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技術伝承をAIで実現!熟練工の暗黙知を組織の資産にする現場DX

技術伝承をAIで実現!熟練工の暗黙知を組織の資産にする現場DX

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ChatGPTをはじめとする生成AIの爆発的な普及から数年。ビジネスにおけるAI活用は、人間が指示を出して文章の回答を得る「チャットボット」の領域を過ぎ、AI自身が自律的に思考してタスクを完遂する「AIエージェント」の時代へと劇的な進化を遂げています。2026年現在、この最先端テクノロジーはホワイトカラーのデスクワークだけでなく、製造業をはじめとする最前線の「現場」における最大の課題――熟練工の引退に伴う「技術伝承」や「属人化の解消」――をも解決する強力な切り札として注目を集めています。

しかし、多くの企業が「汎用AIを導入したものの、現場に定着しない」「データは蓄積されたが、日々の業務改善や技術伝承にどう繋げればいいか分からない」という壁に直面しています。本記事では、生成AI活用の第一人者である株式会社Workstyle Evolution代表取締役の池田朋弘氏と、現場の「仕組み化」を支援する株式会社スタディストの木本俊光によるセミナーの模様をお届けします。AIエージェントがもたらす未来の業務効率化から、暗黙知を形式知化して現場へ確実に実装するためのリアルなアプローチまで、これからの時代に企業が生き残るための「次の一手」を紐解きます。

AIは「チャット」から「自律型エージェント」の時代へ

株式会社Workstyle Evolution 代表取締役 池田朋弘 氏(以下、池田):本日は、AI活用の最前線で今何が起きているのか、最前線の現場でこれから3〜5年後に向けて企業がどのような準備をすべきかについてお話しいたします。

現在、AI業界はこれまでにない大きな転換期を迎えています。象徴的な出来事として、ChatGPTを開発したOpenAIの製品責任者が「Chat is dead(チャットは死んだ)」という発言を残し、ネット上で大きな話題となりました。世界を変えたチャットAIの生みの親が、自らそのUI(ユーザーインターフェース)の終焉を告げたのです。

指示待ちの「カーナビ」から、目的を完遂する「自動運転」へ

池田:これは決して「チャット画面が消える」という意味ではありません。これまでの「一問一答型」のチャットボットから、こちらが大まかに依頼するだけでAI自身が目標を設定し、段取りを考え、様々なツールを駆使して仕事を最後まで完遂する「AIエージェント」の時代へ本格的に切り替わるという宣言なのです。

この変化を私は「車」に例えて説明しています。これまでのチャットアプリは、いわば「カーナビ」でした。道は教えてくれますが、実際にハンドルを握って運転するのは人間です。それに対して、これからのAIエージェントは「自動運転機能」です。行き先さえ告げれば、運転そのものをAIにお任せすることができます。少し便利になったという

レベルではなく、運転する主が人間からAIへと変わる、根本的なパラダイムシフトが今まさに起こっているのです。

AIカーナビ

指示は不要!熟練工の作業を「録画」してAIに再現させる最新技術

池田:2026年現在、ビジネスパーソンが当たり前に使えるエージェントアプリとして、以下の5つが台頭しています。

アプリ名 開発元 主な特徴・得意領域
Claude Code / Cowork Anthropic コード生成と実行が得意、開発・調査・資料作成まで対応
Codex OpenAI PC操作のレコード&リプレイ機能を搭載、長時間タスク向き
ChatGPT Work OpenAI 調査・資料作成・データ分析・業務自動化に対応。業務ツールとの連携も強み
Google Antigravity Google 最新のエージェント開発環境、Geminiベース
Copilot Cowork Microsoft Officeアプリと連携、ビジネス業務との親和性が高い

これらのツールがどれほどの実行能力を持っているか、MicrosoftのCopilot Coworkを例にご紹介しましょう。

1分の指示で10分のリサーチとパワポ資料作成まで一気通貫

池田:たとえば、PowerPointの社内テンプレートファイルを渡し、以下の指示を出します。

「Copilot Coworkの価値と具体的な活用方法を徹底的に調べ、Excelに整理して、さらにこのテンプレートを使ってプレゼン資料にして」

これまでのAIであれば、情報を調べて文章でまとめるのが限界でした。

しかしAIエージェントは、指示を読み込むとバックグラウンドで10分ほどかけてネット上の情報を網羅的にリサーチし、複数のシートにまたがって体系的に整理されたExcelファイルを自動生成します。さらに、事前に渡したPowerPointテンプレートのデザインルールや色使い、ページ番号を忠実に引き継ぎ、図形やダイアグラムを用いたプロフェッショナルなプレゼン資料まで、人間の確認を挟まずに最後まで作り切って保存してくれるのです。Web検索だけでなく、社内のデータベースや営業のやり取りなど、自社固有のデータを読み込ませてアウトプットを作ることもすでに日常の風景となっています。

私自身も、日々のコンテンツ制作業務の多くをエージェントによって完全自動化しています。調べた情報を読み込ませるだけで、SNS投稿用のテキスト作成やサムネイル画像の生成、WordPressやnoteへの自動登録、YouTube動画用の台本変換、さらに最終的なアナリティクスデータの管理ツール登録までを、私が一切オペレーションすることなく一気通貫で行っています。単なる情報収集には価値がない時代だからこそ、自分の主張や意見を多角的に発信するためにAIエージェントを使いこなすことが、これからのビジネスにおいて極めて重要になります。

プロンプト不要の「マルチモーダル」と驚異の「Record & Replay」機能

池田:AIエージェントの進化はさらに加速しています。これまでは文章(プロンプト)で細かく指示を出すスタイルが主流でしたが、今は人間が仕事を「やってみせる」だけで、AIがそれを学習して再現できる「マルチモーダル」の時代に入っています。動画や画像、音声、デスクトップの操作画面など、異なる種類のデータを1つのAIが同時に理解し、自律的にプログラムを組んで処理できるようになったのです。

実は、先ほどご紹介した「Claude Code」や「Codex」、「Google Antigravity」といったツール群は、どれもUI(画面の見た目)がほぼ一緒です。チャット画面の横にデスクトップやブラウザの画面が並んでいるような構成ですね。だからこそ、どれか1つを使いこなせれば他のツールもすぐに馴染めますし、今の時代はどれか1つに絞るのではなく、それぞれの強みに応じて複数のAIを使いこなすことがすごく重要になってきます。

特にOpenAIのCodexなどに搭載されている「Record & Replay(レコード&リプレイ)」機能は、本当につい最近出たばかりの画期的な機能です。これまでのようにRPAエンジニアが膨大な時間をかけて複雑な設定をしたり、ユーザーが難しいプロンプトを書き直したりする必要はありません。ブラウザ上での受発注業務や在庫確認、社内システムへの申請業務など、人間が実際に操作している様子を「録画」して、音声で少し指示を出すだけで、AIが自動的にその手順を理解し、次からは全く同じ操作を再現してくれるようになります。現場の担当者がシステムの前で実演してみせるだけで、業務の自動化が完了するのです。

パラダイム

コンサルタントの「脳内ノウハウ」も操作画面から自動でアセット化

池田:例えば、コンサルティング業務を例に考えてみましょう。これまでは、クライアント企業の課題をヒアリングして、過去のフレームワークに当てはめながら、人間が何時間もかけてスライドの構成やデータをこねくり回していましたよね。しかしこれからは、コンサルタントが「今回はこういう業界のこういう課題だから、このアプローチで分析するよ」と、実際のデスクトップ画面でリサーチやデータ分析の初動をやってみせるだけで、AIがその思考プロセスと手順を学習します。2回目以降は、AIエージェントがバックグラウンドで同様の調査から高度な分析、それから資料の骨子作成までを自律的に再現してくれる。まさにコンサルタントの「脳内ノウハウ」がそのまま自動化されるような世界です。

このように、「人間が作業している手順そのものをAIに学習させ、アセット化(仕組み化)する」というアプローチは、デスクワークだけにとどまりません。現場における「業務手順の可視化」や「マニュアル化」という文脈においても、これからは「難解なプロンプトを書いて指示を出す」のではなく、「実際の作業プロセスを見せて覚えさせる」スタイルへと劇的にシフトしていきます。

3〜5年後に訪れる「フィジカルAI」時代とデータ蓄積の重要性

池田:PC画面の中で起きている「やってみせる自動化」は、今まさにカメラやセンサーを通じてリアルの現場(工場や店舗)にも浸透し始めています。デジタル空間上で起きているパラダイムシフトは、これから 3〜5年後、間違いなくロボットをはじめとするリアル空間の「フィジカルAI」へと融合していきます。すでにNVIDIAなどの世界的テック企業も、チャットAI、エージェントAIの次の潮流としてフィジカルAIを明言しています。

「動画を見せるだけ」で動く次世代ロボットの登場

池田:これまでの工場のアーム型ロボットや店舗の配膳ロボットは、事前に人間が厳密なプログラムを組まなければ動作しませんでした。しかし、AIが「身体」を持つことで、人間が実際に洗濯物を畳んだり、食器を洗ったり、工場で作業をしたりする動画データを見せるだけで、ロボットがその動きの意図や暗黙知を理解し、物理空間で柔軟に再現できるようになります。普及のスピードに差はあれど、軽度作業(梱包・搬送・点検など)のロボット化は着実に進んでいくでしょう。

データがなければ最先端AIも自社の業務を再現できない

池田:ここで、私たち企業が今すぐ取り組まなければならない極めて重要なポイントがあります。それは、フィジカルAIであれエージェントAIであれ、現場のデータが蓄積されていなければ「AIに教える素材がない」という厳しい現実です。現場の人間がどう動いているのか、どのようなノウハウがあるのかが可視化され、データとして資産化されていなければ、どれほど最先端のAIが登場しても自社の業務を再現させることはできません。

現場のリアルな動きを動画や手順書としてデータ化しておくことは、短期的には「人の教育リソース」として新人育成や属人化解消に直結します。そして長期的には、数年後に訪れる「AIの学習データ」という企業のコア資産になります。「今やる一手に、未来の大きな価値がある」という意識を持ち、1日でも早く現場の暗黙知をデータ化することをお勧めします。

データ化

なぜ進まない?現場のAI活用を阻む「4つの壁」と解決策

株式会社スタディスト 事業推進本部 本部長 木本俊光(以下、木本):後半は私から、池田さんにお話しいただいた「AIエージェントの驚異的な進化」というマクロな潮流を受け、それをいかにして「泥臭い現場の実装」へと着地させるか、その具体的な課題と解決策についてお伝えいたします。

スタディストは、現場作業の可視化・標準化を手がけて15年、製造・小売・サービスなど2,400社以上の現場に手順化のプラットフォームを提供してきました。私自身も日々AIエージェントを業務に使い倒す一方で、”便利なはずのツールが現場で使われない”現実を数百の現場で見てきました。

池田さんのお話の最後にあった「人間がやってみせたプロセスを記録して、AIに再現させる」という進化は、まさにこれからの現場DXの核心を突いています。なぜなら、PC画面の上で「操作手順をログとして可視化・データ化する」ことと、工場や店舗の現場で「熟練工の動きを動画として可視化・データ化する」ことは、自社固有の暗黙知をデータ資産に変えるという意味において、全く同じ取り組みだからです。

将来的にAIエージェントやフィジカルAIを自社仕様にカスタマイズして動かすためにも、あるいは今日の現場で人間のスタッフを即戦力化するためにも、まずは「現場でブラックボックス化している手順を、誰でも・いつでも扱えるデータ(形式知)に変換しておくこと」が絶対の前提条件になります。

現場にAIツールを渡しても使われない「4つの理由」

木本:しかし、ここで多くの経営者やマネジメント層の皆様が、大きな矛盾に直面することになります。 これほど「現場のデータ資産化」の重要性が叫ばれ、便利なAIツールが溢れているにもかかわらず、なぜ実際の現場では「データの蓄積」も「AIの活用」も前に進まないのでしょうか?

私自身、日々の管理業務の中でAIエージェントを徹底的に活用しています。しかし、社内を見渡してみると、これほど便利なテクノロジーがあるにもかかわらず、「ついていけない」「自分たちの業務には関係ない」と感じている現場のスタッフが数多く存在しているのがリアルな現状です。なぜ、組織におけるAI活用はスムーズに進まないのでしょうか。現場から聞こえてくる「使わない理由」には、共通する4つの大きな壁があります。

・スキルが要る:「プロンプト」という難しい言葉や入力作業そのものに対するアレルギーがある。
・現場で使えない:世の中のAIツールの多くがPC操作を前提としており、スマートデバイス中心の現場(デスクレス)環境にフィットしていない。
・メンテナンス問題:社内独自のプロンプトやシステムを構築しても、AIのバージョンアップや業務プロセスの変更に伴うメンテナンスの手間が大きく、運用が続かない。
・成果が出ない:AIを使ってマニュアルや手順書を「作る」ことだけに満足してしまい、それを現場へどう伝え、日々の業務にどう組み込み、閲覧状況や業務品質の変更点がないかを検証する「PDCAの仕組み」がないため、成果に繋がらない。

4つの壁

どれほどAIエージェントが賢くなり、複雑な手順を数分でデータ化できるようになったとしても、そのアウトプットがシステムのログや文字だらけのテキストとして埋もれてしまっては、現場の人間は誰も見に行きません。現場が求めているのは、小難しい抽象論や文字だらけの回答ではなく、今この瞬間の作業を「迷わず、ミスなく行うための直感的な視覚指示」です。ここを見落としたまま汎用AIをただ導入するだけでは、組織のAI活用は必ず失敗します。

また、見落とされがちなのが、AIエージェント基盤そのものの維持コストです。たとえば今回も紹介された”動画解析にGeminiを挟む”ようなシステムも、誰かが組み、モデルの更新やAPI仕様変更のたびに保守し続けなければ止まります。現場の一機能のためにこの運用を自前で抱える余裕・タレントを持つ企業は、少ないのではないでしょうか。

プロンプト不要、現場のためのAIマニュアル「Teachme Biz」のアプローチ

木本:組織の隅々までAIの恩恵を届け、確実な技能継承と業務効率化を達成するためには、「誰でも使える(プロンプト不要)」「どこでも使える(モバイル対応)」「メンテナンスが簡単」「成果につながる」という4つの観点に特化した仕組みが必要です。

私たちが提供するAIマニュアル「Teachme Biz」は、いまも2,400社の現場で使われており、世の中のAIやAIエージェントへの関心が高まったこの1〜2年、導入のペースはむしろ加速しています。

ここには明確な理由があります。“現場のデータ資産化が重要だ”と気づいた企業ほど、最初の一歩として選べる現実解が、「今ある作業を、現場が自分で・迷わず・低コストで手順化できる仕組み」だったからです。 最先端のAIを自前で組むより前に、まず現場が回る。この順番を外さなかった企業から成果が出ています。

では、具体的に何をしているのか。

4条件2

まず、現場のスタッフにプロンプトのスキルを要求することを完全になくしました。作業者が実施するのは、スマートフォンやタブレットで実際の作業動画を選び、そこに「〇〇の操作手順」といった最小限のタイトルを入力することです。

あとは裏側にあるAIが、その動画の映像や音声を解析し、一連のプロセスを「ステップごと」に自動で分解します。さらに、人間の動きに合わせた自然な字幕や分かりやすい説明文までを、先回りして自動生成してくれます。

現場の作業台や機器に貼り付けられたQRコードから、今必要なマニュアルへ1秒でアクセスできる仕組みも備えており、現場のどこからでもアクセスできるよう、直感的に扱えるユーザー体験を第一に設計しています。多国籍なスタッフが働く現場であれば、生成されたマニュアルをその場でタイ語やベトナム語などへ簡単に翻訳することも可能です。

作成したマニュアルの維持・管理も、AIが表現を補正したり、必要な注意書きや重大なリスクに関する提案を自動で行ってくれるため、メンテナンスのハードルが劇的に下がります。

そして最も重要な「成果につながる」という点においては、動画だけでなく、既存の社内に眠っているExcelの古い仕様書やテキストデータをシステムに投入するだけで、AIが双方の情報を高い精度で統合し、重要なポイントや視覚的な注意点を整理したマニュアルを自動で生成する機能を備えています。AIエージェントの知恵を、現場の作業者が「迷わずに動ける実行力」へと変換し、正しく現場に浸透させていくこと。ツールを作るという段階から一歩進み、組織の習慣として技能を伝承していく仕組みづくりこそが、これからの現場DXの核心であると私たちは確信しています。

質疑応答(Q&A)

Q1. 各AIエージェントにおける「動画」の取り扱いについて、Claude Codeなどで直接動画を読み込ませることは可能ですか?

池田:現状、Claude自体が直接動画ファイルをネイティブに読み込んで解析する能力は持っていません。動画をそのまま丸ごと読み込ませて処理させる能力に関しては、Googleのマルチモーダルモデルをバックエンドに持っているAntigravityなどのツールが圧倒的に優位です。

ただし、Claude Codeであっても、外部のAPIや外部ツールと連携する仕組み(MCP:Model Context Protocolなど)を活用し、途中で動画解析が得意なGeminiのモデルをプロキシとして挟むようなシステム構成を組めば、間接的に動画を処理させることは技術的に可能です。まずは1つのツールを徹底的に使ってみて、利用枠の限界が来たときや、AIの挙動がおかしくなったときの代替手段として、複数のエージェントツールの特性を把握しておくというアプローチをお勧めします。

Q2. 個人や中小企業でも試せる「無料」のAIエージェントアプリはありますか?

池田: はい、本日ご紹介した主要なツールのうち、Googleの「Antigravity」やOpenAIの「Codex」は、一定の利用回数や機能制限はあるものの、基本的には無料で使い始めることができます。まずはご自身の身の回りの単純なタスクや、先ほどデモでお見せしたような動画からのテキスト起こし、Record & Replay機能などを実際に触って試していただき、その圧倒的な「自動運転の感覚」を肌で体感してみてください。

Q3. CodexとClaude Codeの具体的な違いや、使い分けの基準があれば教えてください。

池田:搭載されているLLM(大規模言語モデル)のベースが異なるため、アウトプットのクオリティやアプローチの「癖」に若干の差があります。現時点での一般的な評価としては、OpenAIのCodexのほうがより具体的なコードの記述や、実際のコーディング実装(手を動かして書くフェーズ)に対して非常に高い突破力を持っています。

一方で、AnthropicのClaude Codeは、システム全体の設計思想の整理や、コード全体の構造化、リファクタリングの綺麗さといった「設計・アーキテクチャの対話」において非常に洗練されたロジックを展開する傾向があります。とはいえ、これもスピード感を持って進化していますので、まずは自社の環境でどちらか一方を動かしてみることのほうが、はるかに価値があります。

まとめ|今すぐ現場の暗黙知をデータ化することが企業の生存戦略になる

AIエージェントの本格的な到来と、マルチモーダル化による「やってみせる自動化」の進化は、ホワイトカラーのデスクワークだけでなく、現場における技能伝承のあり方を根本から塗り替えようとしています。私たちは今、「AIに指示を出す」というフェーズから、「AIが人間の背中を見て業務を自律的に引き継ぐ」という、まったく新しいフェーズの入り口に立っているのです。

しかし、どれほど高度なAI自動運転の時代が来ようとも、そのベースとなる「現場の可視化されたデータ」が社内に存在しなければ、テクノロジーの恩恵を1ミリも受けることはできません。

ただし、データは”貯めた”だけでは資産になりません。現場の誰もが迷わず引き出せて、日々の作業で実際に使われ、変化のたびに更新され続けて、はじめて生きた資産になります。貯める仕組みではなく、現場が自分で回し続けられる仕組みがあるかどうか

——ここが、AIの恩恵を受けられる企業と、ツールだけが増えていく企業の分かれ道です。

私たちスタディストは、その「現場が自分で回せる状態」をつくることに専念してきました。最先端のAIを追いかける前に、まずは目の前の現場が明日から迷わず動ける一歩を。そこから始めた企業こそが、5年後のフィジカルAI時代に、最も豊かなデータ資産を手にしているはずです。

「今やる一手が、未来の大きな資産になる」という確信を持ち、目の前の現場の仕組み化から、未来へ向けた最初の一歩を踏み出していきましょう。

 

話し手
池田 朋弘
株式会社Workstyle Evolution
代表取締役

1984年生まれ。早稲田大学卒業。2013年に独立後、連続起業家として、計9社を創業、4回のM&A(Exit)を経験。 起業経験と最新の生成AIに関する知識を強みに、ChatGPTなどのビジネス業務への導入支援、プロダクト開発、研修・ワークショップなどを100社以上に実施。 著書に『ChatGPT最強の仕事術』『Gemini 最強のAI仕事術』『Perplexity 最強のAI検索術』など多数。YouTubeチャンネル「いけともch」は登録者数20万人超(2026年3月時点)。

話し手
木本 俊光
株式会社スタディスト
事業推進本部 本部長 / プロダクトマーケティングマネジメント室長 / AI Business Connector

京都大学卒。複数企業での新規事業推進・30社以上との事業提携に携わった後、現職。Teachme Bizの製品マーケティング・事業企画を担う。社内外へのAIビジネス活用の啓発・教育に取り組みながら、複数のAI企業経営者へのアドバイザーも行う。