
タイVISA申請が変わった!2025年オンライン手続きの実務ポイント解説
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株式会社スタディストでは、オンラインセミナー「タイVISA申請マスターガイド」を開催しました。
2025年より、タイVISAの新規取得は原則オンライン申請のみとなっています。そのプロセスは従来の窓口申請とは異なり、申請先や必要書類の確認など留意しなければならない項目も含まれています。
本セミナーではタイで10年の実務経験を持つSSS (THAILAND) CO., LTD.のマネージングディレクター和田祥太郎氏にご登壇いただき、オンライン申請システムの解説やVISA・労働許可証取得まで、一連の実務フローを具体的に解説していただきました。
目次
はじめに
和田氏はSSS (THAILAND) CO., LTD.のマネージングディレクターとして、2015年からタイ国内で企業の経営サポートや行政への申請代行業務を手掛けてきました。
特にVISA取得や労働許可証申請、BOI(Board of Investment)申請、法人設立といったタイの行政手続きに精通し、日系企業の海外展開を実務面からサポートされています。
タイの官公庁が発表する法令改正や統計データなどの変化を精査し、培ってきた知見をもとに企業が陥りがちな実務上の課題解決に向けたサービスも提供しています。
タイ就労VISAと労働許可証の同時取得で知っておくべき実務ポイントVISA
SSS (THAILAND) CO., LTD.・和田祥太郎氏(以下、和田):タイで働くには、就労VISA(NON-IMMIGRANT B/IB EMPLOYMENT)だけでなく、必ず労働許可証(WORK PERMIT)もセットで取得する必要があります。
就労VISAの初回取得時の有効期限は90日間、その後は1年ごとの更新が必要です。日本人の取得要件としては、タイ法人の登録資本金が200万バーツ以上、タイ人従業員を4名雇用するほか、最低賃金が5万バーツ以上となっています。
気を付けたいポイントとしては、これらの要件が日本人「1名ごと」に適用されることです。例えば、日本人2名であれば資本金は400万バーツ、タイ人8名の雇用が必要となります。タイ投資委員会から投資奨励を受けたBOI企業については別規定となりますが、一般的な企業の場合はこのルールが適用されます。
労働許可証の有効期間は1年であり、VISAと同様に更新時も申請が必要です。どちらも期限が過ぎるとすべて再取得の手続きが必要となるため、期限切れには気を付けてください。
同行される家族については就労者家族VISA(NON-IMMIGRANT O)の取得が必要です。初回取得時の有効期限は90日間、その後は1年ごとの更新が必要です。新規取得時は就労者本人のVISA取得後でないと手続きができず、また家族が同時に入国しない場合は就労者の初回更新後でなければ申請できないルールになっています。

タイのE-VISA申請:オンライン化と注意すべき点
和田:タイのVISA申請は、2025年1月1日からオンライン申請による手続き(Thailand E-VISA)および電子VISA(確認書)の発給方式に変更されました。確認書では従来行われてきたパスポートへのシール貼付ではなく、電子データとしての発給に変更されています。
オンライン申請システムは日本語にも対応しており操作面での不安は少ないのですが、留意すべき点もたくさんあります。所在地選択における選択肢に「タイ」がないため、タイに滞在している方がVISAの切り替えを行う際は、原則日本に戻る必要がありますので注意してください。※日本国籍者は在日タイ大使館、またはVISA等を保有する居住国のみ申請が可。
また、オンラインではあるのですが、現住所によっても申請先が異なります。北海道から中部地方であれば在東京タイ王国大使館、近畿・四国地方はタイ王国大阪領事館、中国・九州・沖縄だと在福岡タイ王国領事館に申請しなければなりません。申請先を間違えると支払い後の返金にも対応してもらえないため、この点にも注意してください。
VISA種類別で異なる必要書類の準備ミスを避ける実践的チェック法VISA
和田:オンライン申請では、提出書類も就労VISAと就労者家族VISAでは多少異なります。共通で必要な書類は、パスポート・顔写真・現在の滞在場所を証明する書類・財務証明です。
現住所がわかる証明にはマイナンバーカードまたは運転免許証をご用意ください。お持ちでない方は、日本への入出国が証明できる航空券や身元保証人による身元保証書および身元保証人のマイナンバーカード、または運転免許証の提出が必要です。マイナンバーカードや免許証がない場合は、通常よりも手続きに時間を要することになります。
財務証明は提出書類が2パターンあります。日本の銀行では、必要な英文での銀行預金残高証明書の発行に対応していないケースが多々あります。そのため、日本本社から推薦状(RECOMMENDATION LETTER)を発行してもらうことが多いです。

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就労VISAと就労者家族VISAには、それぞれ追加で書類を用意する必要があります。就労VISA申請時にはタイの会社からの招待状(INVITATION LETTER)と商務局発行のタイ会社登記簿(発行から6ヶ月以内)、就労者家族VISAに関しては就労者の労働許可証に加えて、家族との関係性を証明するための戸籍謄本が必要です。
申請から承認までの期間は通常1〜2週間程度ですが、追加書類の提出や面接を求められるケースも増えています。そのため、入国予定の1ヶ月程度前からの余裕を持った申請をお勧めします。申請料金の支払い方法は、現時点ではクレジットカード決済のみです。
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VISAだけでは働けない!労働許可証を取得するためのフローと留意点
和田:タイ入国後はVISAを取得しただけでは働けず、労働許可証も必要です。未取得のまま働くと雇用者・労働者ともに罰則が科されます。また、現地での銀行口座解説や社会保険登録、TAX ID(税登録者番号)の申請は労働許可証取得後に可能となり、入国後に早期に労働許可証を取得できるよう計画を立ててください。
労働許可証の新規取得時は、発給時のみ本人が直接行かなければなりません。代理申請も可能ですが、発給される青色の冊子を受け取る際は、必ず本人が受け取る必要があります。
また、法人の登記住所によっては申請する労働局は異なります。しかし、BOI企業についてはオンラインシステムでの申請日にVISA更新や労働許可証の発給が完了するため、手続きは比較的スムーズと言えます。
その一方で、発給までには一般企業の場合は申請後3労働日ほどの時間がかかります。これは土日祝日を含まない日数であり、週をまたいだり祝日が重なったりすると1週間程度かかるケースもあるのでご留意ください。特に出張でタイに来られる方は、審査期間中は必ずタイ国内に滞在している必要があるので、日程調整を間違えないように計画しておきましょう。
労働許可証では、英文での卒業証明書も必要です。これは日本の最終学歴の教育機関で事前に取得する必要があり、赴任後に取りに戻ると費用と時間が大きくかかってしまいます。そのため、出国前に取得しておくことをお勧めします。
健康診断書はタイ国内で取得可能ですが、証明写真は襟付きシャツ、できればジャケット着用が望ましいです。意外とルーズに思われがちですが、タイ役所の担当者は意外に細かい点をチェックしてきますので、これらの細かい点にも注意しましょう。

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タイの労働許可証 取得・更新と新設法人での申請手続き
VISA更新手続きをスムーズに進めるためのスケジュール管理術VISA
和田:VISAの更新は、タイ入国後90日の有効期限内に申請しましょう。初回更新は必ず本人が赴かなければならず、初回以降も年に1回更新手続きをする必要があります。
また、申請受理から約20〜30日の審査期間、及び審査完了日にパスポートを再提出する必要があり、タイへ出張ベースで勤務される方は審査完了日に必ずタイ国内に滞在していなければいけないのでご留意ください。※パスポート預け、及び審査期間中のタイ国内滞在は不要。
ただし、BOI企業の場合はVISAと労働許可証の更新が同時に完了し、しかも再入国許可証も取得可能です。一般企業と比べて、BOI企業は手続きが大幅に簡略化されます。
90日レポートと再入国許可証で発生しがちなトラブルの予防法
和田:VISAや労働許可証の更新後も、必要な手続きがあります。そのうちの一つが再入国許可証(RE-ENTRY PERMIT)であり、これを取得せずにタイから出国するとVISAが失効してしまいます。
再入国許可証には「シングル(1回のみ出入国可)」または「マルチプル(複数回出入国可)」と選択でき、シングルは1,000バーツ、マルチプルは3,800バーツ必要です。年間4回以上海外に出る方や取得忘れのリスク回避にはマルチプルの取得を推奨しています。
その他に必要な手続きとしてあるのが、90日レポートです。タイに90日以上連続滞在する場合には、居住地報告をしなければなりません。レポートは初回VISA更新後から対象となり、報告期限の15日前から申告が可能です。タイ国内のイミグレーションだけでなく、オンラインでも申告できますが、システムの不具合が発生することもあります。リスクを回避するために、窓口申告の準備もしていただければと思います。※初回は原則窓口申告のみ。
90日レポートに関しては、報告期限前にタイを出国した場合に滞在日数がリセットされることに注意してください。報告期限前に出国すると、90日レポートの報告期限が再入国日から新たに90日が起算されます。また、期限切れの場合も同様に注意が必要です。期限切れの場合には、報告期限を過ぎると本人の出頭を求められるだけでなく、2,000バーツの罰金も科されるため、これらの点にも留意してください。
出国時キャンセル手続きの見落としが後任者に与える影響とその回避策
和田:タイでの就労が終わり出国する際は、VISAと労働許可証のキャンセルを忘れずに行いましょう。キャンセル手続きをせずに出国すると、本人の再入国や後任者のVISA新規取得および更新手続きができない可能性が発生します。
また、前任者のVISAが残っている場合、新たに日本人を雇用する際に「既に1名分のVISAがあるため、資本金400万バーツ、タイ人8名の雇用(日本人1名につき資本金200万バーツ及びタイ人4名の雇用が要件)が必要」と2名分の取得要件を満たす必要があるとみなされることもあります。
サイン権を持つ取締役の方がVISA及び労働許可証を未取得の場合も、追加手続きが必要です。タイでは署名行為も就労行為と解釈されるため、労働許可証の未取得の場合は申請者への委任状へ在外タイ大使館にて領事認証、及びタイ国内外務省認証等の取得対応が別途必要となります。
まとめ
タイのVISA申請はオンラインシステムの導入により利便性が向上しましたが、従来とは異なる申請方法のため留意すべき点があります。申請先の選択や必要書類の変更、審査期間中の滞在義務など細かな要件を正確に把握することが重要です。
特に出張ベースでタイに来られる方や複数名の日本人雇用を予定される企業では、事前のスケジュール調整と要件の確認が欠かせません。VISAをスムーズに取得するためには、入念な準備をするようにしましょう。











