アルムナイ採用で即戦力を獲得 メリットと成功のポイント
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近年、自社を退職した人を再雇用する「アルムナイ採用」を取り入れる企業が増えています。この記事では、アルムナイ採用の導入を検討中の企業担当者に向けて、アルムナイ採用の概要や導入するメリット・デメリットなどについて解説します。さらにアルムナイ採用を成功させるポイントや成功事例についても紹介します。
目次
アルムナイ採用とは、自社の「卒業生」を再雇用すること
「アルムナイ(alumni)」とは、「同窓生、卒業生」を意味する英語「alumnus」の複数形で、ビジネスシーンでは「退職者」や「離職者」のことを指します。つまり、アルムナイ採用とは、自社を一度退職した従業員(卒業生)を再雇用することで、主に海外の企業や、国内では外資系企業を中心に使われている採用方法です。
従来、日本では多くの企業で終身雇用制度が取り入れられ、ひとつの企業で定年まで働くのが通例でした。しかし、近年の日本では終身雇用制度が崩壊しつつあり、働き方が多様化したことで転職を繰り返す人も珍しくありません。そのような中で、企業の価値観を理解し、即戦力となる優秀な人材が確保しやすい「アルムナイ採用」は、有効な人事戦略につながることから、日本でも大企業を中心に導入する企業が増えています。
カムバック採用との違い
アルムナイ採用と似た言葉に「カムバック採用」があります。どちらも「退職者を再雇用する」という意味合いで使われるため、基本的に大きな違いはありません。
しかし、カムバック採用は結婚や妊娠、育児、介護、病気などやむを得ない事情で退職した従業員を対象に使うケースが多く、退職理由を問わないアルムナイ採用のほうがより柔軟な採用方法と言えます。
加速する人材不足によって注目されるアルムナイ採用
アルムナイ採用が注目される背景として、労働人口減少による人材不足が挙げられます。日本では少子高齢化に伴い、労働人口が減少し続けて多くの企業が優秀な人材の確保に頭を悩ませています。リクルートワークス研究所の「Works Report 2023 未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる」によると、2030年には約341万人、2040年には約1100万人の労働供給が不足すると試算されており、今後さらに人材獲得の競争が激しくなると予想されています。
このような状況下で、一般的な採用よりも効率的に優秀な人材を確保しやすいアルムナイ採用は、新たな採用スタイルとして注目されています。
さらにキャリアアップや自分らしく活躍できる場所を求めて転職することが一般的になった昨今、転職後に退職した企業の魅力に気づくケースも少なくありません。つまり、元従業員の立場からもメリットのある転職方法としてアルムナイ採用が注目されています。
(引用元:リクルートワークス研究所「Works Report 2023 未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる」)
アルムナイ採用を活用するメリット
アルムナイ採用を導入することでさまざまなメリットが期待できます。ここでは主なメリットを4つ紹介します。
即戦力人材を確保できる
一般的な新卒・中途採用では、自社の社風や業務に慣れるまである程度時間がかかります。中には、能力を発揮できない、社風に合わないなどを理由に、採用後すぐに退職する人もいます。
しかし、アルムナイ採用ならすでに自社の社風や業務プロセスを理解しているので、すぐに業務に取り組めます。特に自社でのみ通用するスキル(ファーム・スペシフィック・スキル)を身につけている場合には、組織にとって重要な戦力となる可能性が高いです。また、採用後のミスマッチが発生するリスクが低く、職場の内情を把握しているので、定着率が高いこともメリットとして挙げられます。
採用コストを削減できる
アルムナイ採用は、採用活動に伴うコストや時間、労力を削減できます。一般的な採用活動では、人材募集、面接、選考、内定といったプロセスの中で、求人広告会社への支払いや採用に関わる人件費、諸経費など、さまざまなコストがかかります。また、採用後も新入社員研修やOJT(職場内訓練)といった教育コストが必要です。
しかし、アルムナイ採用なら元従業員からの直接応募や、既存従業員の推薦によって採用が決まります。そのため、採用にかかるコストや時間、労力の大幅な削減が可能です。さらに元従業員のため、すでに業務に関する知識を得ているので、研修コストも抑えられます。
ブランドイメージの向上につながる
アルムナイ採用は、元従業員自身が再雇用を希望することが大前提です。そのため、アルムナイ採用の実績が増えると「戻りたいほどよい企業」「退職後も従業員と良好な関係を維持できる企業」といった企業のイメージアップが期待できます。魅力的な企業というイメージを定着させられれば、企業価値の向上だけでなく、採用活動への好影響も見込め、優秀な人材の獲得がしやすくなるかもしれません。
企業全体の成長を目指せる
アルムナイのほとんどは自社を退職後、ほかの企業で異なる働き方を経験し、新たな知識やスキルを得ています。このようなアルムナイの知識やスキルは企業に新しい視点をもたらし、企業の成長につながります。また、違う企業文化や働き方を経験したアルムナイは、多様な働き方を受け入れやすく、企業の職場環境の改善や企業の柔軟性アップなどにも寄与します。
アルムナイ採用の注意点
さまざまなメリットが期待できるアルムナイ採用ですが、導入の際には以下の2点に注意が必要です。
人事や賃金制度の見直しが必要になる
アルムナイが好待遇で再雇用されたとなると、既存従業員の間で不満が生じ、仕事へのモチベーションが低下するおそれがあります。そのため、アルムナイ採用を導入する際は、人事や賃金制度の見直しが欠かせません。たとえば、勤続年数をベースに基本給を定めている企業の場合、アルムナイの退職前の勤続年数も含めるべきか、それとも中途採用と同等の扱いにするかなど、慎重に検討する必要があります。
既存従業員が退職するリスクが高まる
アルムナイ採用の実績が多くなると、「退職しても簡単に戻れる企業」といった誤った解釈をする既存従業員が出てくる可能性があります。このような間違った認識が広まると退職のハードルが下がり、人材の流出を招きかねません。既存従業員の退職を防ぐためにもアルムナイ採用の選考基準などを明確にし、「アルムナイすべてが雇用されるわけではない」ということを認知させることが重要です。
アルムナイ採用を成功させるポイント
アルムナイ採用を導入して生産性を向上させるには、以下の3つのポイントを押さえることが大切です。
既存従業員への周知を徹底する
アルムナイ採用に関して不明瞭な点があると、既存従業員のモチベーション低下や退職リスクが高まる可能性があります。これらを解消するには、アルムナイ採用の概要を明確にし、全従業員に理解してもらうことが重要です。具体的には、アルムナイ採用の意義や再雇用の条件、選考基準などを明らかにし、従業員に対して説明会を行いましょう。アルムナイ採用で得られるメリットを従業員が正しく理解できれば、不満がなくなり、アルムナイを温かく迎え入れる環境も整いやすいです。
イグジットマネジメントを実施する
アルムナイ採用を成功させるには、自社とアルムナイの間で、円満な退職ができたかどうかが重要なカギとなります。そこで必要となるのが「退職マネジメント」とも呼ばれるイグジットマネジメントの実施です。イグジットマネジメントとは、企業の新陳代謝を促進することを目的として、従業員が円満退職できるようにマネジメントすることです。
つまり、イグジットマネジメントを徹底すれば、今後のアルムナイ採用が有利になります。また、退職希望者から自社に対する不満や不安を聞き取ることで自社の課題に気づき、改善に取り組むことでより優秀な人材の確保や業務効率の向上、コスト削減など、さまざまなメリットも期待できます。
多様な雇用体系を構築する
ライフスタイルの変化によって退職する従業員がいるように、さまざまな事情でフルタイム勤務ができないアルムナイもいます。優秀な人材を確保するためには、働き手のライフスタイルや価値観を尊重した、多様な雇用体系を構築することが重要です。
具体的には、時短勤務や在宅勤務、業務委託、副業など多彩な働き方を認め、全従業員が自分らしく働き続けられる職場環境を整えましょう。柔軟な働き方が実現できれば、生産性向上や企業のイメージアップなどのメリットも得られます。
アルムナイ採用の成功事例
現在、さまざまな企業がアルムナイ採用を導入しています。ここではアルムナイ採用の成功事例を2つ紹介します。
即戦力人財の獲得を見据えた採用活動|航空会社A社
航空会社A社では、将来の「人財」獲得を見据えて、退職者との接点をキープするアルムナイ専用のコミュニティを立ち上げました。コミュニティでは「キャリアリターン採用」という名のアルムナイ採用があることを広く伝えるとともに、企業の最新情報などを発信しています。
このコミュニティを開設したことで、A社は社内でも優秀だった人材を多く取り込むことに成功し、さらに再雇用されたアルムナイが新たな業務で活躍しているという成果も得ています。
退職後に得たスキルの活用促進|重工業企業B社
重工業企業B社では「ウェルカムバック採用」というアルムナイ採用をおこなっています。ウェルカムバック採用では、退職理由は問わず、1年以上社員として勤務した自己都合退職者を対象にしています。さらにウェルカムバック採用専用のサイトを開設し、登録者に採用情報の発信やコミュニケーションを図っています。サイトには想定よりも多くの退職者が登録し、退職後に多彩なスキルを得た人材の内定に成功しています。
まとめ
自社の退職者を再雇用するアルムナイ採用は、即戦力となる人材を求める企業や採用コストを削減したい企業などにおすすめの採用方法です。ただし、選考基準によっては、既存従業員が不公平感をもつおそれがあるため、導入の際には賃金制度の見直しや既存従業員への説明会などをおこなうことが大切です。
アルムナイは企業にとって新たなビジネスチャンスを生み出す人材になる可能性があります。現在、優秀な人材の発掘に力を入れている企業担当者の方は、アルムナイ採用の導入を考えてみてはいかがでしょうか。







