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MORSの法則で「曖昧な指示」が「具体的な行動」に変わる

MORSの法則で「曖昧な指示」が「具体的な行動」に変わる

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業務効率の低下や成果が出ない要因のひとつに「曖昧な指示」が挙げられます。その曖昧さを取り除き、具体的な行動へ落とし込むフレームワークとして注目されているのが「MORSの法則」です。本記事ではMORSの法則の基本構造について解説するとともに、業務の効率化や人材育成における活用方法を紹介します。

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MORSの法則とは

「MORSの法則」は行動科学マネジメントにおける概念のひとつで、曖昧な指示や抽象的な表現を排除し、誰もが理解・実行・再現できる指示へ変換するフレームワークです。その名称は、「Measured(計測できる)」「Observable(観察できる)」「Reliable(信頼できる/再現性がある)」「Specific(明確化されている)」の頭文字を取ったもので、「モアーズの法則」と読みます。

曖昧な指示は受け手によって解釈が分かれやすく、行動の方向性や優先順位にズレが生じる原因となります。また、手法や手順が曖昧な状態では業務の再現性を担保できないため、特定の個人に依存する属人化を引き起こしかねません。このようなシーンにおいて、経験や勘に基づく属人的な「暗黙知」を言語化・明確化し、曖昧な指示を排除して行動の一貫性を保つフレームワークがMORSの法則です。

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MORSの法則を構成する4つの要素

MORSの法則は属人的な知識や抽象的な判断基準を明文化することで、再現性の確立と業務の標準化を促進する仕組みとして機能します。MORSの法則を構成する基本的な要素は以下の4つです。

M(Measured):計測できる

目標や行動を具体的な指標で示し、成果を定量的に評価・比較できる状態にすることを指します。例として「売上高を伸ばす」や「品質を改善する」などの曖昧な目標では、何をどこまで実現すべきかの具体性がなく、従業員の認識にズレが生じかねません。これを「売上高の前期比増加率10%を目指す」や「下半期の歩留まり率は90%」のように定量化することで、関係者全員が同じ基準で認識できるとともに、進捗状況や達成度を具体的な数値として可視化できます。

O(Observable):観察できる

第三者がその行動や成果を実際に見て確認できる状態を意味します。たとえば「積極的に行動する」や「業務プロセスを改善する」といった目標は抽象度が高く、その達成度が評価者の主観に左右されがちです。そのため、成果に対する認識や評価にばらつきが生じるおそれがあります。こうした曖昧な目標を「毎朝、上司に当日の営業計画を報告する」「週に一度、既存業務の改善案を提出する」といった具体的な行動指針に落とし込めば、実施の有無や達成度を客観的に判断できるため、評価の一貫性を確保できます。

R(Reliable):信頼できる/再現性がある

個人の能力に依存することなく、特定の状況下で常に同じ結果が期待できる、またはその行動が安定して継続できることを意味します。「積極的に会議に参加する」や「顧客のメールはすぐに返信する」といった表現では、人によって解釈や実行レベルに差が出やすく、再現性が担保されません。ここで「会議中に最低1回は発言する」と明文化することで、発言の有無という明確な判断基準が定まります。また、「顧客のメールは24時間以内に返信する」と設定すれば、送受信履歴などを通じて実行状況を客観的に評価できます。

S(Specific):明確化されている

誰が見ても曖昧さがなく、「誰が」「何を」「どのように」「いつまでに」といった具体的・特定的な表現を指す概念です。たとえば「設備の稼働状況を確認する」「丁寧な日報を作成する」といった指示は具体性が欠如しており、人によって解釈が異なるため、認識や行動の方向性にズレが生じかねません。これを「確認項目をチェックリストに沿って3回見直し、その結果を日報に記載して報告する」といったように判断基準や行動内容を明確化できれば、誰が実行しても同じ水準の成果が期待できます。

【具体例あり】MORSの法則はどのように活用すべきか

MORSの法則を活用するには、曖昧な指示や抽象的な表現を言語化・明確化していくことが重要です。ここではその際必要となる4つのポイントと具体例を取り上げます。これらを押さえておくことで、組織マネジメントの質向上につながる活用方法が理解できます。

指示内容の理解度・納得感を高める

指示がうまく伝わらない原因の多くは、具体性の欠如や背景の説明不足などにあります。MORSの法則を活用することで、指示がより具体的で納得感のあるものへ変化し、従業員の理解と共感を得やすくなる点がメリットです。たとえば部下に「提案書を可能な限り早く提出してほしい」や「なるべく早く提出してください」と依頼した場合、「早く」の定義は人によって異なり、受け手は迷いを抱えたまま行動しなくてはなりません。

これをMORSの法則に基づき、「◯月◯日◯時までにA社向けの提案書(3ページ以上・PDF形式)を共有フォルダに保存する」と具体的な指示を出せば、求められている成果物の内容や納期が明確化され、認識の齟齬を最小限に抑えることができます。さらに、指示にMORSの法則を取り入れることで「なぜこの業務が必要なのか」という理解が深まり、従業員の主体的な行動を育む基盤となります。

従業員の自発的な行動促進につなげる

曖昧な指示では「何を求められているのかわからない」という不安を生む可能性がありますが、明確な判断基準や行動の根拠を示すことで納得感を伴う自発的な行動につながります。一例として「現場の作業効率と安全性を高めたい」と言われても、多くの従業員は何から着手すべきなのか、また何をどう改善すべきなのか理解できません。

そこで「週に1回、現場の改善点をチャットで共有する」「毎週月曜日の朝礼で改善案をディスカッションする」などの具体的な行動指針が与えられると、従業員は自分の役割や求められる成果の解像度が高まります。また、従業員自身が「どんな行動が評価されるのか」を意識するようになり、結果として主体性の向上や組織の活性化が期待できます。

業務評価の公平性を実現する

人材のパフォーマンスを最大限に引き出すためには、公正・公平な人事評価制度が不可欠です。従業員の能力や貢献度などが正しく評価されない環境では業務へのモチベーションを保てず、労働生産性の低下や離職率の悪化を招く要因となります。したがって、業績考課・能力考課・情意考課における評価項目と評価基準を明確化し、MBO(目標管理制度)と連動させることが必要です。

営業部門なら「BtoB営業の商談化率30%以上」「月次の既存顧客離脱率3%以内」などの評価項目・評価基準を設けることで、単純な成約件数だけでなく、成約に至る過程や成果の質に焦点を当てた評価が可能となります。これにより、トップセールスだけが評価される過度な成果主義を是正しつつ、行動力や意欲の高い人材、顧客維持に貢献しているメンバーなども評価される公正・公平な仕組みが整います。

業務改善を定着化する

業務改善を目的として標準化や単純化に取り組んでも、必ずしも期待した成果が得られるとは限りません。たとえば工場で労働災害の防止に取り組んでいるにもかかわらず、事故や負傷が繰り返されるといったケースです。そのような場合、MORSの法則を意識しながら既存の指示内容や業務フローを見直す必要があります。

たとえば「作業時は事故や負傷に注意する」のように抽象的な指示では、どんなリスクに注意すべきか把握しきれません。このような場合は作業時の危険要因を明文化した安全衛生チェックリストを整備し、「作業開始前に安全衛生チェックリストを必ず確認・記入する」といった具体的な取り組みが必要です。それにより、作業時の危険を事前に想定できるため、安全意識の定着と労働災害の予防につながります。

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まとめ

MORSの法則とは、曖昧な指示や抽象的な表現を具体的な言語・数値に変換する行動科学マネジメントの手法です。「Measured(計測できる)」「Observable(観察できる)」「Reliable(信頼できる/再現性がある)」「Specific(明確化されている)」の4要素で構成されており、属人的な「暗黙知」を客観的で共有可能なものへと変換します。この仕組みを取り入れることで、業務の標準化や再現性の向上、人材育成や業務改善の効率化が期待できます。

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