
フィリピンでの会社設立
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「フィリピンで会社を設立したい」「子会社を作りたい」——でも、何から始めればいいのか分からない……。フィリピンには日本と異なるルールや規制があるため、法人形態や手続、必要な役職、税務リスクなどを事前に把握し、慎重に進めることが重要です。本稿では、会社設立のポイントを概説し、各項目の詳細は次回以降で取り上げます。
目次
フィリピンの法人形態(会社の種類)
フィリピンで会社を設立するには、主に3つの法人形態があります。
株式会社
最も一般的な法人形態で、フィリピン国内の企業として独立して運営できます。フィリピンでしっかりとした事業基盤を築きたい場合は、この形態を選ぶのが一般的です。親会社とは別の法人格になるため、リスクがフィリピン法人内に限定される点も魅力です。ただし、設立と維持にかかるコストは、他の形態よりも高くなります。
支店(Branch Office)
日本の親会社の一部として、フィリピンで事業を行う形態です。株式会社に比べて維持費用を抑えられるのが利点です。一方で、法人格が日本の親会社と同じであるため、フィリピンで法的トラブルが発生した場合、そのリスクが直接日本の親会社に及ぶ可能性があります。また、一部の例外を除き、20万ドルの資本金を払い込む必要があります。
駐在員事務所(Representative Office)
営業活動や市場調査を行うための拠点であり、契約の当事者にはなれないのが特徴です。つまり、フィリピンで直接収益を得ることはできません。ただし、維持費用は比較的低く抑えられます。
会社設立の基本的な流れ
フィリピンで会社を設立するには、以下の流れで進めます。
事前準備
まず、役員の選定、事務所の確保、外資規制の確認を行います。外資規制の対象となる業種では、外国人による株式保有比率に制限があるため、事前の確認が不可欠です。外資規制の概要はJETROが公表しており、「フィリピン ネガティブリスト」と検索すれば最新版を確認できます(内容は定期的に更新されます)※1。
また、会社を経済特区(PEZAなど)に設立することも、検討しておきたい選択肢の一つです。経済特区に設立することで、法人税の減免などの税制優遇を受けられる可能性があります。ただし、登録可能な業種には制限があるため、自社のビジネスが対象となるかを事前に確認しておく必要があります。
SEC(証券取引委員会)への登録
会社名や株主などの必要事項を記入して、SECへの登録手続を行います。設立には通常6ヵ月程度かかりますが、場合によっては1年以上かかることもあります。
税務登録・営業許可などの手続き
会社設立後は、BIR(国税局)での税務登録や、地方自治体での営業許可(Business Permit)の取得など、各種手続きを進めます。
会社設立時に必要な役職
フィリピンでは、会社を設立する際に特定の役職を必ず置かなければなりません。日本には存在しない役職もあるため、注意が必要です。
• 取締役(Director)
会社の経営方針を決定する役職で、原則として2名以上の任命が求められます(1名での設立が可能なケースもありますが、ここでは割愛します)。取締役は、最低1株以上の株式を保有していなければなりません。なお、外資規制の対象となる会社の場合、代表取締役(President)はフィリピン人である必要があります。
• 秘書役(Secretary)
日本には存在しない役職で、会社の書類管理や法的手続を担当します。フィリピンに居住するフィリピン人でなければならないというルールがあり、外国人がこの役職に就くことはできません。また、代表取締役(President)との兼任は認められていません。
• 財務役(Treasurer)
会社の財務管理を担当する役職です。この役職に就く者はフィリピンに居住している必要があり、場合によってはフィリピン人であることが求められることもあります。代表取締役(President)との兼任は認められていませんが、秘書役(Secretary)との兼任は可能です。
設立時の留意点と専門家の選び方
税務リスクに注意
フィリピンは、税務リスクが高い国とされています。突然、数千万〜億単位の追加課税の通知が届くこともあり、慎重な税務管理が求められます。こうしたリスクを回避するには、現地の税理士や会計士と定期的に相談し、適切な税務対応を行うことが重要です。
専門家の選び方
どの専門家に依頼するかによって、会社設立のスムーズさは大きく変わります。
• 英語が堪能で、フィリピンの文化に慣れている場合
フィリピン人の弁護士や会計士に直接依頼することで、費用を抑えられます。
• 英語が苦手、あるいはフィリピンの文化に不慣れな場合
日本人が窓口となっている専門家に依頼すると、間に日本人が入るため、スムーズに手続を進めることができます。ただし、フィリピン人専門家に直接依頼する場合と比べて、費用はやや高くなる可能性があります。
▶ フィリピン進出時に役立つ情報サイト
※定期更新のため、リンク切れとなる場合があります。
・『フィリピンの投資環境』国際協力銀行(JBIC)による投資環境に関する解説資料
・『フィリピン法律あらかると』日本人弁護士による法律コラム
・『フィリピン会計・税務ハンドブック』PwCによる会計・税務に関する解説資料
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