
インドネシアにおける企業買収手続き
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インドネシアでは経済成長を背景に、事業拡大や市場参入の手段として、国内外の企業による買収が活発化している。買収は単なる株式取得にとどまらず、経営権や支配構造に影響を与える重要な取引である。本稿では、インドネシア会社法に基づき、買収の定義、株主・債権者の権利、総会決議の要件など、企業買収の手続きについて概説する。
目次
買収の定義
インドネシア会社法2007年第40号(以下、「会社法」という)では、会社の買収を、法人または個人が株式を取得することにより、会社の支配権を取得する法的行為と定義している(会社法第1条第11項)。支配権の取得は、対象会社の取締役会を通じて、または既存株主から発行済株式、あるいは新たに発行される株式を取得することで行われる(同法第125条第1項)。
買収手続き
インドネシアにおける企業買収手続きは、以下の流れで進められる。
(1)買収計画の作成
対象会社の取締役会を通じて支配権を取得する場合、買収者は、支配権取得の意図を対象会社の取締役会に通知しなければならない(会社法第125条第5項)。
そのうえで、対象会社および買収者の取締役会は、コミサリス会の承認を得て買収計画を作成する必要がある(同第6項)。コミサリス会とは、会社の経営を監督し、取締役会に助言を行う機関であり、日本の監査役に類似する。各社1名以上のコミサリスを選任する必要があり、これらによってコミサリス会が構成されている。
一方、既存株主から株式を譲り受けて支配権を取得する場合には、上記の通知および買収計画の作成は不要とされる(同第7項)。
(2)買収計画の公表および従業員への通知
対象会社の取締役会は、買収に関する株主総会決議の30日前までに、買収の要旨を1紙以上の日刊全国紙で公表し、従業員に対しても書面で通知しなければならない(会社法第127条第2項)。
(3)債権者異議手続き
買収に異議のある債権者は、(1)において公表された日から14日以内に異議を申し立てることができる(会社法第127条第4項)。この期間内に異議申立がなされない場合、債権者は買収に同意したものとみなされる(同第5項)。
異議申立がなされた場合、取締役会は解決を図るが、株主総会の開催日までに解決されない場合は、株主総会において当該異議の内容を報告しなければならない(同第6項)。それでも解決されない場合、当該買収は実施できない(同第7項)
(4)株主総会決議
買収者および対象会社の取締役会は、買収計画を株主総会に提出し、承認決議を得る必要がある。この決議は、議決権を有する全株式の4分の3以上を保有する株主が出席し、そのうち4分の3以上の賛成をもって可決される(会社法第89条第1項)。
定足数を満たせない場合は、2回目の株主総会を開催することができ、2回目では、議決権を有する全株式の3分の2以上を保有する株主が出席し、出席者の4分の3以上の賛成があれば可決される(同第2・3項)。
なお、当該買収が会社または株主に損害を及ぼすとして買収に反対する株主は、会社に対して保有株式の合理的価格による買取りを請求することができる(会社法第62条第1項)。
(5)公正証書の作成
新株発行により支配権が取得される場合、株主総会の承認後、公証人により買収計画を記載した買収証書が作成される(会社法第128条第1項)。この買収証書は、定款変更の承認申請または届出を行う際に、法務人権大臣に提出する必要がある(同法第131条第1項)。
一方、既存株主から株式を譲り受ける場合は、公証人による株式譲渡証書が作成され、株主変更の届出時に添付が必要となる(同法第128条第2項、131条第2項)。
(6)買収結果の公表
対象会社の取締役会は、買収の効力発生日から30日以内に、買収結果を1紙以上の日刊全国紙で公表しなければならない(会社法第133条第1・2項)。










