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バングラデシュ進出形態と現地法人設立手続き

バングラデシュ進出形態と現地法人設立手続き

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バングラデシュは1億7,000万人を超える人口と高い成長率を背景に、投資先として魅力的である。同国に事業拠点を設立する際の選択肢としては、現地法人、支店、駐在員事務所、プロジェクトオフィス、OPC(One Person Company)が挙げられる。本稿では、各進出形態の特徴と設立方法について説明する。

1. 進出形態

外国人投資家がバングラデシュに事業拠点を設立する場合の進出形態の選択肢は以下の通りである。

(1)   現地法人/子会社の設立

(2)   支店の設立

(3)   駐在員事務所/連絡事務所の設置

(4)   プロジェクトオフィスの設立

(5)   OPC(One Person Company)の設立

(1)現地法人/子会社の設立

現地法人および子会社は、会社法にて、以下の3種類の形態が定められている。

①株式有限責任会社:株主が出資の限度で責任を負う。

②保証有限責任会社:会社の清算時に、株主が定款に定めた範囲で責任を負う。

③無限責任会社:株主が会社の債務に対して無制限に責任を負う。

 

①〜③の中で、最も一般的な法人形態は①株式有限責任会社である。

株式有限責任会社は、さらに、非公開会社と公開会社の2種類に分類される。非公開会社とは、付属定款上、(a)譲渡制限の定め、(b)株式または社債の引受公募を禁止する旨の定め、(c)株主数(従業員を除く)を50名以下に限る旨の定めがある会社を指す。公開会社は、非公開会社に該当しない会社を指す。

(2)支店の設立

支店は、外国企業の支店であり、製造や加工事業を行うことはできないが、投資開発庁(BIDA)から承認を受けた範囲内で営業や商業活動を行うことは可能である。

(3)駐在員事務所/連絡事務所の設置

駐在員事務所/連絡事務所は、投資環境の情報収集や市場調査を行うことを目的として設立されており、営業や商業活動を行うことはできない。

(4)プロジェクトオフィスの設立

プロジェクトオフィスは、政府の開発プロジェクトに従事する組織を対象として想定されている。そのため、該当しない場合にはプロジェクトオフィスは選択肢に含まれない点に留意が必要である。

(5)OPC(One Person Company)の設立

OPCは、払込資本の額や売上高に制限が設定されており、バングラデシュの起業家を対象とした法人形態である。外国人による登記を制限する規定は存在しないが、実際には外国人投資家がOPCとして登記したケースは確認されていない。

2. 設立手続き

(1)現地法人/子会社

現地法人/子会社の設立手続きは、概ね以下のような流れとなる。

 

①会社名登録

 

②会社法に則った定款の作成

基本定款には、会社名称、資本、構成員の責任などを記載し、付属定款には、会社の規則や運営に関する内容を規定する。会社法の規定により、非公開会社の場合、株主は2名以上が必要である。また、取締役も2名以上必要とされており、株の保有が要件とされている。ただし、法人株主の代表者が取締役に就任する場合には、株の保有は要件とされない。

 

③銀行の仮口座開設

銀行に仮口座を開設し、資本金を振り込み、着金証明書(Encashment Certificate)を取得する必要がある。

 

④ 商業登記所(RJSC)への登記

商業登記所で登記を行い、会社設立承認証(Certificate of Incorporation)を取得する。

 

⑤営業許可証(Trade License)の取得

法人所在地の地方自治体に申請し、営業許可証を取得する。なお、営業許可証は毎年度の更新が必要である。

 

⑥納税者識別番号(TIN)の取得

 

⑦付加価値税(VAT)の事業者登録証の取得

 

⑧投資開発庁(BIDA)への登録(必要な場合)

 

⑨銀行の本口座の開設

 

⑩輸入許可証(IRC)・輸出許可証(ERC)の取得(必要な場合)

 

(2)支店

支店・駐在員事務所/連絡事務所の設立手続きは、概ね以下のような流れとなる。

 

①投資開発庁(BIDA)への登録

提出書類はすべてバングラデシュ大使館または商工会議所による認証が必要である。また、日本語で作成された書類については、翻訳、翻訳者の宣言書に対する公証、公証に対する日本の法務局および外務省による承認手続きが必要とされる。

 

②銀行口座開設

銀行口座を開設し、最低5万ドルの初期運営費を振込み、取引先銀行を通じてバングラデシュ中央銀行への報告を完了する。

 

③納税者識別番号の取得

 

④付加価値税(VAT)の事業者登録証の取得

 

⑤営業許可証の取得(必要な場合)

 

(3)駐在員事務所/連絡事務所

駐在員事務所/連絡事務所の開設手続きは、支店と同様である。

 

(4)プロジェクトオフィス

プロジェクトオフィスの開設手続きは、支店の開設手続きとほぼ同様である。ただし、プロジェクトに関する文書の提出が追加で必要となる。

 

3. 優遇措置

国内外の投資を促進するため、経済特区(EZ)や輸出加工区(EPZ)に進出する企業には、法人税の減免など各種優遇措置が設けられている。これらの地域への進出にあたっては、商業登記所(RJSC)で会社登記を行った後、経済特区庁(BEZA)または輸出加工区庁(BEPZA)を通じて投資許可を取得する必要がある。

図表1 バングラデシュ進出形態別設立手続き

執筆者
藤本 抄越理
TNY Legal Bangladesh Limited
Director

TNYグループのミャンマーオフィスを経て、TNYバングラデシュの立ち上げに携わり、2021年よりダッカ常駐。JETROダッカ事務所プラットフォームコーディネーター、中小機構・中小企業アドバイザーを務める。日バ商工会(JBCCI)理事。主な著作に「バングラデシュ投資・労務ガイドブック」(Amazon)などがある。

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TNY Legal Bangladesh Limited

TNY Legal Bangladesh Limitedは、バングラデシュに進出済み、または進出予定の日系企業に対し、リーガルコンサルティングサービスを提供している。法人設立、契約書の作成およびレビュー、労務問題や取引先との紛争対応、法律調査など、幅広い業務に対応している。2024年から会計・税務サービスも提供している。
【共同代表弁護士】堤 雄史・永田 貴久