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タイVAT控除とBOI免税申告の実務改定ポイント

タイVAT控除とBOI免税申告の実務改定ポイント

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タイでは、共通経費にかかる仕入VATの取り扱いに関する新たなガイドラインが公表され、共通仕入VATの控除ルールが見直されました。また、BOIの法人税免税恩典を利用するための申告フォーマットの改定が発表され、記載事項にも変更が加えられました。本稿では、これら2件の通達内容について解説します。

共通仕入VAT控除の厳格化

タイの付加価値税(VAT)は、物品やサービスの国内取引および輸入品に対して課されます。年間売上が180万バーツを超える企業にはVAT登録が義務付けられており、毎月、VATを計算・申告する必要があります。VATの納税額は、売上VAT(OUTPUT VAT)から仕入VAT(INPUT VAT)を控除して算出されます。

これまで、課税取引と非課税・対象外取引の双方に対応する共通経費については、仕入VATの控除に厳密な按分は求められていませんでした。しかし、2025年2月に内国歳入庁(RD)が発表した歳入庁指示No. Paw 164/2568(Paw 164)により、使用目的に応じた按分ルールが厳格化されました。特に、VAT対象外取引や非課税取引を含む企業は留意が必要です(図表1)。

図表1 タイVATの取引区分と適用税率

VAT対象外取引がある場合

たとえば三国間貿易のように、商品がタイを経由せずにA国からB国へ直接移動し、タイ法人がその取引主体となるケースでは、タイ国内で実際に物の移動が発生しないため、「VAT対象外取引」とされます。

これまでは、こうした取引を含む場合でも、共通経費にかかる仕入VAT(共通仕入VAT)を全額、売上VATから控除することが認められていました。

しかし、今回の新ガイドラインでは、共通仕入VATのうち、VAT対象外取引に対応する部分については控除できなくなりました。売上全体に占める対象外取引の割合に応じて、共通仕入VATの一部が控除対象から除外されます。

(例)

VAT非課税取引がある場合

VAT非課税取引(金融、不動産取引など)がある企業では、さらに複雑な按分が必要です。新ガイドラインでは、次の2段階で共通仕入VATの控除可能額を計算します。

ステップ1:VAT対象外取引分の除外
まず、売上全体に占める「VAT対象外取引」の割合をもとに、その分の共通仕入VATを控除対象から除外します。

ステップ2:課税/非課税で按分
次に、残りの共通仕入VATを、「VAT課税取引」と「VAT非課税取引」の売上割合(前年度実績)に応じて按分し、控除可能額を算出します。

図表2に、課税取引・非課税取引・対象外取引のすべてを行う企業における、新ルールに基づいた共通仕入VAT控除の計算手順を示します。このように複数の売上区分を有する企業では、VAT納税額の計算に影響が生じる可能性があるため、共通仕入VATの控除割合を見直す必要があります。必要に応じて、専門家の検証を受けることも有効です。

図表2 Paw 164に基づく共通仕入VAT控除の計算手順

BOI法人税免税申告フォーマットの改定

BOI優遇制度において法人税免税の恩典を受けている企業が、年次の法人税申告時に当該恩典を適用するためのBOIへの申告フォーマットの改定が、通達(No. P.11/2567)により発表されました。今回の改定では、記載事項にも変更が加えられており、特に以下の点に注意が必要です。

・ BOI免税の適用にあたり、経営者の責任が明確化されたこと

・ 申告を支援する会計事務所に対し、品質管理体制の整備が求められていること

なお、BOIの法人税免税恩典を利用するにあたっては、たとえ恩典を受けている場合であっても、実務上いくつかの重要なポイントがあります。以下では、代表的な項目について整理します。

BOI事業とNon-BOI事業の区分

BOIに登録された事業とは別に、いわゆるNon-BOI事業を併せて行っているケースは多く見られます。このような場合、売上高比率などの合理的な基準に基づき、BOI事業とNon-BOI事業の利益を適切に区分・配分する必要があります。なお、利息などの金融収益についても、BOI事業に起因するものであれば、免税収益に含めることが可能です。

法人税免税の適用条件の確認

BOIによる恩典の付与にあたっては、免税額に上限が設けられている場合があるほか、機械への投資額や原材料の使用条件など、さまざまな利用条件が設定されています。免税を適用する際には、これらの条件を満たしているかどうかを確認することが不可欠です。

恩典利用に伴う手続き(BOI申請および税務署への申告)

法人税免税の適用を受けるには、会計士による報告書(BOI監査証明書)を添付のうえ、決算日から120日以内にBOIへの申請を行うとともに、税務署への適切な申告が必要です。

複数のBOIプロジェクトおよびNon-BOI事業における損益通算

かつて大きな問題となった点ですが、複数のBOIプロジェクトおよびNon-BOI事業がある場合、原則として、まずBOIプロジェクト間で損益通算を行い、その後にNon-BOI事業との損益通算を行う必要があります。

BOI優遇期間中の赤字の繰越

BOI事業で発生した赤字については、免税期間終了後5年間の繰越が認められています。また、BOI事業とNon-BOI事業の損益通算後に損失が残る場合も、その残余の損失について同様に5年間繰越が可能です。

なお、BOIプロジェクトの損益は、期中であっても確定させる必要があり、免税期間終了後には税務調査が行われるケースも多いため、十分な注意が必要です。

執筆者
小出 達也
Forvis Mazars (Thailand) Ltd.
Japan Desk Partner

1987年京都大学法学部卒業。日系メガバンク勤務の後、会計士資格を取得。2008年にマザー・タイランドのJapan Desk責任者に就任した。現在は、フォルビスマザー・タイランドのパートナーとして、企業財務に関する豊富な実務経験をもとに、タイ進出企業のサポートを行っている。

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Forvis Mazars (Thailand) Ltd.

Forvis Mazarsはフランス発祥のグローバルTOP10に入る国際的な会計事務所グループ。タイ事務所は1999年に創業し、現在約350名のスタッフを抱え、監査、記帳代行、税務対応、法務、M&Aなど多彩なサービスを提供している。多国籍企業を中心に約1,500社以上と取引があり、特に日系企業向けにはジャパンデスクがワンストップで全サービスに対応している。