
SusHi Tech Tokyo 2025 EVENT REPORT
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本連載では、グローバル視点での戦略策定やデザイン開発に実績を持ち、APACと日本の双方向進出支援を行うI&COが、アジア各国のイベントレポートやビジネスシーンをお届けしています。第2回となる今回は、東京で開催された「SusHi Tech Tokyo 2025」ビジネスデイの現場から、都市×イノベーションの現在地と、アジアに広がる連携の可能性を考察します。
目次
SusHi Tech Tokyoとは

「SusHi Tech Tokyo」は、“Sustainable High City Tech Tokyo”の略称で、持続可能な都市の未来像を描くことを目的に、東京都が主催する国際イベントです。2023年にスタートし、今年で2回目となる今回は、ビジネスデイ(5月8〜9日)とパブリックデイ(5月10日)を含め、合計約5.7万人が参加。うちビジネスデイには4.3万人が来場し、リアル参加が約2.9万人、オンライン参加が約1.4万人でした。
前年から見えた潮流の変化
昨年の同イベントに比べ、今年は出展企業の多様性が一層広がり、特に大手企業やその新規事業部門による出展が目立っていました。社会課題に対して企業の枠を超えた共創を打ち出すブースが増加したほか、海外スタートアップの出展も増え、国を跨いだ実証実験の紹介や、スタートアップエコシステム同士の連携を目指す取り組みも多く見られました。
また、来場者の属性にも変化が見られました。従来のスタートアップ関係者に加えて、官民連携や地域開発に携わる自治体関係者、さらに「次の成長エンジン」を模索する投資家や大手事業会社の姿が目立ちました。登壇セッションでは、「スタートアップを社会にどう根付かせるか」「行政がイノベーションにどう向き合うか」といったテーマの議論が増えており、SusHi Tech Tokyoは、単なる展示イベントではなく、「未来を議論し、協働の糸口を探る場」へと進化していることが感じられます。

現場から得た3つの気付き
「接続のデザイン」が価値を生む
今年の展示で特に印象的だったのは、技術そのものよりも「接続のデザイン」が重視されている点です。トヨタ、JR、NECなどのブースでは、既存のインフラやアセットを活用しながら、スタートアップとの共創によって新たな価値を生み出す実験的な取り組みが紹介されていました。
ブース内のインフォグラフィックや映像でも、「社会課題をどう捉え、誰とどうつながるか」に焦点を当てたストーリー設計が目立ち、企業同士の連携の深まりが可視化されていたように思います。こうした展示は、見る側にとっても“自分ごと”としてのイメージが湧きやすく、今後の都市づくりにおける「相互作用」の重要性を改めて認識する機会となりました。

「語り」が共創のスイッチを入れる
多くのスタートアップや出展者が、自らの技術やサービスの背後にある「なぜこれをやるのか」という文脈を語っていました。特に、グローバル市場を目指す学生起業家による「出世魚ピッチ」では、登壇者たちが都市課題や社会背景への想いを自らの言葉で語る姿勢が印象的で、会場との一体感を生んでいたように感じます。
また、MOVeLOTによる実物大の「機動警察パトレイバー:イングラム」の展示は、搭乗や操作の体験を通じて、「未来の都市における人とテクノロジーの関係」を語る強いメッセージになっていたのではないでしょうか。ただのエンターテインメントではなく、“都市をどう変えていくか”を無言のままに提示する力を感じました。
語ることは、共感や理解の入口であり、都市のステークホルダーを巻き込む第一歩です。都市を動かすのは、必ずしも革新技術そのものではなく、それを誰がどのような言葉で“語る”か。今回、それが共創のスイッチになり得ることを、あらためて実感しました。


都市間連携の“媒介者”としての国際機関の役割
出展機関の一つであるERIA(東アジア・ASEAN経済研究センター)は、ASEAN・インドから招致したスタートアップ12社を通じて、国際機関ならではの“媒介機能”を可視化していました。単なる展示支援にとどまらず、個別マッチングやVCとのセッションも企画し、日本企業や行政との接続点を構築していた点が印象的です。都市ごとの実情を踏まえつつ、社会課題に取り組むスタートアップと政策・企業をつなぐ存在として、実務的な存在感を示していました。
こうした動きは、スタートアップを“国を越えた都市共創の担い手”と位置づける新たな枠組みの兆しでもあります。都市開発の解像度が高まる中で、ERIAのような第三者が、信頼性ある「接続の場」を提供する意義が一層増していると感じました。


おわりに
I&COでは現在、アジア各国のスタートアップや行政、大企業と連携しながら、日本とAPACをまたぐプロジェクトを支援しています。私自身もシンガポールを拠点に、こうした国際イベントに継続的に関わる中で、「未来の都市は、思想と関係性から立ち上がる」という実感を深めています。
都市をつくるのは、技術そのものではなく、関係性と問いの構築です。東京で起きている都市とアジアの“接続”は、それを象徴する現場でした。







