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中小企業こそBPO活用を。人材不足と属人化を乗り越える経理・事務アウトソーシングの可能性

中小企業こそBPO活用を。人材不足と属人化を乗り越える経理・事務アウトソーシングの可能性

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「High Growth Companies Asia-Pacific」に選出され、地方創生テレワークアワード地方創生担当大臣賞を受賞するなど、注目を集めるBizMow株式会社。同社は「志ある経営者の縁の下の改革者」をミッションに掲げ、完全在宅勤務で約150名のスタッフと共に、中小企業の管理部門の強化と周辺業務のアウトソーシング(BPO)を支援しています。

今回は、同社の代表取締役である木村仁哉氏に創業のきっかけから、現代の中小企業が直面する人材不足と業務の属人化の課題について、詳しくお話を伺いました。

はじめに

BizMow株式会社 代表取締役の木村仁哉氏は 、慶應義塾大学法学部を卒業後、大手メーカーの新日本製鐵(現:日本製鉄)の財務部に勤務。管理会計業務に従事しました。2008年に同社を設立し、現在は全国各地や海外に在籍する約150名の完全在宅スタッフ(そのうち女性が9割)と共に、中小企業のバックオフィス業務の改革を牽引しています。

大手メーカー財務部からBPO事業立ち上げへ

――BizMowを立ち上げたきっかけや経緯についてお聞かせいただけますか?

BizMow株式会社 代表取締役 木村仁哉氏(以下、木村):以前は、新日本製鐵の財務部に3年ほど勤務していました。当時は全社の売上管理やグループ会社への投資・管理など、経営者が求める数字を可視化する管理会計を担っていました。その後、別の会社の経理部を経て独立しました。

――独立後はどのような活動をされていたのですか?

木村:数字が得意だったので、当初はファイナンシャルプランナーのような仕事をしていました。その中で、若年層のオフィスワーカーに向けて、経営者や起業家を招いた勉強会を定期開催するコミュニティ運営を約5年間続けていました。そのコミュニティから実際に事業を起こす人が次々と現れたのですが、彼らの事務や経理が「適切に機能していない」という実態を目の当たりにしたのです。

――「適切に機能していない」状態とは?

木村:起業家には、事務や経理が苦手な人が非常に多いと感じます。例えば、取引先からの請求書の支払いを忘れていたり、メールの文章が稚拙だったり。あるセミナーの事務局を手伝った際には、参加者60名の名簿がアイウエオ順ではなく申込順になっており、当日の出席者のチェック作業が非常に困難だったんです。これを見て、居ても立ってもいられなくなり「手伝いましょうか」と申し出たのが、現在のアウトソーシング事業のきっかけとなりました。

――「BizMow」という社名は、木村さんの活動の取り組みに繋がっているのでしょうか?

木村:そうなんです。社名には深い意味が込められています。「Mow」は、牛の鳴き声から来ていて、個人的に動物としての牛が好きだからでもあるのですが(笑)。牛は昔から田んぼ作りなど多くの労働を支えてきた存在であり、「最も縁の下の力持ちを象徴する動物」です。だからこそ、私たちはクライアント企業の縁の下の力持ちになろう、管理部門の改革者になろうというミッションを掲げています。

――ロゴにある羽根のマークには、どのような思いが込められているのですか?

木村:ロゴにある羽根のマークには、『自由』というイメージが込められています。社員、お客様、社会のそれぞれが自分のやりたいことに集中し、やりたい世界を実現することにつながれば、という思いが詰まっています。この思いを持ち続け、お客様の事務代行を通じて挑戦し続けられる環境を整えています。

完全在宅勤務という戦略……まっとうな時給で優秀な人材を獲得し急成長

――現在、御社には女性が9割を占める約150名の完全在宅スタッフがいらっしゃいますが、どのようにしてメンバーを募ったのでしょうか?

木村:今でこそ採用求人媒体を使っていますが、2015年当時はまだ使い方もわからなかったため、自分のFacebookで募集していました。求めていた人材は「在宅で仕事をしてくれる事務職の人」で、時給は吟味したうえで800円から1,000円くらいに設定しました。当時、在宅での仕事は「内職」と呼ばれ、時給200円から300円が相場でしたから、求職者には割りのいい仕事だと映ったようで、採用は比較的スムーズに進みました。

――最初のスタッフとの出会いも特別なものだったそうですね。

木村:今振り返ると、奇跡だと思っています。最初の募集で採用したのは森さんという女性でした。彼女は南米から日本に戻って来たばかりで、出産後も1週間で仕事への復帰を希望するという、とてもパワフルな人物でした(もちろん法律の観点からお断りしましたが笑)。元ツアーコンダクターで、見知らぬ土地でトラブルを自力で解決してきた経験から、課題解決力や柔軟な対応力が強い人だったんです。相手の状況を察して、先回りした提案をすることがお客様に受けたのでしょう。結果として、彼女が担当するお客様は軒並み発注業務量が増え、彼女一人で月に数百万円の売上をつくってくれました。

――実際のところ、事務代行、経理代行を依頼した顧客の定着率はいかがですか?

木村:ありがたいことに、解約率は比較的低く、現在でも年間で10パーセント程度に収まっています。その背景には、スタッフの技術力の高さがあります。入社時に5日間程度の研修やeラーニングの教材で学んだ後にチームに合流してもらいます。このような形で、定期的にスタッフのスキルアップを行っています。

専門人材の活用で広がる中小企業の可能性

――企業からの依頼はどのようなタイミングが多いのでしょうか?

木村:声がかかるタイミングは、ほとんどの場合「採用」というキーワードと重なっています。大きく分けて二つあり、一つは現在の担当者が辞めてしまった、または辞めそうというタイミング。もう一つは事業成長により人が必要になったというタイミングです。つまり、問題が起こってから、または事業が拡大してから依頼されることが多いのが実情です。

――BPOは「大企業のためのもの」というイメージもありますが、中小企業にこそ必要だと強調されるのはなぜでしょう?

木村:おっしゃる通り、BPOについて敷居が高いイメージを持つ方は多いです。しかし、大企業では一つの業務を二人以上で対応できる体制があるのに対し、中小企業では特定の人物しか対応できず、社長ですら内容を把握していないケースもあるので、一人抜けるだけで大騒ぎになるのです。例えば、経営数値のシミュレーション作成でも、得意な人なら1時間でできる業務が、社内の不慣れな人だと1週間かかってしまう、といったことが起こります。

――なるほど。中小企業が直面している課題についてどのようにお考えでしょうか?

木村:大きく二つの要因があります。一つはマクロ的な要因で、需要が増加しているのに人口減少により働き手が減っていることです。もう一つは、転職が一般的になったことで、企業が離職や代替人材の確保に対応しなければならない頻度が増えたことです。これにより、企業は以前よりも人材不足を強く感じやすくなっています。

中小企業は単純に採用力が弱い傾向にあることに加え、「業務の属人化」が深刻です。特定の担当者しかできない業務が多い状態では、生産性向上が頭打ちになります。特に経理や人事、総務、カスタマーサポートといったバックオフィス領域では、担当者が退職すると業務が完全に止まってしまうというリスクがセットになっています。もし外部の専門的な人材の強みを使うことができれば、そのカバーしきれない領域を埋めることができます。

――今後、BPOを活用すると、どのような未来が望めるでしょうか?

木村:中小企業全体として生産性が向上し、関わる人たちが心身とも豊かになると思っています。スタートアップの場合、起業家や初期のメンバーは事務方が得意ではないことが多いので、適材適所の観点から私たちのような外部の力を活用し、それぞれの強みを発揮できる役割を最大化していただけたらと思います。

取材・文:池田アユリ

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話し手
木村 仁哉
BizMow株式会社
代表取締役

1981年生まれ、慶應義塾大学法学部卒。 大手メーカーの財務部勤務を経て、2008年に同社を設立。 「志ある経営者の縁の下の改革者」をミッションに、管理部門の強化と周辺業務のアウトソーシング事業を行っている。 社員全員が完全な在宅勤務で運営を行っており、日本各地や海外など様々な拠点に約150名のスタッフが在籍。 アジア太平洋地域における成長企業として「High Growth Companies Asia-Pacific 2022-2025」に選出されたほか、当社の働き方モデルと地方創生への貢献が認められ「地方創生テレワークアワード・地方創生担当大臣賞」を受賞。