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インドネシアにおける商標出願手続き

インドネシアにおける商標出願手続き

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インドネシアにおける商標出願は、国内ブランドの台頭や越境ECの拡大、外資の参入といった動きを背景に、近年その件数が堅調に増加している。模倣への対策として法的に事業を守るため、商標登録の重要性は一段と高まっている。本稿では、インドネシアにおける商標出願手続きに関する規制について概説する。

商標の定義と不登録事由

商標権の保護の客体である「商標」とは、図形、名称、語、文字、数字、色の構成、二次元または三次元の図形、音、ホログラム、またはこれらを組み合わせた標識であって、識別力を有し、商品またはサービスの取引に使用されるものである(商標法2016年第13号(以下、「商標法」という)第1条、2条)。

商標法では、図表1に該当する商標は登録することができず、図表2に該当する商標は拒絶される。
登録できない商標
審査で拒絶される商標

出願手続きと公告・異議申立て

商標出願は、願書、商標見本、宣誓書等を添えてインドネシア語で行う必要があり、電子出願が可能で、1つの出願で複数分類への出願も認められている(商標法第4条、第6条)。外国人が出願する場合には、インドネシアの代理人を通じて出願することが義務付けられている(商標法第5条)。また、パリ条約に基づく優先権主張出願については、第一国出願日から6ヵ月以内に出願することができる(商標法第9条)。

商標出願時には、方式審査(pemeriksaan formalitas)により、願書および商標見本の提出、手数料の支払い等の要件を満たした場合、出願日が認定される(商標法第13条)。出願が認定されると、インドネシア知的財産総局(DJKI)が発行する商標広報により、出願日から15日以内に公告が行われる。商標広報は印刷物のほか電子的にも公開される(商標法第14条)。

公告日から2ヵ月の間、公告された商標出願に対して、何人も異議申立てを行うことができる(商標法第16条)。異議申立てがあった場合、受理日から14日以内に出願人または代理人へ異議申立書が発送される(商標法第16条)。出願人は、異議申立書の発送日から2ヵ月以内に異議答弁書を提出できる(商標法第17条)。これらの異議申立ておよび異議答弁書は、実体審査(pemeriksaan substantif)において審理される(商標法第23条)。

商標出願手続きの流れ

審査と登録・拒絶の判断

審査は方式審査と実体審査に分けて行われる。方式審査後、実体審査に入る前に商標出願が公告され、権利付与前の異議申立てが認められている(商標法第14条、第16条)。異議申立てがない場合は公告の満了日(公告日から2ヵ月)、異議申立てがあった場合は異議答弁書の提出期限(異議申立書の出願人への発送日から2ヵ月以内)から、それぞれ30日以内に実体審査が開始され、開始から150日以内に完了する(商標法第23条)。

実体審査において、商標出願の標章が登録すべきものと判断された場合には、当該商標は登録され、出願人または代理人に通知され、登録書が発行される。その後、登録された内容について再度公告が行われる(商標法第24条)。一方、審査官が商標出願を拒絶すべきものと判断した場合には、出願人または代理人に書面で拒絶理由が通知される(商標法第24条)。拒絶理由が通知された場合、出願人は拒絶理由通知の発送日から30日以内に意見書を提出することができる(商標法第24条)。審査官は、提出された意見書の内容が相当であると判断した場合には商標を登録し、相当でないと判断した場合には出願を拒絶する(商標法第24条)。

拒絶時の不服申立て

商標出願が拒絶された場合、出願人は拒絶査定の発送日から90日以内に拒絶査定不服審判を請求することができる(商標法第28条)。商標審判委員会は、拒絶査定不服審判の受理日から3ヵ月以内に当該審判について決定を行う(商標法第30条)。

審判が認められた場合には、商標が登録される(商標法第30条)。一方、審判が認められない場合には、決定の送達から3ヵ月以内に、商務裁判所に対し商標審判委員会の決定の取り消しを求める訴訟を提起できる(商標法第30条)。また、商務裁判所の判決に対しては、最高裁判所に上訴することができる(商標法第30条)。

商務裁判所は、訴訟が受理されてから90日以内に判決を下さなければならない(商標法第85条)。

商標権の効力と更新

商標権者は、商標登録された標章について、その存続期間中、独占的に使用し、またはライセンスする権利を有する(商標法第1条)。この独占的使用権は、商標権侵害行為に対して差止め請求および損害賠償請求を行うことによって効力を発揮する(商標法第83条)。

登録された商標権の有効期間は10年間であり(商標法第35条)、10年ごとに更新することができる(商標法第35条)。更新申請は、存続期間満了日の6ヵ月前から書面または電子的に行うことができ(商標法第35条)、さらに存続期間満了後であっても6ヵ月以内であれば、更新料および同額の罰金を支払うことで更新が認められる(商標法第35条)。

更新にあたっては、商標登録に係る標章が登録された商品/役務において使用されており、当該商品/役務が販売または提供されていることを宣誓する宣誓書の提出が必要である(商標法第36条)。ただし、更新される標章が会社または法人のロゴ、エムブレムである場合には、当該登録商標について紛争が生じていなければ、上記宣誓書は不要であり、存続期間満了の6ヵ月前から更新料の支払いによって更新できる(商標法第38条)。

執筆者
村瀬 義弥
PT TNY CONSULTING INDONESIA
コンサルタント

中央大学法学部卒業後、国内大手自動車メーカーに勤務。インドネシアの人事・労務会社、現地法律事務所でのアドバイザー業務を経て、24年7月よりTNY国際法律事務所のインドネシアオフィスに常駐し、会社設立、契約書の作成およびレビュー、許認可業務、現地規制調査、知的財産関連業務、M&A、翻訳業務などを担当している。

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PT TNY CONSULTING INDONESIAはインドネシアの法務コンサルティング会社であり、TNY国際法律事務所のインドネシア拠点。インドネシアでの会社設立、契約書の作成およびレビュー、許認可業務、現地規制調査、知的財産関連業務、M&A、翻訳業務など、幅広く法務サービスを提供している。
【共同代表弁護士】堤 雄史・永田 貴久