
インドネシアの退職金制度と退職理由別の支給区分
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インドネシアの退職金制度は、退職理由ごとに支給内容が細かく定められており、企業がこれを遵守しない場合、従業員との紛争や労働裁判へ発展するリスクがある。退職金の支払いをめぐる争いは、労働局や産業関係裁判所で頻発しているため、法令に沿った適切な処理が求められる。本稿では、こうした退職金に関する規制について概説する。
目次
退職金に関する規制
会社は退職する従業員に対して退職金を支払う義務があり、その金額等は、雇用関係が有期雇用契約か無期雇用契約かによって異なる。
有期雇用契約(PKWT)は、業務の性質に応じて期限を設ける雇用契約である。有期雇用契約の場合、契約延長前の期間が満了した時点で契約終了の補償金が支払われ、延長された場合には、その延長期間が終了した時点で次の補償金が支払われる。ただし、有期雇用契約に基づき雇用された外国人労働者には補償金の支払いは適用されない(オムニバス政令2021年第35号第15条〔以下、「オムニバス政令」という〕)。
無期雇用契約(PKWTT)の場合には、退職理由によって退職金の支払い金額が変動する。法令で明記されている退職理由(Pemutusan Hubungan Kerja/PHK)としては、主に図表1が規定されている。
有期雇用契約の補償金
会社は、有期雇用契約に基づき雇用される従業員に対し、契約終了時に補償金を支払う義務を負う。有期雇用契約の従業員が雇用期間を満了した場合、補償金額は以下のとおり規定されている(オムニバス政令第16条)。
賃金×勤続月数÷12
賃金は、基本給および固定手当を含んだ金額を用いて計算する。また、雇用契約が契約上予定された期間よりも早く業務の完了によって終了する場合には、補償金は業務が完了した時点までを基準として算定する(オムニバス政令第16条)。実務上、勤務開始から退職までの期間に1ヵ月未満の端数日が生じた場合、その端数は計算から切り捨てることが一般的である。
無期雇用契約の退職金
無期雇用契約での退職金は、以下の4つに分類される(オムニバス政令第40条)。
退職手当(Uang Pesangon)
退職手当は、勤続期間が1年未満で固定給の1ヵ月分、2年未満で2ヵ月分、3年未満で3ヵ月分と勤続年数に比例して増加し、8年以上の場合は9ヵ月分を支給する必要がある。
功労金(Uang Penghargaan Masa Kerja)
功労金は、勤続期間が3年以上6年未満で固定給の2ヵ月分、6年以上9年未満で3ヵ月分、9年以上12年未満で4ヵ月分と勤続年数に応じて増加し、24年以上の場合は10ヵ月分を支給する必要がある。
権利補償金(Uang Penggantian Hak)
権利補償金は、勤務期間中に本来受けられるはずだった権利を補償するものであり、未消化の有給休暇の買い取りや、退職後の採用地までの帰省費用などが含まれる。
離別金(Uang Pisah)
離別金は、労働協約や就業規則で規定している場合に支払いが必要となる。
これらの支払い要否や支給割合は、退職理由に応じて図表2のとおり定められている。










