
インドの派遣労働の仕組みと派遣元・派遣先の義務
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インドで事業を行う際には、現地の労働者を採用する場面も多いかと思います。採用にあたっては、雇用契約を締結し、直接雇用する形態が一般的です。一方で、派遣元から労働者を受け入れる「派遣労働」の形も広く用いられています。本稿では、インドにおける派遣労働の概要について解説します。
目次
インドにおける派遣労働法制の概要
日本の派遣労働に類似する制度として、インドでも、雇用主が労働者を直接雇用するのではなく、派遣元(contractor)から派遣労働者(contract labour)の派遣を受ける仕組みが存在します。
派遣労働者の直接の雇用主は派遣元であり、派遣労働者と派遣先との間に直接の雇用関係は生じません。そのため、派遣先が派遣労働者の使用を停止したとしても、解雇には該当しません。派遣労働者は厳しい解雇規制の対象とならないなど、派遣先にとって利用しやすい制度であり、多くの日系企業が活用しています。
派遣労働者に関しては、1970年派遣労働(規制及び禁止)法(Contract Labour(Regulation and Abolition)Act, 1970。以下「派遣労働法」という)によって規律されています。

派遣労働法の適用対象
派遣労働法は、以下のいずれかに該当する場合に適用されます(派遣労働法1条(4))。
① 過去12ヵ月間のいずれかの日に、20人以上の労働者(workmen)を派遣労働者(contract labour)として受け入れる、または受け入れていたすべての事業所。
② 過去12ヵ月間のいずれかの日に、20人以上の労働者(workmen)を雇用している、または雇用していたすべての派遣元(contractor)。
労働者(workmen)の定義は、雇用条件が明示的か黙示的かを問わず、報酬を得て熟練・半熟練・未熟練の肉体労働、監督的業務、技術的業務、または事務作業を行う者を指します。ただし、経営的または管理的立場にある者などは含まれません(同法2条(1)(i))。
同法の適用対象となる事業所は、派遣労働者を受け入れる事業所として登録を行う必要があります(同法7条)。登録がない場合、派遣労働者を受け入れることはできません(同法9条)。日本の派遣労働制度では、派遣先に登録義務は課されていませんが、インドでは派遣労働者を受け入れる側にも一定の登録義務が課されている点に注意が必要です。
なお、同法の適用対象となる派遣元についても、派遣労働者の派遣を行うためには許認可の取得が必要です(同法12条)。
派遣元の義務
派遣元は、派遣労働者の直接の雇用主であり、賃金の支払いをはじめとする各種の雇用主としての義務を負います。
派遣元に付与される許認可には、労働時間、賃金、福利厚生などに関する条件が付される場合があります(派遣労働法12条)。この点、1971年派遣労働(規制及び禁止)中央規則(The Contract Labour(Regulation and Abolition)Central Rules, 1971)25条(2)(v)では、派遣労働者が派遣先の正規労働者と同等の業務に従事している場合、労働時間、賃金、休暇などの勤務条件についても同等の条件を適用すべきことが定められています。
派遣元は、許認可に付された条件を遵守する義務を負い、これに違反した場合には、許認可の取消や停止の対象となる可能性があります(派遣労働法14条)。
派遣先の義務
派遣労働者の直接の雇用主は派遣元であるため、原則として労働条件に関する責任を負うのは派遣元です。
もっとも、派遣元が派遣労働者に賃金を支払わない、または一部しか支払わない場合には、派遣先が未払い分の賃金を支払う義務を負うこととなります(派遣労働法21条(4))。派遣先がこのような支払いを行った場合には、派遣元に対して求償請求を行うことができます(同条)。










