
業務標準化とは?進まない原因と効率的な進め方を解説
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業務標準化は、業務品質や生産性を向上するための重要な取り組みです。しかし、適切な進め方を把握していないと、標準化は期待通りに進まなかったり、効果が半減したりしてしまいます。そこで本記事では、業務標準化が進まない原因や、効率的な進め方、注意点などを解説します。業務の標準化に課題を感じている方はぜひご覧ください。
目次
「業務標準化」とは会社の基準・スタンダードを決めること
業務の標準化とは、これまで統一されていなかった業務上のルールやプロセスを一定の「型」に落とし込み、それを自社の基準として定めることです。業務の標準化は、特定の従業員に業務の遂行が依存している「属人化」を防ぎ、誰もが一定の成果を出せるようにすることを目的にしています。これによって、職場から誰が抜けても仕事が回せるようになるほか、業務品質の均一化や不正の防止、特定の従業員に集中していた業務負担の軽減などを実現できます。
業務標準化が進まない原因
業務の標準化を目指す企業の多くは、「標準化委員会」などを組織し、多くの時間と労力をかけています。しかし、そのように多大なリソースを費やしても、なかなか進展しないことも少なくありません。その主な原因としては、以下が挙げられます。
完璧思考で理想を追求してしまう
停滞原因のひとつは、「最高の絶対解」を導こうとするあまり、何も決まらない状態になってしまうことです。せっかく標準化するならば、できるだけ優れた型に落とし込みたいと願うのは当然のことです。しかし、こうした最適解を導き出すのは容易なことではありません。また、もしも最適解が見つかったとしても、社内外の状況が絶えず変化する中で、その方法が常にベストであるとは限りません。そのため、「最高の絶対解」を見つけようとして何も決められないより、まずは60点でもいいので「現状の自社ベスト」を型に落とし込み、継続的に改善をしながら100点を目指していくことが大切です。
全方位的に進めてしまっている
標準化すべき範囲があいまいなために、時間と労力を余計に消費してしまっていることも多くあります。標準化すべき範囲をあいまいにしたまま全方位的に進めると、本来標準化が必要ない部分まで対象にしてしまう可能性もあります。そのため、まずは業務単位で標準化すべき業務とそうでない業務を明確化し、関係者間でその認識を共有することが大切です。
過去の経緯に引きずられている
社内で意思統一ができずに、標準化が停滞してしまうこともよく見られます。標準化を進める際は、その方法を社内で議論することになります。しかし、業務に対するこだわりや考え方は人それぞれなので、そこで対立が生じてしまい、調整に手間取ってしまう形です。
特に「先代社長の時代からこうしてきたから」というように歴史的な背景が強く影響している場合、その業務が見直されず、必要な標準化が行われないままになることがあります。しかし、標準化はあくまで未来に向けた意思決定です。過去を尊重しながらも、改善が必要とあれば標準化は行うべきという認識を持ちましょう。
マニュアル整備ができていない
標準化にあたっては、新しいマニュアルの整備が不可欠です。しかし、マニュアルの作成に際しては、業務を詳細に理解して文書化する必要があるため、一定の時間や知識、スキルが求められます。
また、現場の実情に即していないとマニュアルは活用されないので、後は現場に浸透させるだけという段階で標準化が停滞してしまうこともあります。
2ステップで実践!業務標準化の効率的な進め方
業務標準化を進めるためには、業務に対して「合理性」と「再現性」を持たせることが求められます。それぞれの詳しい内容については以下のとおりです。
業務に合理性を持たせる
業務の合理性とは、ムダ・ムラ・ムリがなく、業務効率や業務品質を優れた状態で確保できることを指します。業務に合理性を持たせるためには、標準化にあたって以下の5つのポイントを決めておくことが大切です。
(1)道具
どのような道具・ツール・システムを使うのか定めましょう。道具に関しては、必要な機能・性能を有するのはもちろん、誤認識を防ぐために、社内での呼称を統一することも大切です。
(2)動作
どのような動き・操作で業務を行うのかも定めましょう。飲食業のように身体動作の伴う業務の場合、身体の位置や向き、どちらの手をどう使うのかなどの情報も大切です。
(3)手順
業務は一連のプロセスの中で行われるものです。そのため、何から始めて、何をして、どういう状態になれば終わりなのか、手順や流れを明確化しましょう。
(4)スキル
業務品質を確保するためには、どのようなスキル・技能・資格を持った人がその業務を担当するのか決めておくことも大切です。マニュアル作成などに際しては、これらの基準を満たした従業員を読者として想定しましょう。逆に言えば、要件に満たない人の実施まで想定する必要はありません。
(5)時間
ひとつの業務へ無制限に時間を費やすことはできないので、どのくらいその業務に時間をかけるのか、想定時間を定めておくことも大切です。工数や期間、実施の時期(タイミング)などの要素も定めておきましょう。
業務に再現性を持たせる
業務の再現性とは、以下の4条件を満たした状態を指します。
- 誰でも:特定の誰かに依存(属人化)しない
- いつでも:タイミングに左右されずにできる
- どこでも:どこの拠点でも同じようにできる
- 何度でも:繰り返し同じ品質で再現できる
業務に再現性を持たせるためには、できれば、業務手順書や業務マニュアルのような形式で標準化の方法をまとめることがおすすめです。ただし、マニュアル作成時は、最初から完全なものを目指して作りこむのではなく、一旦はラフに文章をまとめて、徐々にブラッシュアップしていくと作業が進みやすくなります。
業務標準化によって得られるメリット
これまで解説してきた内容を踏まえると、業務の標準化は企業に多くのメリットをもたらすことが理解できます。以下では、代表的なメリットについて詳しく解説します。
業務品質の向上・安定化
業務の標準化を通して、業務のルールや手順を一貫させることで、担当者による業務品質のばらつきを抑えられます。また、誰もが同じように業務をこなせるようになることで、従業員の離職や不在などに伴う業務の停滞を防ぐことが可能です。
業務品質が向上・安定することで、顧客に対して常に同じ品質の成果物やサービスを提供しやすくなり、顧客満足度の向上、ひいては競争力の強化につながります。
業務効率化による社員負担の軽減
標準化に際しては、ムダ・ムラ・ムリを廃した業務プロセスが新たな基準となります。この業務効率化によって、従業員の負担を軽減することが可能です。また、誰もが同じように業務をこなせるようになることで、特定の従業員に負担が集中することも防げます。「その業務は自分にしかできないからその日は休めない」といった事態も減るはずです。
また、業務マニュアルを整備することは、新入社員や異動者の教育コストの低減につながります。教育担当者は1から全てを教えるのではなく、マニュアルだけでは分からない部分を教えればいいだけになるからです。また、マニュアルを基に教育することで、「何をどこまで教えたら分からない」といった事態を防ぎ、教育担当者による教育効果のばらつきを押さえられるのも大きなメリットです。
業務標準化で注意すべきこと
業務標準化は多くのメリットをもたらしますが、進め方によってはデメリットも生じてしまいます。これを防ぐためには、以下の点に注意が必要です。
標準化に向かない業務の見極め
業務の中には、標準化に向かないものもあります。例えば、法務やデザインの仕事のように、専門的な知識やスキルを必要とする業務は標準化するのが困難です。また、プロジェクト型の業務のように業務内容が頻繁に変わる場合は、せっかく標準化してもすぐに同じ方法が使えなくなるため、やはり向いていません。
先述したように、標準化すべき業務の見極めがあいまいになっていると、無駄な議論が増え、標準化すべき業務に回すべきリソースが減ってしまいます。不要な変更を加えることで、業務の品質や効率性が改悪されてしまうリスクもゼロではありません。したがって、標準化に際しては、標準化に適した業務を見極め、それに優先的に取り組むことが重要です。
過度なマニュアル化によるモチベーション低下リスク
業務の標準化を進める際、マニュアルは業務の効率化と品質向上に欠かせないツールです。しかし、過度に詳細なマニュアルを作成すると、社員が作業の自由度を感じづらくなる場合があり、モチベーションに影響を与える可能性があります。そこで、マニュアルはあくまで基本的な手順やガイドラインを示すものとし、社員が自ら判断できる余地を残すことが大切です。
マニュアル作成においては、社員の意見を取り入れつつ、業務の変化に合わせて柔軟に改善していくことが、社員の創意工夫を促しながら、モチベーションを維持するためのポイントとなります。
まとめ
業務の標準化は、属人化を防ぎ、業務効率化や品質向上に役立ちます。標準化の効果を高めるためには、合理性と再現性という2つのポイントに注目して議論を進めることが大切です。しかし、最初から完璧を求めすぎたり、対象範囲をあいまいなままにしたりしていると、標準化は停滞しやすくなります。まずは小さな範囲から着手し、段階的に標準化を進めることが有効です。さらに、業務に潜むムリ・ムダ・ムラをなくし、それにより空いたリソースによって新たな価値創造を進めることで、組織全体の競争力強化と成長が期待できます。









