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日系企業のインド人材採用はなぜうまくいかないのか

日系企業のインド人材採用はなぜうまくいかないのか

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インド市場への進出や事業拡大に伴い、多くの日系企業がインド人材の採用に取り組んでいます。一方で、「採用活動がスムーズに進まない」「採用できてもすぐに辞めてしまう」「期待した成果が出ない」といった課題を抱える企業も少なくありません。本稿では、日系企業がインド人材採用で陥りやすい失敗パターンと、それを回避するための考え方を、現場視点で解説します。

インド人材の採用が難しい理由

インド人材の採用が難しいと言われる理由は、日系企業各社のプレゼンスの問題ではありません。多くの場合、日本人が前提としている「採用の常識」と、インドの「労働市場の実態」とのズレが原因です。この違いを十分に理解しないまま採用を進めると、採用活動が滞るだけでなく、入社後の活躍につながらず、結果として早期離職を招いてしまいます。

以下では、実務の現場でよく起きてしまうミスマッチの中から、代表的な3つの例をご紹介します。

日本基準の採用が招きやすい3つのミスマッチ

希望給与を満たさなくても採用できると思ってしまう

インド人材が転職活動を行う理由の多くは、給与や役職の向上です。転職時に期待する給与水準は、現年収の20〜30%アップが一般的で、期待する給与や役職に届かない場合、転職を選択しないケースが大半です。
給与以外の要素に魅力を感じれば、希望給与に満額届かなくても転職を決断することがある日本人と比べると、インド人材は待遇を軸にした判断が非常にシビアだと言えます。そのため、できる限りコストを抑えて採用しようとする企業のオファーは、辞退されてしまうことも少なくありません。

事前に候補者の希望給与や役職に対する期待値をできる限り明確に把握したうえで、選考プロセスを進める必要があります。

オファー承諾後は辞退せず入社してくれると思ってしまう

前述の通り、インド人材が転職活動を行う主な理由は給与アップです。そのため、内定を承諾した後であっても転職活動を継続し、より良い条件のオファーを受けた場合、入社前日であっても辞退されてしまうことがあります。

候補者にとって納得度の高いオファーとなっているか、また現職での退職手続きが完了しているかを丁寧に確認したうえで、オファー承諾から入社までの期間をできる限り短縮するなど、時間的な余地を与えない工夫がリスク軽減につながります。

役割や職務範囲が曖昧でも頼めば何でもやってくれると思ってしまう

インド人材は、自身の役割や責任範囲を明確に理解したうえで、入社の意思決定を行います。「状況に応じて何でもやってほしい」といった、日本の総合職的な期待は、インド人材には好まれないケースが多いです。

一方で、インド事業の立ち上げ期にある日系企業では、複数の役割を兼務して活躍できる人材を求めるニーズが高いのも事実です。その場合でも、役割や責任範囲、業務比率などを、将来的な拡張可能性も含めてジョブディスクリプションに明確に定義したうえで、スキルセットや志向性の合致した人材を採用することが重要です。
日本とインドのズレ

書類選考・面接で重視すべきポイント

インド人材の採用選考においては、学歴や企業ブランド以上に、以下の点を重視する必要があります。

・転職理由に一貫性があるか
・通勤に過度な負荷がかからないか
・自身の役割や業務内容、成果を具体的に言語化できているか
・募集ポジションに対する企業側の期待と、本人の期待や志向性が合致しているか

特に転職回数だけで判断してしまうと、優秀な人材を見逃してしまう可能性があります。「なぜ転職したのか」「次に何を期待しているのか」を丁寧に確認したうえで評価することが重要です。

おわりに

ご存じの通り、インドはあらゆる面において多様性の高い国です。今回は、よくあるパターンや傾向についてご紹介しましたが、実際の採用活動では、候補者ごとに期待値や志向性は大きく異なります。

一般的な傾向を踏まえつつも、「インド人だから」と一括りにするのではなく、一人ひとりの「はたらく」に対する価値観を理解し、歩み寄ろうとする姿勢を持ち続けること。それこそが、インド人材と共に笑顔で協働できる未来につながると信じています。

執筆者
藤井 健吾
PERSOL India Private Limited
Regional Manager, South India

新卒でパーソルテンプスタッフ株式会社に入社し、人材派遣・紹介の法人営業およびキャリアアドバイザーを担当。パーソルキャリア株式会社へ転籍後、副業・フリーランス領域の事業拡大に従事。2023年にパーソルインド(グルガオン)へ赴任。2025年に南インド拠点立ち上げのためバンガロールへ移り、在インド日系企業向けの人事・採用支援と個人の転職支援を行う。

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