
タイ進出形態② パートナー・代理店活用で事業展開
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今回は、タイ進出形態の3つのうち、「タイのパートナー、代理店を利用して、物の売買やサービスを提供する」形態のメリットや課題について解説する。この方法は、コストやリスクを抑えながらタイ市場にアプローチできるため、特に初期段階でのビジネス戦略として有効である。
目次
現地企業の情報活用で進出リスクを軽減
タイ市場に初めてアプローチする際、最初から拠点(駐在員事務所、支店、現地法人)を設立するには、相応のコストや時間を要するため、簡単には選択できない場合が多い。そのため、前回は拠点を設立せず、日本から遠隔でタイ市場や顧客に直接アプローチする進出形態について説明した。
しかしながら、タイの顧客を自力で開拓するのは、非常に難しい。そこで、次の選択肢として、現地企業やパートナーを利用する方法が挙げられる。これにより、日本企業はタイに拠点を持たなくとも、現地企業の持つ顧客情報やノウハウを活用でき、手探りで市場開拓を進める必要がなくなる。また、現地企業やパートナーの稼働状況に応じて報酬金額を変動させることで、費用の固定化を避け、財務面での柔軟性を確保することも可能となる。
さらに、提携先との間でトラブルが生じたり、期待した効果が得られない場合でも、契約解消の手立てを定めておけば、自ら拠点を設立し、それがうまくいかず閉鎖や解散をする場合に比べ、容易に契約を解消し、戦略の立て直しを図ることができる。
信頼できるパートナー選びと遠隔管理が課題
もっとも、適切なパートナーや代理店を見つけることは容易ではない。現地パートナーや代理店を探す方法として、前回触れたように、現地拠点を設立せず遠隔で商品やサービスを提供し、その過程でタイ企業からアプローチを受けるケースが考えられる。
一方、自ら探す場合には、コンサル会社(日本人がタイで設立した会社も多く存在する)、取引先銀行、商社などに紹介を依頼することも選択肢の一つである。ただし、仮に紹介を受けても、その相手が業務とのシナジーを持つか、自身が望む商流や顧客リストを有しているかは、必ずしも保証されていない。また、日本企業の文化やビジネス慣習を理解し、それに寄り添ってくれるかどうかも、事前に判断することは難しい。
さらに、パートナーや代理店候補が見つかったとしても、遠隔からの適切なコントロールが必要となる。それを怠ると、以下のような問題が発生する可能性がある。
- 業務上、相手方に過度に依存してしまう
- 相手方が顧客情報を無断で持ち出す
- 相手方が商流を利用して新たに競合する事業を開始する
ビジネス紛争を防ぐための契約のポイント
そこで、将来の紛争を防ぐために、業務委託契約(サービス契約)や代理店契約を締結し、必要な事項を明確に定めておくことが重要である。具体的には、以下のような条項を主に設定する必要がある。
① 当事者
② 契約の目的
③ 契約期間
④ 業務内容
⑤ 報酬の金額
⑥ 報酬の支払条件
⑦ 再委託の可否
⑧ 債務不履行に関する条項
⑨ 損害賠償条項
⑩ 成果物の権利に関する条項
⑪ 競業避止義務
⑫ 守秘義務
⑬ 準拠法
⑭ 紛争解決手段
次回は、各条項の意義について解説する。









