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タイ進出形態① 拠点設立なしで日本から事業展開

タイ進出形態① 拠点設立なしで日本から事業展開

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前回は、タイ進出の3つの形態について紹介した。今回は、その中の「タイで拠点を設立せず、日本からタイのマーケットに対し事業を行う」形態の具体的なメリットや注意点について解説する。この方法は、コストやリスクを抑えながらタイ市場にアプローチできるため、特に初期段階でのビジネス戦略として有効である。

現地拠点設立のコストとリスク

タイの市場に初めてアプローチする際、最初から拠点(駐在員事務所、支店、現地法人)を設立するのは、事業の成功に確証がない中で難しい選択である。拠点を設立するには、法律事務所、会計事務所、コンサルタントなどの専門家に依頼する必要があり、コストがかかる。設立時に必要な、商務省事業開発局(Department of Business Development, Ministry of Commerce:DBD)への登録自体はさほど時間がかかるものではないが、必要書類を揃えるのに時間を要する場合もある。

現地従業員の採用と人員整備の課題

また、現地拠点を設立した場合には、拠点で働く従業員を採用する必要があり、日本から駐在員を派遣するなど、人員の整備もしなければならない。さらに、設立後も様々な問題に対応するため、法律事務所や会計事務所を日本本社とは別に採用することが求められる可能性もある。

仮に、現地拠点設立後の事業が思うように進まず、撤退を検討する場合でも、従業員の整理や会社閉鎖に伴う税務調査など、簡単に完了しない場合もある。以上のように、現地拠点を設立するには、多くの費用と時間がかかる

タイ国外からのアプローチと外資規制の回避

そこで、タイ市場に初めてアプローチする場合、現地に拠点を設立せずに事業を展開することは、合理的な選択肢と考えられる。たとえば、タイを含む海外顧客から直接注文を受けられるようなプラットフォームを整備したり、タイの潜在顧客にタイ国外からアプローチすることが考えられる。このような業務形態は、基本的にタイ国内で業務を行っているとはみなされず、タイで業務を行っている場合に適用される外国人事業法(Foreign Business Act:FBA)上の外資規制も、一般的には適用されない。

タイの外資規制を管轄するDBDの実務解釈によれば、ウェブ上のサーバーがタイ国外に存在し、タイ国内で営業活動や取引が行われていない場合には、タイで事業を行っているとはみなされず、FBAの適用はないとされている。したがって、タイ国外からタイ市場にアプローチする際には、タイ国内で事業を行っていないとみなされるような形態で行う必要がある。

FBA上の規制では、製造業以外の業種(いわゆるサービス業)を外国企業が営むことができないため、タイ国内でサービス業を営むには、タイ企業やタイ人パートナーと協働することが不可避となる。しかし、タイ国外からタイ市場にアプローチする場合は、サービス業であっても外資規制を回避できる上に、タイ企業やタイ人の関与が不要となり、自身の戦略や計画に基づいて柔軟に事業を展開できる点も大きなメリットであるといえる。

執筆者
安西 明毅
アンダーソン・毛利・友常法律事務所
バンコクオフィス代表 弁護士

2004年に同年にアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業に入所。駐在経験のあるマレーシア・タイを中心として海外における日本企業による進出および進出後の一般企業法務、コンプライアンス、労務・紛争・不正調査案件ならびに金融案件を扱っている。

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アンダーソン・毛利・友常法律事務所

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業では、日常的な企業法務相談、M&A、会社法、金融取引から事業再生、訴訟、税法に至るまで、各分野の専門家チームを組成し、国内案件のみならずクロスボーダー案件についても、海外拠点または関係の深い海外法律事務所を通じて、ワンストップで対応します。