
インドネシアにおける会社の解散・清算手続
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インドネシアでは、事業撤退やグループ再編等を背景に現地法人の解散・清算を検討する企業も少なくない。会社を終了させるには、営業活動の停止だけでなく、株主総会での解散決議、清算人の選任、債権者公告等の手続を適切に行う必要がある。本稿では、インドネシアにおける会社清算手続の基本的な流れと規制内容について概説する。
目次
概要
インドネシアで会社を法的に終了させるためには、会社法上の「解散」事由と、その後の「清算」手続を経る必要がある。会社法は、解散事由として以下を規定している(インドネシア会社法2007年第40号(以下、「会社法」という)第142条第1項)。
(a) 株主総会の決議
(b) 定款上の存続期間の満了
(c) 裁判所の決定
(d) 破産宣告が取り消されたものの、会社財産では破産費用を支払えない場合
(e) 会社の破産財団が支払不能と判断された場合
(f) 事業許可が取り消され、法令上、清算が必要となる場合
実務上、任意に会社を閉鎖する場合には、株主総会により解散を決議し、併せて清算人を選任することが一般的である(第142条第3項)。
解散後の会社の法的地位
解散事由により会社が解散した場合であっても、その時点で直ちに法人格が消滅するわけではなく、清算が完了し、清算人の報告が株主総会または裁判所により承認されるまで、法人格を維持する(会社法第143条)。ただし、解散後の会社は、清算目的の範囲を超えて新たな法律行為を行うことはできず、会社財産の整理、債権者への弁済、残余財産の分配等、清算に必要な範囲でのみ行為することができる(会社法第142条第2項)。また、解散後は、会社が発出する対外的な書面に清算中である旨を表示する必要がある(会社法第143条)。
解散決議および清算人の選任
任意解散の場合、会社の解散は株主総会により行われる。取締役会、監査役会、または議決権付株式の10分の1以上を有する株主は、株主総会において会社の解散を提案することができる。株主総会における解散決議は、会社法および定款に定める定足数・決議要件に従って行う(会社法第144条)。解散の効力は、当該株主総会決議の日に発生する。株主総会決議において清算人が選任されない場合、取締役会が清算人として行動する(会社法第142条第3項)。
債権者公告
会社解散後、清算人は、解散日から30日以内に会社の解散を債権者に通知するとともに、新聞およびインドネシア共和国官報(Berita Negara Republik Indonesia)に公告しなければならない。また、会社が清算中である旨を会社登録簿に登録するため、法務人権大臣に対しても通知する必要がある。公告には、以下の事項を記載する必要がある。
(a) 解散の法的根拠
(b) 清算人の氏名および住所
(c) 債権届出の方法
(d) 債権届出期間
債権者の届出期間は公告日から60日間とされている(会社法第147条)。清算人が債権者への公告・通知や大臣への通知を行わなかった場合、会社の解散を第三者に対して主張することができない。また、この通知義務の不履行により第三者に損害が生じた場合、清算人は会社と連帯して損害賠償責任を負う(会社法第148条)。
また、清算人は、会社の資産および負債を登録・整理し、債権者への弁済、残余財産分配計画の作成、株主への残余財産の分配を行う。債権者は、当該残余財産分配計画に異議がある場合、公告日から60日以内に異議を申し立てることができる(会社法第149条)。所定期間内に債権届出を行ったにもかかわらず、清算人により拒絶された債権者は、拒絶日から60日以内に地方裁判所に請求を提起することができる。また、債権届出期間内に届出を行わなかった債権者も、会社解散公告日から2年以内であれば、地方裁判所を通じて請求を行うことができる(会社法第150条)。

清算人の責任、解任および交代
清算人が会社資産の整理義務を履行しない場合、利害関係人の申し立てにより、地方裁判所長は新たな清算人を選任し、従前の清算人を解任することができる。また、取締役の選任、一時停止、解任、権限、義務、責任および監督に関する規定は、必要な変更を加えたうえで、清算人にも準用される。清算人は、会社財産および債権者・株主の利害を取り扱う立場として、会社法上の責任を負う(会社法第142条第6項、第151条)。
清算報告および法人格の終了
清算が完了した場合、清算人は、株主総会または清算人を選任した裁判所に対して清算報告を行う。その後、株主総会による完全な免責および責任解除、または裁判所による清算人報告の受領を経て、清算人は清算の最終結果を大臣に通知し、新聞に公告しなければならない。法務人権省は、これらの手続が履行された後、会社の法人格終了を会社登録簿に登録し、会社名を会社登録簿から削除する(会社法第152条)。
また、会社閉鎖を行う場合には、会社法上の手続に加え、税務、労務、許認可等の整理も必要となる。手続に要する期間は、会社の資産・負債の状況、未払債務、従業員の有無、税務上の確認事項、許認可の整理状況等により異なるが、実務上は6ヵ月から1年程度を要することが一般的である。









