
企業の「在りたい姿」を描く必要性とは?実現に向けたチェックポイント
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企業が生産性の向上を図るには、自社の「在りたい姿」を描き、課題や目標を明確にすることが重要です。本記事では、生産性の向上に悩む企業の経営層に向けて、目標を実現するためにどのような施策が必要なのか、実践的なヒントを提供します。課題を明確にし、改善を継続して実施することで、成長戦略を実現できます。
目次
企業の在りたい姿は「成長戦略を明確にする」ために必要
企業が在りたい姿を具体的に描くことは、現実とのギャップを理解し、自社が取り組むべき課題や目標を明確にすることにつながります。これによって成長戦略が定まり、企業としての意思決定を行いやすくなります。
企業の課題や目標は業種や規模によってさまざまですが、共通する経営課題も多くあります。例えば、競争力の強化や市場拡大、新規事業の開拓などです。これらの課題に取り組むためには、まず自社の現状を正確に把握し、在りたい姿とのギャップを埋めるための具体的なアクションプランの策定が重要です。
具体的なアクションプランを策定する際には、すべきことの大まかな順序や優先順位を明確にし、検討すべき事項を整理する必要があります。整理することによって、自社が現在できていることや、これから取り組むべきことが明確になり、効果的なリソース配分を行えるようになります。結果として、企業の生産性が向上し、成長戦略の実行がスムーズに進むことが期待されます。
なお、企業が目指す「在りたい姿」にはさまざまなものが想定されますが、本記事では、「企業の在りたい姿=業務効率化が図れており、生産性向上に向かっている状態」と仮定して解説していきます。
「在りたい姿」の実現に向けたチェックポイントと具体例
「在りたい姿」に近づくための指標のひとつとして「オペレーションの健全性」をチェックすることがあります。具体的には、以下の6つの項目についてチェックします。
- 業務のプロセスや手順が定められ、継続的に改善されている
- 人材が定着・成長し、適材適所の配置ができている
- 本部・現場が連携し、効率的に業務ができている
- 現場の作業ミスや手戻り作業を未然に防止できている
- 現場からの改善提案が集まっている
- 新たな付加価値創出のためのチャレンジができている
| チェック項目 | できていない例 | |
| 1 | 業務のプロセスや手順が定められ、継続的に改善されている | ・プロセスが定まってからず場当たり的になっている ・改善がされておらず、過去を踏襲 |
| 2 | 人材が定着・成長し、適材適所の配置ができている | ・人材流出が止まらず、採用に困り ・本人のMust/Will/Canに合わない |
| 3 | 本部・現場が連携し、効率的に業務ができている | ・本部と現場の連携ミスによる非効率 ・非効率的な業務が残っている |
| 4 | 現場の作業ミスや手戻り作業を未然に防止できている | ・現場での作業ミスや手戻りが発生 ・対策検討が行われていない、もしくはできていない |
| 5 | 現場からの改善提案が集まっている | ・事業改善意識がなく、気づきがない ・自ら改善するしくみがない |
| 6 | 新たな付加価値創出のためのチャレンジができている | ・新しい価値を生むアイデアがない ・実現へチャレンジするための余力がない |
これらは個々に独立したものではなく、互いに因果関係をもち、連鎖していく関係にあります。
1. 業務のプロセスや手順が定められ、継続的に改善されている
「業務プロセスが定まっておらず、場当たり的な対応が続いている」といったケースでは、従業員がそれぞれ異なる方法で業務を行うため、混乱が生じ、効率が低下します。マニュアルや統一化された手順がないため、製品やサービスの品質が不安定になりがちです。
反対に、業務プロセスや手順が明確に定められていれば、無駄な作業が減り、効率的に業務を進められます。統一化された手順によって業務の一貫性が保たれ、製品やサービスの品質が安定します。
さらに、従業員が身につけるべきスキルも明確になるため、具体的な手順に基づいたトレーニングが可能になり、実務に直結したスキルをもつ人材を育成できます。従業員のキャリアパスが明確になり、モチベーションの向上にもつながります。
このように人材育成がうまくいけば、人材配置の自由度が高まり、適材適所の人材配置が可能になります。
2. 人材が定着・成長し、適材適所の配置ができている
「人材流出が止まらず採用に追われている」「従業員のスキルやキャリアプランに合わない配置を行っている」といったケースでは、人材が定着・成長しないため、常に採用活動を行わなければならず、スキルやノウハウの蓄積も進みません。結果として非効率な業務が続くことになります。
逆に、人材が定着・成長し、適材適所の配置ができている場合は、継続的にスキルアップし、キャリアを積める環境が整っているため、従業員が長期間にわたって企業に留まります。モチベーション高く業務に取り組むため、業務の効率化にもつながります。
業務プロセスと人材育成とがうまくかみ合うことで、本部と現場との連携がスムーズになります。情報共有や意思決定が迅速に行われ、組織全体のパフォーマンスが向上します。
3. 本部・現場が連携し、効率的に業務ができている
「本部と現場の連携が取れていない」「非効率な業務が残っている」などのケースでは意思決定が遅れ、業務の進行が滞ります。情報共有や連携の不足によってミスやトラブルも発生しやすくなるはずです。
一方、連携がうまくいっている場合には、本部と現場の間で情報がスムーズに共有され、意思決定が迅速に行われます。本部と現場の役割と責任が明確なため、業務が効率化し、スムーズに進行するはずです。トラブルを未然に防ぐ効果も期待できます。
4. 現場の作業ミスや手戻り作業を未然に防止できている
「現場での作業ミスや手戻りが頻繁に発生している」「対症療法ばかりで根本的な解決ができていない」といったケースでは、本来は必要のないトラブル対応に時間を割くことになり、業務効率や生産性が低下します。
一方、現場のミスやトラブルを未然に防止できていれば、効率よく業務が進み、現場からの改善提案も集まりやすくなります。作業員がトラブル対応に追われることなく、改善提案により多くの時間を割けるようになるからです。その結果、さらなる効率性や生産性の向上が期待できるという好循環が生まれます。
5. 現場からの改善提案が集まっている
「改善提案が集まらない」「気づきを集約する仕組みがない」といったケースでは、 現場の声が経営層に届くことはなく、改善の機会を逸してしまいます。また、仮に従業員から提案が出されることがあっても、評価されないまま放置されてしまうと、従業員のモチベーションが低下し、提案されること自体が減ってしまいます。
一方、現場からの提案が集まれば、改善が進みやすく、改善によって空いたリソースを新たなチャレンジに投入できます。
6. 新たな付加価値創出のためのチャレンジができている
「新たなチャレンジをする機会や場がない」「チャレンジする余力がない」といった場合、従業員は現状維持に留まり、革新的なアイデアが生まれにくくなります。また、機会や場があったとしても、失敗を許容しないような企業文化が醸成されていれば、従業員は新たなチャレンジを避け、革新的な取り組みが進むことはありません。実行に移すためのリソースが適切に配分されていないことが、チャレンジできない理由になっている可能性もあります。
業務が効率化し、生産性が向上すれば、従業員は新たな付加価値を創出するための時間を確保できるようになり、革新的なアイデアが生まれやすくなります。ここでいう「付加価値」とは、売上高や利益といった定量的なものだけではなく、顧客満足度や企業ブランド価値、認知度などの定性的なものも含みます。
新たな付加価値創出のチャレンジができていれば、企業は単なる効率化を超えた成長を遂げることができます。企業の競争力は強化され、持続的な成長が期待できます。
「在りたい姿」を目指すためのアイデア
ここでは、企業の「在りたい姿」を目指すためのアイデアとして、以下の5つを紹介します。
- 管理職の意識改善・強化
- 業務の見える化
- 必要性の低い業務の廃止
- 残業時間の削減
- 従業員満足度の向上
ここでも、企業の「在りたい姿」を「業務効率化が図れており、生産性向上に向かっている状態」と仮定し解説します。
管理職の意識改善・強化
部下は日々の業務において、上司の行動や態度を模範とします。上司が積極的で前向きな姿勢を示せば、部下も同様の姿勢を取るようになります。したがって、企業全体を変革するためには、まず管理職の意識を変えることが不可欠です。管理職が企業のビジョンや目標を理解し、それを実現するためのリーダーシップを発揮することも重要です。
管理職の意識改善・強化を図るためには、以下のような取り組みが必要です。
- 管理職自身の業務を見直し、無駄な業務を排除する
- 部下の自主性の尊重と育成のために、過度な干渉を避ける
- 管理職の意識改革研修を実施する
- 管理職自身の目標設定と達成計画を明確にする
これらにより、効率的な業務運営、部下の自主性の尊重と育成、管理職の意識改革、部下の見本となる管理職の高い自己管理が実現します。
業務の見える化
業務がブラックボックス化していると、生産性向上に向けた課題を確認するのが難しくなります。業務が見える化していれば、進捗状況を明確に把握でき、改善点を見つけやすくなります。無駄な作業や重複している作業を抽出し、業務プロセスを最適化することも可能です。結果的に業務効率が向上し、生産性も高まります。
業務の見える化を実現するためには、以下のような施策が有効です。
- タスク管理ツールを導入し、各従業員の業務内容や進捗状況を共有する
- 定期的に業務レビューを実施し、進捗状況や課題を確認する
- 各従業員の知識やノウハウを共有するためのナレッジベースを導入する
必要性の低い業務の廃止
多くの企業では、必要性が低いにもかかわらず、惰性で続けている業務が数多く存在します。これらは、過去の慣習やかつて決められたルールに従って行われていることが多く、現在の業務プロセスではほとんど価値を生み出していないことがあります。まずは各従業員の業務を可視化し、どの業務が必要で、どれが不要なのかを明確にすることが重要です。
また、不要な業務を続けることは、従業員のモチベーションを低下させる要因となります。従業員は「なぜ、この業務を続けているのか」と疑問をもち、やりがいを感じにくくなってしまいます。不要な業務を廃止すれば、従業員は本来の業務に集中できるようになり、モチベーションが向上します。生産性も向上し、企業全体としてもパフォーマンスの向上が期待できます。
残業時間の削減
長時間労働は従業員の心身に悪影響を及ぼし、集中力を削ぐため、結果的に生産性の低下を招きます。残業時間を削減することで、従業員は作業効率を向上させるために工夫を凝らすようになります。また、残業時間が減ることでワークライフバランスを取りやすくなり、従業員満足度が向上してモチベーションアップにつながります。
長時間労働の是正に向けては「従業員の平均残業時間を月〇〇時間以内にする」といった具体的な目標の設定が重要です。全社的な取り組み内容が明確になり、従業員は目標に向かって努力しやすくなります。
特定の部署で残業時間問題が深刻化している場合には、部署ごとの個別目標も設定する必要があります。これにより、各部署の状況に応じた具体的な対策を講じることが可能です。
残業を削減するには、定期的にノー残業デーを実施したり、従業員の意識改革のために研修を行ったりすることが有効です。上述した業務の見える化や、必要性の低い業務の廃止の推進なども、残業の削減につながります。
従業員満足度の向上
従業員満足度(ES:Employee Satisfaction)は、従業員が業務や職場に対してどれだけ満足しているかを示す指標であり、企業の成長や業績向上に直結する重要な要素です。従業員満足度が高まれば、次のようなメリットが得られます。
- モチベーションが高く効率的に仕事をこなすため、生産性向上につながる
- 従業員の定着率が向上し、優秀な人材の流出を防げる
- 満足度の高い従業員は、顧客に高品質なサービスを提供する傾向が高く、顧客満足度の向上につながる
従業員満足度の向上は抽象的な目標であるため、具体的な施策に落とし込むことが重要です。まずは従業員に対して定期的にアンケートを実施し、満足度や不満点を把握しましょう。アンケートのほかに直接、従業員にインタビューする方法もあります。そのうえで、労働環境を快適にして従業員のストレスを軽減する、柔軟な働き方を選択できるようにするといった具体的な施策を実施します。
重要なのは、従業員の意見から抽出した要改善点に対しては、迅速に適切な対策を講じることです。
まとめ
企業が成長戦略を描くためには「在りたい姿」を具体化することが重要です。そのためには、現実とのギャップを理解し、取り組むべき課題や目標を明確化する必要があります。具体的なアクションプランを策定し、優先順位を整理することによって、効果的なリソース配分が可能となり、生産性の向上が期待できます。
企業が競争力を高め、持続的な成長を図るためには、業務プロセスの見直しや無駄な業務の排除などの「改善」を継続的に実施していくことも必要です。









