面、機能・性能、使用時の要求スキルなどを考慮し、最適なものを選ぶことが重要です。
最後のリソースである「時間(工数・時期)」においては、スムーズに業務が進むよう、無理のないスケジュールの組み立てが求められます。業務にかかる時間を正確に把握し、いつからいつまでの間に終わらせるのかという適切なコントロールが必要です。
なお、ここまでの解説に「カネ(資金)」が含まれないことに疑問を持つ人もいるかもしれません。しかし、資金はあくまで「手段」であることに注意が必要です。
つまり、カネ(資金)そのものはオペレーションを構成する要素ではなく、それらの要素を用意するための媒介的存在に過ぎません。資金だけがいくらあっても意味がなく、5つの要素を適切に準備して整えることが、オペレーション構築の基本であることに留意しましょう。
リーンオペレーション実現への
「9つのステップ」
ここからは、リーンオペレーションを実現するためのステップをどのように進めるのか、具体的な内容を紹介します。各ステップの要点を把握し、適切なアクションを起こしていきましょう。
STEP1-可視化
可視化のステップでは、まず現状の業務のアセスメントを行い、特定の個人に依存している「暗黙知」を組織共有の「形式知」へと構造化します。AI対話型プロセス生成や既存資料の読み込みを通じて、これまで管理者すら把握しきれていなかった「隠れ業務」を含む業務の全体像を抽出します。このプロセスにより、担当者の不在が組織の損失に直結する脆弱性を解消し、客観的な改善に着手するための基盤を構築します。
STEP2-1 -標準化
可視化されたプロセスに基づき、「標準品質・標準時間・標準アウトプット」の3要素を定義して組織の「型」を確立します。自己流の作業を排除し、誰でも一定時間内に同品質の成果を出せる状態を作ることで、業務のばらつきを抑制し、教育コストの削減や客観的な評価基準の整備を実現します。
STEP2-2 -単純化
標準化されたプロセスから付加価値のない作業を排除し、「誰でも実行できる」効率的な構造を築きます。単なる時短ではなく、専門知識や複雑な判断を不要にすることで、新人や外国人材が即戦力化できる持続可能な基盤を整えることが目的です。
あらゆる工程を「疑う」視点で見直し、多様な人材が活躍できるリーンな体制を確立することが本ステップの到達点です。
STEP2-3 -業務の振り分け(Routing)
標準化・単純化された業務をその性質に基づき、「判断創造系」「定型作業系」「自動処理系」の3つに分類し、実行主体を最適化します。限られた人的資源を、顧客価値に直結する高付加価値業務に集中させることが目的です。
このルーティングにより、リソースの分散や重要業務の不用意な流出を防ぎ、持続的な成長に向けた「リーンオペレーション」の体制を確立します。
STEP3 -外部化
自社で担うべきでない定型作業を切り分け、リソースを高付加価値な「判断創造系業務」へ再配分します。自前主義を脱却し、専門性の活用やコストの変動費化、リスク分散を通じて組織の柔軟性と競争力を高めます。
STEP4 -自動化
定型業務をAI・RPAへ代替し、人を「判断創造系」へ集中させます。ミスを構造的に排除し、人的リソースの創造性を解放するプロセスです。
AIを「代理実行パートナー」と定義し、人とAIがそれぞれの強みを活かし合う「協働モデル」の確立を目指します。
STEP5 -育成効率化・定着化
指導者の資質に依存しない「仕組みによる育成」を確立し、新人の早期戦力化と定着を支援します。客観的な習熟度管理により、採用コスト削減と持続的な成長を実現します。
育成を「個人の熱意」ではなく「組織のインフラ」として整備することで、多様な人材が自走できる土台を構築します。
STEP6- 安定遂行
「検索・確認・迷い」による非稼働時間を撲滅し、価値創造に集中できる環境を構築。個人の能力に頼らず、情報の構造化・一元化という「仕組み」で解決を図ります。
本ステップにおいては、現場の「迷い」を組織の改善アラームと捉え、定期的にFAQやマトリクスを更新し続ける体制が重要です。情報が常に一元化されたナレッジベースを整備し、誰もが迷わず動ける「業務の滑走路」を維持することが、強靭な現場力へと直結します。
STEP7- 手戻り防止
エラーを個人の過失ではなく「仕組みの脆弱性」と捉え、再発を構造的に防ぎます。「誰が(ヒト)」ではなく「何が(コト)」に主眼を置くことで心理的安全性を確保し、失敗を組織の知恵に変える「学習する組織」へと転換します。
これらの対策をSTEP 2の「標準プロセス」へ反映し、マニュアルを更新し続けることで、個人の注意力に依存しない強靭なオペレーション体制を確立します。
STEP8- 価値強化
価値強化のステップでは、効率化によって創出した時間・コスト・人材の「余力」を、新たな顧客価値の創造へ戦略的に再投資します。単なるコスト削減をゴールとせず、余力を「成長(顧客価値)」「人(定着・育成)」「強靭化(リスク耐性)」の3分野に配分することで、組織の競争力を増幅させます。
守りの改善で得たリソースを攻めの価値向上へ転換し、乗数効果による持続的成長の基盤を確立することが本ステップのゴールです。
STEP9- 改善定着
変革を一時的なイベントで終わらせず、自律的に進化し続ける組織文化を確立します。リーダー依存を脱却し、全従業員が「現状の疑いと再構築」を日常的に繰り返すことで、強靭な組織力と持続的な生産性向上を実現します。
改善が組織の日常に溶け込み、常に自己進化を続ける強靭なオペレーション体制が、ここに進むべきゴールとして完成します。
スタディストが提供するサービス
スタディストは生産性向上のパートナーとして、企業のリーンオペレーション実現を支援しています。
「可視化」「標準化」「単純化」「徹底化」「価値強化」の悩みに応じたシステムと人的サービスの幅広い提供が可能です。
これらを通して、企業の成長と競争力向上に貢献し、持続可能な成功を共に築いていく。
それが、私たちが実現したいことです。
生産性課題やオペレーションの改善について悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談ください。
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