
インドネシア競争法の基本と主な規制対象
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インドネシアで事業を展開する日系企業にとって、現地企業との取引や販売・流通網の構築における取引条件の設定や価格政策は、競争法上の重要な論点となる。特に、販売価格の取扱いや取引先に対する制限によっては、意図せず競争法違反と評価されるリスクもある。本稿では、インドネシア競争法の基本的な規制内容について概説する。
目次
競争法の概要
インドネシアの競争法は、市場における公正な競争を確保し、特定の事業者による過度な支配や不公正な取引を防止することを目的としている。対象は事業者間の協定に限られず、単独行為や取引先に対する制限も含まれる。特に、価格、販売地域、取引条件など、競争に直接影響を与える行為が規制される点に特徴がある。また、当該規制の執行はKomisi Pengawas Persaingan Usaha(KPPU)が担っており、違反が認定された場合には制裁が課され得る。
事業者間の競争制限に関する協定
競争法において主に問題となる点は、事業者間の競争制限的な協定である。特に、価格拘束協定では、他の競争事業者と、同一の関連市場向けの特定の商品またはサービスについて、需要者または消費者が支払う価格を固定するべく何らかの協定を締結してはならない(独占的行為および不公正な事業競争の禁止に関する法律1999年第5号(以下、「競争法」という)第5条)。価格には販売価格だけでなく、割引率やリベート等も含まれると解され、協定は書面に限らず、口頭や黙示の合意であっても成立し得る。
市場分割協定も重要な規制対象であり、販売地域、顧客、販売数量等を分担することにより競争を回避する行為をいう。これらは価格競争やサービス競争を制限するため、独占または不公正な競争を生じさせるおそれがあり、法令上禁止されている(競争法第9条)。
さらに、カルテル協定は、生産量や販売量の調整を通じて価格に影響を与える合意を指し、市場メカニズムを歪める典型的な行為とされる。また、共同ボイコット協定は、複数の事業者が特定の事業者との取引を拒絶し、市場から排除することを目的とするものであり、競争排除効果が強い。法令上、カルテル協定、共同ボイコット協定のいずれについても禁止されている(競争法第10条、第11条)。
取引先に対する制限
自社と取引先との関係において競争を制限する行為も、取引先の事業活動の自由を制限し、市場競争を歪めるおそれがあるため、競争法上の規制対象となる。典型例として、再販売価格拘束は、取引先に対して一定価格以下での販売を禁止する行為であり、流通段階における価格競争を直接的に制限するものとして違法となり得る(競争法第8条)。また、排他的取引として、特定の相手方または特定の地域に限定して再販売させる行為や、競合他社からの商品またはサービスの購入を禁止する行為も規制されている(競争法第15条)。
さらに、一定の商品やサービスの購入を条件として他の商品を購入させる、いわゆる抱き合わせ取引や、価格や割引に条件を付す形で取引先の行動を制限する行為も問題となり得る(同条)。これらの行為は、形式上は通常の商取引条件として設定されることが多いものの、その実質が取引先の選択の自由を制限し、市場における競争を阻害する場合には、違法と評価される可能性がある。

市場支配および単独行為
競争法においては、事業者単独の行為であっても、市場に対する影響力が大きい場合には規制対象となる。事業者が商品の生産または販売を支配し、独占的行為または不公正な競争を生じさせることは禁止されている(競争法第17条)。特に、単独またはグループで市場シェアが50%以上の場合や、2〜3社で75%以上を占める場合には、市場支配が推定され得る(競争法第25条)。また、市場支配的地位を利用して、競争事業者の活動妨害、参入阻害、差別的取扱い、取引拒絶等を行うことも規制される(競争法第19条)。さらに、廉売や支配的地位の濫用も禁止されている(競争法第20条、第25条)。
競争法は、価格、取引条件、販売地域など幅広い要素を対象としており、企業は契約内容のみならず、取引実態全体を踏まえて法令遵守を図る必要がある。









