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タイ法人の清算・撤退時に必要な会計・税務手続き

タイ法人の清算・撤退時に必要な会計・税務手続き

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近年、タイの日系企業は、別の国へ拠点を移転したり、事業から撤退したりするケースが増加する一方で、M&Aなどを活用して拠点の拡大を検討するケースもあり、2極化が進みつつあります。本稿では、タイ法人の清算や撤退時に留意すべき会計・税務面の手続きについて解説します。

債務超過の解消

親会社からの借入金が多く、タイ法人に返済できるほどの預金がない場合には、債務免除を行います。債務の額に応じて発生する「債務免除益」は収益として計上されるため、過去の繰越欠損金(5年間)を超える額には20%の法人税が課税されます。過去の繰越欠損金や当期の損失分と相殺可能な範囲であれば、債務免除益として処理するのが工数がかからず望ましいですが、債務免除益が繰越欠損金を上回り法人税が発生する場合は、企業グループ全体で考えるとグループ外へのキャッシュアウトとなります。そのため、大きな債務を抱えている企業は、まずこの債務をどのように解消するかを検討する必要があります。

図表1 親会社からの増資処理による債務超過の解消
他の国では、債務株式化(債務を資本金に振り替える処理)が可能な場合がありますが、タイの非公開会社では債務株式化(DESとも呼ばれます)はまだ法律上規定されていません。そのため、法人税を抑えたい場合には、一度親会社から増資処理を行い、実際に現預金をタイ企業へ振り込み、その後、債務を一定金額返済し、繰越欠損金額と相殺可能な額まで抑える処理が必要となります。

また、法人の閉鎖手続きを行う前に増資の処理が必要となるため、より多くの日数を要する可能性があります。さらに、タイの銀行によって債務の返済処理に必要な書類が異なるため、その点も事前に確認する必要があります。

固定資産、在庫の廃棄

こちらは税務調査などで最も指摘されるポイントになります。タイでは、在庫や固定資産を廃棄した場合でも、売上と同様に市場価格に基づいてVAT(付加価値税)7%の支払いが必要となります。「売れていないからそのまま処分してしまおう」と適当に処分すると、思わぬ形で莫大な税金が発生する可能性がありますので、細心の注意が必要です。売れない場合でもスクラップにし、廃品回収企業から見積もりを取得の上、売却などの手続きを行うことで、税金を抑えることができます。

親会社ローンに対する未払利息や海外からのサービス輸入の未払金処理

親会社からの借入金に対する未払利息や、知識・技術移転を伴う海外からのサービス輸入に対する未払金には、通常、支払い時に15%の源泉徴収税が発生します。これらの未払金を債務免除として処理し、帳簿上で「雑収入」に振り替えた場合でも、源泉徴収税の納税を指摘された事例が過去にありました。債務免除により支払いをしなくても、税金の支払い義務は免除されないケースもあるため、十分な注意が必要です。

まとめ

タイ法人の清算や撤退時は、債権債務の整理の段階で予期せぬ課税が発生することがあるため、解散登記の前に(増資などの手続きが可能な時期に)債権債務の処理の目途を立て、解散時にはほぼ債権債務がなくなっている状態が理想です。合わせて、売却や事業譲渡、固定資産の売却なども事前に検討すべき事項となります。早めに専門家に相談しながら計画を立てることで、結果的にグループ全体のキャッシュアウトを最小限に抑えることができます。

企業再建や閉鎖手続きを検討されている企業様は、ぜひご連絡ください。

執筆者
高橋 周平
Tokyo Consulting Firm Co., Ltd.
ASEAN Regional Manager

東京コンサルティンググループ入社後、東京税理士法人にて会計税務や財務分析によるコンサルティングを担当。2017年4月より、東京コンサルティングファームタイにて日系・外資企業の経営を会計税務、法務など多分野でサポート。ASEANやインド、バングラデシュの統括として各国の市場開拓やマネジメントを行う。

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東京コンサルティンググループ(TCG)は、1998年に東京本社を設立し、現在アジア市場を中心に世界26ヵ国44拠点で事業を展開している。主に日系企業の進出支援から現地での会社運営(会計・税務、法務、労務など)までをワンストップでサポート。近年はクロスボーダーM&A支援も手がけ、日系企業の海外展開に寄り添ったサービスを提供している。