
外国企業によるインドネシアの不動産所有規制
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インドネシアでは、外国企業による不動産取得に関して厳格な法制度が整備されており、特に土地の所有は原則として認められていない。一方、建物については一定の条件を満たせば所有・利用が可能とされ、事業拠点を確保するための選択肢として活用されている。本稿では、外国企業による土地・建物の所有可否と関連規制について概説する。
目次
土地と権利
インドネシア共和国憲法第33条第3項では、「土地、水、およびそれらに含まれる天然資源は国家によって支配され、国民全体の最大の福祉のために利用されなければならない」と規定されており、土地は国家が管理するものと明示されている。したがって、後述する所有権を有する個人や法人であっても、土地は最終的に国家に帰属するとされている。
また、土地基本法1960年第5号(以下「土地基本法」という)第16条では、不動産に関する権利として、所有権(Hak Milik)、事業権(Hak Guna Usaha)、建設権(Hak Guna Bangunan)、使用権(Hak Pakai)などが定められている。
所有権(Hak Milik)
所有権は、土地を保有できる最も強力かつ完全な権利とされている(土地基本法第20条)。この権利は、インドネシア国民のみに認められており(同法第21条)、法人は内国・外国を問わず取得することはできない。また、二重国籍者による土地の所有も禁止されている(同法第21条)。
事業権(Hak Guna Usaha)
事業権とは、国が直接管理する土地を農業、漁業、または畜産のために耕作する権利である。この権利は、インドネシア国民または、インドネシア法に基づいて設立され、かつ国内に本拠を有する法人が取得できる(土地基本法第28条、第30条)。したがって、外国法人であっても、インドネシア国内に本拠があれば事業権の取得が可能である。
事業権の保持期間は原則25年(特別な事情がある場合は35年)で、最長でさらに25年間の延長が認められている(同法第29条)。また、第三者への譲渡や、抵当権(Hak Tanggungan)の設定も可能である(同法第28条、第31条)。
建設権(Haku Guna Bangnan)
建設権とは、自己が所有権を有さない土地の上に建物を建設し、その建物を所有する権利である。この権利は、インドネシア国民、またはインドネシア法に基づいて設立され、かつ国内に本拠を有する法人が取得できる(土地基本法第35条、第36条)。外国法人をインドネシア国内に設立し、現地で工場やオフィス等を設置する場合などに利用されている。
建設権の有効期間は30年であり、建物の必要性や状況に応じて、最長でさらに20年間の延長が認められている(同法第35条)。また、建設権は第三者への譲渡が可能であり、保持条件を満たさなくなった場合には、1年以内に第三者へ譲渡しなければならない(同法第36条)。

使用権(Hak Pakai)
使用権とは、土地を特定の目的で使用したり、土地から得られる収穫物を取得する権利である。その行使に関する権限や義務は、土地所有者との契約によって定められる(土地基本法第41条)。この権利は、インドネシア国民のほか、インドネシアに居住する外国人、インドネシア法に基づいて設立され、かつ国内に本拠を有する法人、および駐在員事務所が保持することができる(同法第42条)。
抵当権(Hak Tanggungan)
不動産に担保権を設定する場合には、抵当権が用いられる。抵当権とは、土地基本法に基づく土地に対して設定される担保権であり、他の債権者に優先して弁済を受ける権利を指す(土地および不動産に対する抵当権に関する法律1996年第4号、以下「抵当権法」という)。
抵当権を設定するには、抵当権設定者と抵当権者との間で、特定の債務を担保する旨の合意に基づき、抵当権設定証書を作成しなければならない(抵当権法第10条)。その後、不動産登記所において登記簿に登記することで、抵当権としての効力が発生する(同法第13条)。
債務者が債務不履行に陥った場合、原則として担保物件は競売によって売却される。ただし、抵当権設定者および抵当権者の合意がある場合には、任意売却も可能である。その際には、2紙以上の新聞への公告掲載や、利害関係者への通知などの手続きが求められる。










