
流通業務総合効率化法にどう対応する?企業が取るべき対策と改正内容
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「流通業務総合効率化法」は物流の無駄を減らし、効率化を図ることを目的とした法律です。2024年には「物流の2024年問題」解決のために改正され、「物流効率化法」に名称変更が行われました。本記事では今回の法改正のポイントを紹介します。企業に課される努力義務や、企業が取るべき対策、罰則などについても詳しく解説します。
目次
物流のムダを減らす「流通業務総合効率化法」
「流通業務総合効率化法」は通称で、正式名称は「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」といいます。2005年に施行された後、直近では2024年に改正されました。
流通業務総合効率化法とは、流通業務の総合化や効率化の促進を図るためにできた法律です。「総合化」とは、輸送や流通、荷さばき作業や保管など物流に関する業務を一体的に行い、合理化することを指します。この法律に基づき「総合効率化計画」に認定されれば、事業者や法人は、物流業務の総合化・効率化を目的とした事業の支援を受けることが可能です。
支援の対象となるのは、「モーダルシフト」や「輸送網集約」、「輸配送共同化」といった、流通業務を合理化するための事業です。
「総合効率化計画」に認定されると、以下のような支援が受けられます。
・事業立ち上げや実施に関する、費用などの支援
・施設や設備への税制優遇、および施設の立地規制への配慮
・長期低利子貸付や長期無利子貸付といった金融支援
参照元:国交省|物流効率化法に基づく支援
参考:モーダルシフトとは?メリット・デメリットを解説! | 冷凍保管サービス コールドクロスネットワーク(COLD X NETWORK)
2024年5月改正で何が変わった?物流業界への影響とは
流通業務総合効率化法は先述したように、これまでに3回改正されています。最近では、2024年5月に改正法が公布され、同時に法律の名称も「物資の流通効率化に関する法律(通称:物流効率化法)」に改められ、2025年4月1日より段階的に施行されています。
この法改正が行われる背景となったのが、物流の「2024年問題」です。働き方改革関連法の適用により、2024年4月からトラックドライバーの時間外労働は年間960時間が上限となり、勤務間インターバル制度も実施されています。それに従い発生する、ドライバー不足や物流コストの増大といった諸問題をまとめて物流の「2024年問題」といいます。
上記の問題を解決するため、物流業界では早急な物流業務の効率化が求められている状況です。今回の法改正では、物流業界全体の業務効率化を促進すべく、支援だけでなく規制的措置なども導入されました。物流業務委託者(荷主)と物流事業者の双方に対し、努力義務を課すなどより積極的な取り組みを求める内容になっています。
2025年4月に全事業者へ課された物流改善の“努力義務”とは
2025年4月より施行されている物流効率化法では、すべての荷主と物流事業者に対し、努力義務が課せられることになりました。具体的には以下の通りです。
荷主
①第一種荷主(主に発荷主)・第二種荷主(主に着荷主)
②連鎖化事業者(FC本部)
事業者
③貨物自動車運送事業者等
④貨物自動車関連事業者 など
では、努力義務の具体的な内容とはどのようなものなのでしょうか。
積載効率の向上
国土交通省は毎月、自動車輸送による統計調査を行っています。2024年9月に公開された「2023年度 自動車輸送統計年報」によると、営業用普通車の積載率は約40%で、積載可能量の半分にも満たないことが分かります。
参照元:e-Stat|2023年度 自動車輸送統計年報 3-1 貨物輸送量 (付表)原単位(貨物輸送)
現状の積載率にはまだ余裕があるため、1回あたりに運べる荷物の量を増やすべく、政府は「物流革新に向けた施策のロードマップ」を作成し、中長期計画として具体的な積載率の目標値(KPI)を掲げています。それは2019年と比較し、2030年までに16%トラックの積載率を増加させるというものです。
参照元:内閣官房|2030年度に向けた政府の中長期計画(ポイント) p.2、5
それを達成するためには、以下のような施策が有効です。
・複数荷主の積み合わせや帰り荷の確保
・納品日の集約などによる、トラックの稼働の適正化
・DX推進により物流と販売・調達などを相互連携
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荷待ち時間の短縮
荷待ち時間とは、荷主や物流施設の都合による荷物の積み下ろし待ちや指示待ちなどで発生する、ドライバーのアイドルタイムのことです。
国土交通省が令和3年に実施した「トラック輸送状況の実態調査結果」によると、運行1回あたりに平均1時間34分の荷待ち時間が生じているとの結果が出ています。
参照元:国土交通省|トラック輸送状況の実態調査結果(概要版) p.15
現在、この荷待ちが長時間労働や物流効率の低下につながっていることから、無駄な荷待ち時間を短縮し、運搬効率を向上させることが喫緊の課題です。
荷主と物流事業者が協議し、混雑日を回避した貨物の引き取り・引き渡しを行う、または日時指定自体を撤廃することなどにより、荷待ち時間の短縮を促す努力が求められます。また、予約システムの導入などにより効率化を図ることも重要です。
荷役等時間の短縮
荷役時間とはドライバーが、荷物の積み下ろしや検品、荷造り、倉庫内での作業などに費やす時間のことです。現状、荷待ちと荷役の合計時間は平均約3時間と推計されています。
国土交通省は2023年に策定した「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」の中で、この荷待ちと荷役の合計を2時間以内に収めるよう定めています。もし現状で2時間以内の場合は、1時間以内に短縮できるよう努めることも明記しました。
また、先述した「物流革新に向けた施策のロードマップ」の「2030年度に向けた政府の中長期計画」でも、荷待ち・荷役の合計時間を、2030年までに1人あたり年間125時間削減するようKPIを定めました(2019年比)。
荷役時間を短縮するための対策としては、パレットの標準化や、輸送用器具・タグの導入などが挙げられます。使用する道具や作業の流れを整備することにより、荷役作業の効率化が可能になります。
参照元:国土交通省報道発表資料|「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」を策定しました
参照元:内閣官房|2030年度に向けた政府の中長期計画(ポイント) p.2

2026年から義務化!荷主・物流事業者が行うべき3つの対応
今回の法改正では、物流効率化への影響が大きい一定規模以上の企業を「特定事業者」と定義し、中長期計画の作成など3つの対応を義務づけました。
特定事業者の対象になるのは、以下の条件に該当する企業です。
①年間取扱い貨物重量が9万トン以上の荷主・物流事業者等
②保有車両台数150台以上の特定貨物自動車運送事業者等
③倉庫の保有量が70万トン以上の特定倉庫業者
この特定事業者は、「貨物自動車運送事業法」の「特定荷主」とは定義が異なります。2024年には物流効率化法とともに「貨物自動車運送事業法」も改正されたため、混同しないよう注意しましょう。
中長期計画の作成
特定事業者は、「年間125時間/人 の荷待ち・荷役時間の削減」や、「16パーセントの輸送能力増加」といった国のKPIをもとに、効率化措置に関する中長期的な計画を作成しなければなりません。このことは物流効率化法第38条、46条、56条、65条に定められています。
定期報告
また特定事業者は指定を受けた次の年以降、毎年努力義務の実施状況を主務大臣に報告する必要があります。記載内容は事業者における判断基準の遵守状況、荷待ち時間の状況などです。このことは物流効率化法第39条、48条、57条、67条に定められています。
物流統括管理者(CLO)の選任
「物流統括管理者(CLO)」とは、物流全体の持続的な提供のため、業務全般を統括管理する人のことです。特定業者のうち「特定荷主」と「特定連鎖化事業者」において選任が義務づけられており、選任は役員などの経営幹部が行います。
CLOは先述した中長期計画や、定期報告についての統括管理を行います。また事業方針の作成や体制の整備、運送・荷役の効率化のために必要な業務全般を統括管理するのもCLOの仕事です。このことは物流効率化法第47条、66条に定められています。
企業が取り組むべき物流効率化の実践対策
今回の法改正では、先述したように「積載効率の向上」「荷待ち・荷役等時間の短縮」はすべての荷主・物流事業者の努力義務となりました。これらを達成するため、企業ができる具体的な対策を項目ごとに解説します。
積載効率を向上させる対策
積載効率を向上させるには、荷主・運送業者の双方がデジタル技術を活用しつつ、従来の配送方法についても整備する必要があります。
事業者ごとの対策例は以下の通りです。
■荷主
・発注ロットや荷物のサイズを最適化し、配送の多頻度化や小口化の回避
■荷主・運送業者共通
・複数事業者による共同配送
・異業種間の混載便を活用し、小口配送の無駄を削減
■運送業者
・AIを活用した需要予測や配送ルートの最適化
・走行時間や速度、距離などを記録するデジタルタコグラフの導入・分析による運行効率化
・マニュアルや研修の充実により、デッドスペースを削減する積み方の徹底
荷待ち時間を短縮させる対策
荷待ち時間を短縮する対策は、荷主が主に担う必要があります。システムやAIの導入、荷姿の標準化やの荷積み・荷下ろし時間の調整などにより、荷待ち時間を短縮させることが可能です。
事業者ごとの対策例は以下の通りです。
■荷主
・バース予約システムの導入により、荷積みや荷下ろしを予約制に
・AIを活用した需要予測や計画発注により、リードタイムを適正化
・月末や週末、昼間などの発注や納品を分散し、集荷や着荷を平準化
■荷主・倉庫共通
パレットやコンテナの標準化により、無駄な積み替えをなくし、積載率を向上
荷役時間を短縮させる対策
荷役時間の短縮のためには、機器や道具、デジタルツールなどの導入に加え、作業の中で効率が悪い部分の見直しも必要です。
事業者ごとの対策例は以下の通りです。
■荷主
・バラ積みを廃止し、パレットなどを活用したロット単位での積み込みへの切り替え
・荷積みや荷下ろしのための施設・設備の改善
■倉庫
・パレットやコンテナを導入し、ロット単位での運搬を可能に
・フォークリフトなどの荷役設備や施設の最適化
■運送業者
・システムやデジタルツールの導入により、荷待ち・荷役時間を可視化(先述したデジタルタコグラフでも可視化は可能)
・倉庫内作業など、本来ドライバーの仕事ではない契約外業務の廃止
物流効率化法に違反した場合の罰則
今回の法改正では、物流効率化法に違反した特定事業者に対する罰則も追加されました。努力義務として課されている措置に対し、国が示す基準から見て取り組みの状況が著しく不十分だと見なされた場合、報告徴収や立ち入り検査を経て、勧告や命令が出されることがあります。
さらに勧告に従わない特定事業者はその旨を公表され、措置を取らなかったことに正当な理由がない場合は、当該措置の実施を命令される可能性があります。命令に違反した場合、該当事業者は100万円以下の罰金を支払わなければなりません。
まとめ
2024年に改正された「流通業務総合効率化法(現・物流効率化法)」では、荷主や運送業者に対し、積載効率の向上や荷待ち・荷役時間の短縮といった努力義務が課されました。一定規模以上の企業は「特定事業者」として義務対応や罰則の対象にもなります。
これらに対応するには、デジタル技術の活用や業務プロセスの見直しなど、複合的な効率化が不可欠です。国が掲げるKPIを達成するには、各企業が現状を可視化し、継続的な改善に取り組むことが求められます。
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