
インドネシア進出形態と現地法人設立手続き
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インドネシアは約2億7,000万人以上の人口を有し、世界第4位の規模を誇る。また、物価や人件費の安さからも魅力的な市場の一つといえる。一方、外国資本にはさまざまな制限があり、進出方法については十分な検討が必要である。本稿では、同国への進出形態と、最も多い進出形態である現地法人の設立方法について説明する。
目次
1. 進出形態
外国人投資家がインドネシアに事業拠点を設立する場合の進出形態の選択肢は以下の通りである。
(1)現地法人の設立
(2)駐在員事務所の設置
(3)支店の設立
この中で最も一般的な形態は(1)の現地法人の設立である。
(1)現地法人の設立
現地法人は、インドネシア会社法にて、以下の3種類の形態が定められている。
①株式会社(PT: Perseoran Terbatas)
②合資会社(CV: Commanditaire Vennootschap)
③合名会社(Firma)
会社法上、「会社」とは、「契約に基づき設立され、株式に分割される授権資本金をもって企業活動を行い、この法律と施行細則に定められた条件を満たしている法人」と定義されている(会社法2007年第40号(以下「会社法」という)第1条)。
①〜③の中で、最も一般的な法人形態である①株式会社について、以下で詳しく解説する。
① 株式会社(PT)
・分類
株式会社は有限責任であり、出資元に応じて、外国資本投資企業(PMA: Perseroan Penanaman Modal Asing)と国内資本投資企業(PMDN: Perseroan Penanaman Modal Dalam Negeri)の2つに分類される。
また、株式会社は公開会社と非公開会社に分類され、公開会社はさらに、パブリック・カンパニー(PP: Perusahaan Publik)とエクイティ証券の公募を行う会社に分類される。
・設立時の資本金要件
株式会社の場合、1株でも外国資本が含まれる会社を設立する際には、「PMA」として会社を設立する必要がある。この場合、最低払込資本金および最低投資金額の双方が100億IDR(2024年11月28日時点の為替レートで約9,560万円)以上でなければならない。
一方、「PMDN」としてローカル企業を設立する場合、最低払込資本金は1,250万IDR以上、最低投資金額は5,000万IDR以上と定められている(会社法第40号32条、リスクベースの許認可および投資施設のガイドラインと手続きに関する投資調整庁規則2021年第4号(以下「投資調整庁規則」という)第12条)。
・設立時の株主要件
内資・外資に関係なく、会社設立に必要な株主は2人以上とされている(会社法第7条)。ただし、「PMDN」のミクロ小規模企業を設立する場合には、個人株主1人での設立も可能である(雇用創出に関する政令2022年第2号を法律化する2023年第6号第153条)。ミクロ小規模企業の定義として、(a)事業の純資産(土地および事業用建物を除く)が5億IDR以下であること、(b)年間売上が25億IDR以下であること等を満たす必要がある(ミクロ小中規模企業に関する法律2008年第20号第6条)。
株主数が2人を下回った場合には、現行の株主が6ヵ月以内に株式の一部を他の新株主に譲渡する、またはそれがなされない場合、会社は他の株主に新株を発行しなければならない(会社法第7条)。
公開会社の場合には、株主数が300人以上、払込資本金が3億IDR以上必要である(資本市場法1995年第8号第1条)。

2. 株式会社の設立手続き
株式会社の設立手続きは、概ね以下のような流れとなる。
(1)登記前の準備
登記前には以下の準備が必要である。
①会社名の決定
②公証人の下で定款を作成
③会社が入居するオフィスビル管理会社などから会社が所在する旨の証明書を取得
④税務署から納税番号(NPWP)を取得
①の会社名は、3単語を組み合わせた名称にする必要があり、既存の会社名やそれと類似する名前は禁止されている。また、英単語3文字の名前は申請が通らない傾向にある。
③の所在地については、バーチャルオフィスやレンタルオフィスでも会社登記は可能である(会社法第8、16条、投資調整庁規則第20、21条)。
(2)会社の登記
会社設立に関する法務人権大臣承認書を取得し、会社登記を行う。この手続きは、公証人が法務人権省一般法務総務局(AHU)のオンラインシステム(SABH)を通じて実施する。会社設立が認められると同時に、NPWPの番号が割り振られる仕組みとなっているため、(1)の手続きが順番通りに進まない場合もある。
その後、事業基本番号(NIB)の取得や事業許認可の取得手続きを行う必要がある。事業許認可の取得においては、事業に応じたリスクレベルが定められており、対応しているリスクレベルで、別途環境承認や建物承認などが必要になる場合もある(リスクベースの許認可の実施に関する政令2021年第5号第1、30、33条、投資調整庁規則第3、16~20、31、32条)。
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