
インドの労働組合制度と労使関係の基礎
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労働組合の組成は労働者にとって重要な権利であり、インドでもこれが保証されています。インドでは労働組合活動が活発といわれており、労働組合と会社との紛争が大きな事件へと発展することもしばしばあります。本稿では、インドにおける労働組合について、その概要を説明します。
目次
インドにおける労働組合制度の概要
インドでは、労働組合を組成する権利が憲法上保証されています(インド憲法〔Constitution of India〕19条(1)(c))。また、法令上、労働組合の組成に特別な要件は設けられておらず、組成そのものは自由であるため、いかなる労働者であっても労働組合を組成することが可能です。
もっとも、2025年11月21日より施行された労使関係法典(Industrial Relations Code, 2020)、それ以前であれば労働組合法(Trade Union Act, 1926)に基づく登録を受けた労働組合でなければ、労働争議に関して民事上および刑事上の免責を受けることはできません。したがって、労働組合として活動するうえでは、同法に基づく登録を受けることが事実上重要です。
労働組合の定義と登録要件
先述のとおり、インドでは労働組合の組成自体は自由ですが労使関係法典の登録を受けなければ、労働争議に関して民事上および刑事上の免責を受けることはできません。
同法上、「労働組合(Trade Union)」とは、一時的か永続的かを問わず、労働者と使用者、労働者と労働者、使用者と使用者の関係を規律することを主たる目的として結成された団体と定義されています(同法2条(zl))。
また、労働組合として登録を受けるためには、組合員数が7名以上であることに加え、当該施設に従事する者のうち10%または100名のいずれか少ない方の人数が当該労働組合に加入していることが求められています(同法6条)。

労働組合に認められる免責
登録を受けた労働組合の組合員には、刑事上・民事上の一定の免責が認められています。たとえば、登録を受けた労働組合の組合員であれば、労働組合の目的を促進するために行われた組合員間の合意について、共謀罪に問われることはありません(労使関係法典17条)。また、労働争議を企図し、またはその促進のために行われた行為について、それが事業や雇用の妨害となったとしても、そのことのみをもって民事責任を追及されることもありません(同法16条)。
団体交渉の流れ
労働組合との団体交渉は、一般的に図表2のような過程を経ます。
なお、労使協定については、締結が調停手続き外で行われるか、調停手続き内で行われるかによって法的効果が異なります。具体的には、調停手続き外で交わされた労使協定は、当事者(すなわち使用者と労働組合員)のみを拘束しますが、調停手続き内で成立した労使協定は、組合への加入の有無を問わず、当該施設における全労働者に効力が及びます。
また、調停手続き外の労使協定であっても、当事者間の合意により、組合員であるか否かを問わず全労働者に当該協定を適用させることも可能です。

ストライキのルールと制限
団体交渉の一環として、労働組合がストライキを実施する場合があります。ストライキを行う際には、14日前から60日前までの事前通知が必要となるなど、一定の制限が設けられています(労使関係法典62条)。
また、調停・仲裁・裁判といった紛争解決手続が係属している期間中は、ストライキを実施することはできません(同条)。









