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2026年改正の労働基準法をわかりやすく解説!主な改正ポイントや今からできる対策も

2026年改正の労働基準法をわかりやすく解説!主な改正ポイントや今からできる対策も

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人手不足の深刻化や働き方の多様化、テレワークや副業の広がりなど、企業を取り巻く環境は大きく変化しています。これに伴い、「労働者の健康を守るための新しいルール」を定める労働基準法の改正が議論されています。本記事では、改正が検討されている背景や主な変更点、企業が今から進めておくべき対応を解説します。※2025年末時点の情報をもとにしています。

2026年労働基準法改正の背景と目的

現在(2025年12月末時点)、労働基準法の改正法案は国会に提出されていません。今後、政府の意向も踏まえ改正内容について議論が深められていく見込みです。

当初、2026年を予定していた労働基準法改正は、単なる制度調整ではなく、働く人と企業の関係性を見直す動きとして議論が進められてきました。まず、「なぜ今、改正が必要なのか?」について背景と目的をまとめます。

労働基準法改正が求められた背景

背景には、社会・産業構造の大きな変化が挙げられます。少子高齢化で労働力人口は減少し続けており、人手不足が進むことで一人ひとりの負担が増え、結果として離職や健康障害につながるリスクが高まります。また企業は限られた人材で生産性の維持・向上をしていかなければなりません。加えて、テレワークの定着や副業・兼業の拡大、プラットフォームワーカー(いわゆるギグワーカー)の増加など、従来の「時間と場所を前提とした働き方」では想定しきれない労働形態が広がっています。

こうした変化の中で、現行制度では連続勤務や長時間労働が発生しやすいといった課題が残っています。これらの背景を踏まえて、法改正では多様な人材が無理なく働き続けられる環境を整備し、労働生産性を高めることを大前提としています。

労働基準法改正の目的

今回の改正の目的は、時間外労働を前提とした働き方そのものを見直すことにあります。以前から厚生労働省は「時間外労働は本来臨時的なものとして必要最小限にとどめられるべきものであり、特別条項付き協定による限度時間を超える時間外労働は、その中でも特に例外的なものとして、労使の取組によって抑制されるべきもの」との姿勢を示しています。

これまでは「労働時間の長さ」を制限することで長時間労働を抑える考え方が中心でしたが、法改正に向けた議論では労働時間の管理に加えて、十分な休息を確保し、心身が回復できる働き方を実現することへと目的がシフトしています。つまり、従業員のウェルビーイングを高めることが、企業の持続的な成長を支えるという考え方が、今回の労働基準法改正の根底にあります。

引用元:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署|改正労働基準法のあらまし(p.2)

2026年労働基準法改正の主要ポイント

ここでは、厚生労働省の検討資料などをもとに現在議論されている主な改正ポイントを整理し、企業実務に及ぼす可能性のある影響を解説します。

連続勤務の上限規制

現在検討されている案では、14日以上の連続勤務を禁止し、最大でも13日までとする方向性が示されています。現行法では「毎週1回の休日」または「4週に4日の休日(変形休日制)」を与えればよいと定められており、いわゆる「4週4休」の運用によって、理論上は最大48日間の連続勤務が可能な仕組みが残っています。この点が、実態とかけ離れた制度上の抜け穴として問題視されてきました。

また、14日間以上の連続勤務は、厚生労働省が定める精神障害の労災認定基準において、心理的負荷が高い出来事として位置づけられています。2週間を超える連続勤務は、長時間労働と同様に心身への負担が大きく、健康障害や離職リスクを高める要因とされています。

こうした背景から、連続勤務そのものに上限(13日)を設け、一定期間ごとに必ず休息日を確保する仕組みへと制度を見直す必要性が議論されています。この規制が導入された場合、シフト制を採用している業種や人手不足の事業場では、休日設計や人員配置の見直しが必要となる可能性があります。

法定休日の明確な特定義務

改正に向けた議論では、法定休日をあらかじめ特定することを義務とする方向性が示されています。具体的には就業規則において「法定休日(例:日曜日)」と「法定外休日(例:土曜日)」を明確に区別して記載することが想定されています。これにより、休日労働に該当するかどうかの判断基準が明確になり、割増賃金率の適用ミスや労使トラブルを防ぐ狙いがあります。

現行法では、就業規則に休日を定める義務はあるものの、「毎週1日」など抽象的な記載でも直ちに違法とはされていません。その結果、どの日が法定休日なのかが不明確なまま運用されているケースもみられます。法定休日に労働させた場合の割増賃金率は35%以上、法定外休日の場合は25%以上とされており、この区別は賃金計算に直結します。休日の位置づけが曖昧なままでは、後から「法定休日労働だった」と指摘され、未払い残業代の問題に発展するリスクも否定できません。

法定休日が特定義務化された場合、企業には就業規則の見直しやシフト管理方法の再設計が求められます。特にシフト制やパート・アルバイトを多く抱える事業場では、休日の指定・変更ルールを明確にし、現場運用まで落とし込む必要が出てきます。

勤務間インターバル制度の義務化

勤務間インターバル制度は現時点で努力義務となっていますが、原則として、11時間以上の休息時間の確保を義務化する考え方が、制度設計の方向性として示されています。勤務間インターバルとは、前日の終業時刻から翌日の始業時刻までに一定時間以上の休息を設ける仕組みです。例えば、23時に退勤した場合は、翌日の始業時刻を10時以降とするといった対応が必要です。

制度見直しが進んだ場合、残業や突発対応が発生しやすい職場では従来の早朝出勤や連続シフトが難しくなり、勤務割の組み方そのものを見直さなくてはなりません。企業には、業務量の平準化や役割分担の見直し、勤怠管理の高度化といった準備が求められます。

この制度の狙いは、単なる労働時間の短縮ではありません。十分な睡眠や私生活の時間を確保し、心身を回復させた状態で次の業務に臨めるようにすることにあります。休息が確保されることで、集中力や判断力の低下を防ぎ、労働災害や業務ミスの抑制にもつながると考えられています。

有給休暇の賃金算定方式の見直し

現行制度では、有給休暇中の賃金について「平均賃金」「通常の賃金」「標準報酬日額」の3つの方法が認められています。一方、日給制・時給制などの場合、算定方法によっては有給休暇を取得すると賃金が大きく減額されうる点が課題として示されています。制度の趣旨(心身の疲労回復や生活の充実)に照らすと、休むことで収入が不利になり、取得をためらう状態は望ましくありません。

こうした問題意識を踏まえ、議論では、例外的に別方式をとらざるを得ない事情も考慮しつつ、原則として「通常の賃金」による算定をとる方向が示されています。通常の賃金を基本とすれば、働いた場合と同水準の支払いとなり、年休取得を阻害しにくくなります。

この見直しが進んだ場合、企業はまず自社が採用している算定方法を把握し、そのうえで就業規則・賃金規程の記載、給与計算の設定、パート・アルバイトを含む説明内容などの運用面の整理が必要です。年休を取りやすい仕組みは、従業員の定着やエンゲージメント向上にもつながるため、早めの棚卸しが有効です。

副業・兼業時の割増賃金算定ルールの見直し

改正議論では、副業・兼業時における割増賃金の算定方法も論点のひとつです。副業・兼業が広がる中で、現行制度は企業側の実務負担が大きく、運用の難しさが指摘されています。

厚生労働省の検討では、労働者の健康確保のための労働時間の通算は維持しつつ、割増賃金の支払いについては通算を要しないよう制度改正に取り組むとしています。仮に割増賃金の通算が不要になる方向で制度が見直されれば、企業は副業・兼業人材を受け入れやすくなる可能性があります。

一方、通算不要にする分、労働者の健康確保についてはこれまで以上に万全を尽くす必要があるとみています。例えば、総労働時間が長時間となっている場合の責任関係や、使用者がとるべき健康確保措置の整理が論点です。

また、制度の抜け道として割増賃金規制を逃れる行為が起きない制度設計が必要です。加えて、同一事業者の別事業場や、出向・兼務など命令に基づき複数の事業者の下で働くようなケースでは、引き続き通算が妥当かといった論点も示されています。企業としては、賃金計算の見直しだけでなく、副業・兼業者の健康管理の仕組み(申告・面談・就業配慮)を整える準備が重要になります。

つながらない権利の確立

「つながらない権利」とは、勤務時間外や休日において、労働者が仕事に関するメール・電話・チャットなどへの対応を拒否でき、対応しなかったことを理由に不利益な扱いを受けないという考え方で、フランスやイタリアなど海外ではすでに法制化が進んでいます。法改正において、つながらない権利は単なる規制ではなく、持続的に働ける環境を整えるための基盤として位置づけられると考えられます。

背景には、スマートフォンやノートPCの普及により、場所や時間を問わず仕事ができてしまう環境が広がったことがあります。フレックスタイム制やテレワークが定着する一方、勤務時間と私生活の境界が曖昧になり、実質的に休めていないケースが問題視されてきました。

ただし、つながらない権利については、直ちに法律で一律に禁止事項を設けるというわけではありません。厚生労働省の検討では、まずはガイドラインの策定などを通じて、労使でルールを明確にする方向性が示されています。例えば、業務連絡が可能な時間帯、緊急対応が必要なケースの範囲、管理職の対応ルールなどを社内で定めることが想定されます。

この考え方が浸透すれば、従業員は安心して休息をとることができ、結果として集中力や生産性の向上につながります。企業側には、成果や役割に基づくマネジメントへの転換や、連絡ルールを前提とした業務設計が求められます。

法定労働時間週44時間の特例措置の廃止

法定労働時間の週44時間特例措置について、廃止を含めた見直しが検討されています。この特例は、商業・サービス業などの小規模事業場(常時10人未満)を対象に、法定労働時間を週44時間まで認めてきた制度です。しかし近年ではこの制度の対象となる事業所の約87%が特例を利用しておらず通常の週40時間制が一般化しており、特例を実際に活用している企業は限定的であり、制度の役割を終えたと指摘されています。

他方、特例が残っていることで、業種や事業場規模によって労働条件に差が生じている点が課題とされています。特例の対象となってきた代表的な業種には、飲食店、旅館業、接客娯楽業、物品販売業(商業)などがあります。これらの業種では、人手不足の中で長時間勤務に依存した運営が行われているケースも少なくありません。こうした背景から、法定労働時間を原則どおり週40時間とする方向性について議論が進められています。

特例が廃止された場合、週40時間を超える4時間分が時間外労働となり、残業代が発生します。特に、小規模な飲食店やクリニックなどでは、人件費の増加やシフト再編への対応が必要になる可能性があります。視点を変えると、長時間労働に依存しない運営体制へ転換する契機となり、労働時間の適正化によって採用力や定着率の向上につながる可能性もあります。

労働基準法改正が企業に与える影響

改正に向けた一連の議論は、単に法律対応の負担が増えるという話ではありません。連続勤務の上限規制や勤務間インターバル、休日の特定などが進めば、企業の人事・労務管理のあり方そのものを見直す必要が出てきます。特に中堅・中小企業では、これまで現場判断に委ねてきた運用が通用しなくなり、制度として整備する重要性が高まります。

就業規則の改定と勤怠管理システムの刷新が必須に

企業は就業規則の見直しと勤怠管理体制の再構築を避けられなくなります。連続勤務の上限規制や法定休日の特定、勤務間インターバルの確保といった論点は、いずれも就業規則の記載内容や日々の勤怠管理と直結するためです。例えば、法定休日の特定が求められるようになれば、就業規則における休日の定義を曖昧な表現のままにしておくことが難しくなります。また、連続勤務日数やインターバル時間を把握するには、出退勤時刻を正確に記録・集計できる仕組みが前提となります。

こうした管理をエクセルや手作業で行う場合、確認漏れや計算ミスが起きやすく、結果として法令違反のリスクが高まります。特にシフト制や複数拠点を持つ企業では、人の手による管理の限界が顕在化しやすくなります。

そのため、今後は、勤務時間や休日、インターバルを自動でチェックし、基準を超えた場合にアラートを出せる勤怠管理システムの価値が高まります。制度改正をきっかけに管理体制を整えることは、単なる法対応にとどまらず、業務の属人化を防ぎ、労務管理の品質を底上げする効果も期待できます。

残業代算出の複雑化と人件費増加リスクへの対応が必要に

さらに、企業には残業代算出の複雑化と人件費増加リスクへの対応が求められます。連続勤務の上限規制や法定休日の特定、勤務間インターバルの確保などが進めば、これまで以上に勤務実態を正確に把握し、適切に賃金を計算する必要が出てきます。

例えば、法定休日が明確に特定されるようになれば、休日労働が「法定休日」なのか「法定外休日」なのかによって、適用すべき割増賃金率が変わります。こうした区分を誤ると、未払い残業代の発生や行政からの指摘につながる可能性があります。また、週44時間特例の見直しや、連続勤務・インターバルに配慮したシフト運用が必要になれば、制度の見直しや運用変更により、結果として時間外労働に該当するケースが生じる可能性もあり、その結果、人件費が想定以上に増加するケースも考えられます。

一方、こうした変化は必ずしもネガティブな側面だけではありません。労働時間の適正化が進むことで、従業員の過度な負担が軽減され、モチベーションやエンゲージメントの向上に寄与する可能性があります。ワークライフバランスが改善されれば、離職防止や採用力の強化といった効果も期待できます。

大切なのは、改正後に慌てて対応するのではなく、自社の労働時間・賃金体系を事前に棚卸しし、影響を見極めておくことです。残業代算出のルールや人件費構造を把握したうえで、業務の見直しや効率化を進めることが、リスク対応と生産性向上の両立につながります。

企業が今からできる対策

労働基準法改正の最終的な制度内容は、今後の法案化や国会審議を待つ必要があります。ただし、企業においては法改正の動きを注視しながら、今のうちから対応の土台を整えておくことが重要です。

就業規則や雇用契約書の改訂の準備

企業には就業規則や雇用契約書の内容を見直す準備が求められる可能性があります。連続勤務の上限規制や法定休日の特定、勤務間インターバル、有給休暇の賃金算定、副業・兼業時の割増賃金の扱いなどは、いずれも就業規則や賃金規程、雇用契約書と密接に関係するためです。

特に確認しておきたいのは、休日の定義や振替ルール、時間外・休日労働の扱い、有給休暇取得時の賃金算定方法、副業・兼業に関する規程などです。これらが曖昧なままでは、法改正が行われた場合に迅速に対応しきれず、現場で混乱が生じる可能性があります。どの書類の何の項目を修正する可能性があるのかを事前に洗い出しておくことで、制度変更があった際もスムーズに対応できます。

また、厚生労働省はモデル就業規則を公表しており、過去の法改正時と同様に、法改正に至った場合に更新される可能性があります。モデル就業規則は、改正の趣旨や考え方を反映した実務上の参考資料として有用です。自社規程とモデル就業規則との差分を確認しておくことでイメージを具体化しやすくなります。

就業規則や雇用契約書の整備は、単なる法令対応にとどまりません。労働条件を明確にすることで、従業員との認識のズレを防ぎ、トラブルの未然防止にもつながります。今後の法改正などを見据えた準備として、現行規程の棚卸しから着手することが現実的な第一歩です。

勤怠管理システムの導入・改善

連続勤務日数や勤務間インターバル、週40時間への統一など、勤怠データを正確かつ継続的に把握することが、より重要になる可能性が高いです。これらを人手や目視、エクセル管理で対応しようとすると、確認作業が煩雑になり、ミスや見落としが発生しやすくなります。

例えば、14日以上の連続勤務を防ぐ運用や、終業から次の始業までに一定の休息時間を確保する管理は、個別のシフトを突き合わせて判断する必要があります。こうした管理を属人的に行うと、担当者の負担が増えるだけでなく、意図せず法令違反となってしまうリスクも高まります。

そのため、改正を見据えた対応としては、アラート機能や自動集計機能を備えた勤怠管理システムの導入・改善が有効です。基準を超えそうな場合に事前に警告を出せる仕組みがあれば、問題が顕在化する前にシフト調整や業務配分の見直しが可能になります。

すでに勤怠管理システムを利用している企業でも、今後の動きにどこまで対応できるのかを事前に確認しておくことが大切です。ベンダー側がどのようなアップデートを予定しているのか、自社の運用に合った設定変更が可能かを把握することで、制度変更時の追加対応コストや混乱を抑えることにつながります。

従業員への周知と研修の実施

整えた制度や仕組みを実際に運用するのは現場であり、従業員への周知と理解の促進が欠かせません。新しいルールを十分に説明しないまま運用を始めると、現場で混乱が生じたり、意図せずルール違反が発生したりする可能性があります。

特に管理職は、シフト調整や残業管理、休日の扱いなど、労務管理の中心的な役割を担います。連続勤務や勤務間インターバル、つながらない権利などの考え方を正しく理解していなければ善意の判断が法令違反につながるおそれもあります。そのため、管理職向けの研修や説明会を通じて、改正の背景や目的、自社で想定している対応方針を共有することが大切です。

また、一般の従業員に対しても、制度変更の内容だけでなく、「なぜそのルールが必要なのか」を伝えることが大切です。背景や目的を理解することで、ルールを守る意識や納得感が高まり、現場への定着が進みやすくなります。説明資料や社内ポータルを活用し、継続的に情報提供する工夫も有効です。従業員への周知や研修は、単なる義務対応ではなく、職場全体の意識をそろえる機会でもあります。労働時間管理や健康配慮について共通認識を持つことで、無理のない働き方と生産性向上の両立を図る土台を築けます。

まとめ

長時間労働の是正にとどまらず、休息や回復を前提とした働き方へ転換する動きとして労働基準法改正の議論が進められています。実際に法改正される時期は未定であるものの、今のうちから就業規則や勤怠管理、業務プロセスを棚卸ししておくことで、制度確定後もスムーズに対応できます。

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監修者
山根 丈宗
社会保険労務士法人ベスト・パートナーズ
特定社会保険労務士

複数の社会保険労務士法人にて職務に従事。社労士業務歴は約10年に渡る。