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定型業務・非定型業務の違いと業務改善への活かし方

定型業務・非定型業務の違いと業務改善への活かし方

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「うちの業務は非定型なものばかりで、効率化のしようがない」。業務改善の議論では、こうした声が少なくありません。しかし、非定型に見える業務も分解すると、手順として固められる部分と、人の判断が欠かせない部分とが混在しています。

本記事では、定型業務と非定型業務の定義と判断基準から整理し、製造・物流・多店舗展開の現場に即した具体例を紹介したうえで、改善につなげる進め方を解説します。何を仕組みに任せ、何を人が担うかを見極める土台としてお役立てください。

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定型業務と非定型業務の基本的な違い

定型業務と非定型業務は、業務の重要度ではなく、進め方が固定されているかどうかで区別されます。まずは両者の定義と、どちらに当たるかを見極める目安を整理します。

定型業務の定義と判断基準

定型業務とは、手順やフローがあらかじめ決まっており、同じ条件であれば誰が実行しても同じ結果が得られる業務です。人の判断をほとんど必要としないため、マニュアル化しやすく、教育にかかる時間も短く済みます。

自社の業務が定型業務に当たるかどうかを見極めるには、次の3点が目安になります。

  • 作業手順が固定されているか
  • 都度の判断を挟まずに進められるか
  • 決められたルールどおりに処理できるか

3つとも当てはまる場合は、標準化の対象として検討しやすい領域といえます。定型業務は、成果が担当者のスキルに左右されにくい点で、組織の安定性を支える部分でもあります。裏を返せば、ここで品質のばらつきや手戻りが起きているなら、改善の余地は小さくありません。

非定型業務の定義と判断基準

非定型業務とは、毎回同じ処理では対応できず、その都度の判断や例外対応が求められる業務です。ルール自体は存在していても、案件ごとに前提条件が変わるため、手順を一本化しにくい特徴があります。

判断の目安は定型業務の裏返しです。状況によって進め方が変わること、判断材料を集めたうえでの意思決定が必要になること、過去の事例をそのまま当てはめられないこと。こうした要素があれば非定型業務です。

担当者の経験やスキルによって成果が変わりやすいため、非定型業務では属人化が起きやすくなります。特定の人にしか処理できない状態が続くと、異動や退職のたびに業務が滞るリスクが高まります。非定型業務が多いこと自体よりも、属人化を放置している点 のほうが重い課題です

定常業務・ルーティンワークとの違い

定型業務と混同されやすい言葉に、定常業務とルーティンワークがあります。
定常業務は、発生するタイミングが定期的かどうかで分類する言葉です。日次の在庫確認や月次の締め処理のように決まった周期で繰り返す業務を指し、手順が固定されているかを問う定型業務とは切り口が異なります。

定常業務と定型業務は重なることも多いものの、必ずしも一致しません。たとえば月次の営業会議での方針決定は、毎月発生するという意味では定常業務ですが、その場の数字や市場環境を踏まえた判断が要るため非定型業務です。

ルーティンワークは、定型業務の日常的な言い換えと捉えて差し支えありません。この3つを切り分けると、「毎日発生しているから改善対象」ではなく「手順を固められるから改善対象」という見極めができます

定型業務の具体例

定型業務が実際にどのような形で存在しているのか、現場ごとに見ていきます。
製造では、組立ラインで手順どおりに進める作業、品質チェックシートへの記録、設備の定期点検などが挙げられます。作業の順序と合否の基準が定められ、記録の様式も統一されています。

物流では、ピッキング、梱包、入荷検品、配送伝票の作成といった一連の作業が該当します。取り扱う商品が変わっても、作業そのものの流れは変わりません。
多店舗展開する小売・飲食では、開閉店時のチェックリスト、レジ締め、日次売上の本部報告などが定型業務です。店舗ごとに立地や客層が異なっても、これらは同じ手順で運用したい部分です。

このほか、経費精算や請求書発行、勤怠集計といったバックオフィスの事務作業も代表例です。共通するのは、手順が固定され、マニュアルがあれば誰でも一定の水準で対応できる反復作業である点です。ミスやばらつきが起きているなら、手順が現場に行き渡っていない可能性を疑う必要があります。

非定型業務の具体例

同じ現場のなかにも、非定型業務は数多く存在します。

製造では、設備トラブル時の原因特定と対応方針の判断、不良品発生時の工程改善策の立案などが典型です。症状は似ていても、原因も打ち手も異なることが多くあります。
物流では、配送トラブルへの対応やイレギュラーな顧客要望への調整、天候や交通状況を踏まえたルート変更の判断が挙げられます。

多店舗展開する小売・飲食では、エリア特性を踏まえた売場づくりや販促の立案、スタッフの育成と評価が該当します。同じ施策でも店舗によって効果は変わり、現場ごとの読みが求められます。

バックオフィスであれば、新規施策の企画立案や、投資判断に向けた資料作成と提言が該当します。いずれも担当者の経験や判断が結果を左右し、マニュアルだけでは対応しきれません。ただし手をつけられない領域ではなく、判断の拠りどころを整理すれば、対応の質をそろえる余地は残されています

定型業務を変革する「型づくり」のアプローチ

定型業務は、手順が決まっているからそのままでよい、というわけではありません。実際には手順が現場ごとに違っていたり、マニュアルが更新されないまま形骸化しているケースもあります。ここでは、定型業務を組織の型として機能させる進め方を2つに分けて整理します。

業務プロセスの可視化と「型(マニュアル)」への落とし込み

最初に取り組みたいのが、業務プロセスの可視化です。誰が、どの順番で、何を使って進めているのかを書き出し、実際の作業を明らかにします。見えてくるのは、担当者ごとの手順の違いや二重の確認作業、使われていない帳票といった、日常では気づきにくいズレです。

可視化ができたら、それを型として使える形に落とし込みます。マニュアル化により業務品質の均一化が進みやすくなり、新しく配属された人が戦力になるまでの期間の短縮にもつながります。

注意したいのは、過剰な作り込みです。網羅的な文書を一度作ったきり、現場では誰も開かないまま古くなる状態は珍しくありません。現場が「これなら毎日無理なく使える」と感じる粒度に整え、更新しやすい形にしておくことが、形骸化を防ぐポイントです。写真や動画で手順を示す、変更箇所だけを直せるようにするといった工夫も有効です。

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判断基準の明文化によるオペレーションの再現性確保

手順が書かれていても、判断基準が共有されていなければオペレーションの質にはブレが出ます。「異常を検知したら報告する」と定めても、どの数値から異常と見なすかが人によって違えば、報告のタイミングも内容もそろいません。多店舗展開している企業では、廃棄の判断基準や値引きを始める時刻が店舗ごとに異なり、顧客の体験に差が生まれます。

そこで必要になるのが判断基準の明文化です。どの条件でどう動くのかを数値や具体的な状況とともに言葉にしておくことで、担当者が変わっても同じ結果を出せる状態、つまりオペレーションの再現性を確保しやすくなります。

あわせて意識したいのが、一度決めた基準を固定しないことです。取り扱う商品や設備、人員体制は変わり続け、想定外の事象も起こります。現場のメンバー自身が基準を見直し、更新し続けられる運用を前提に設計しておくことが、基準を生きたものとして保つ条件です。更新の権限と手順をあらかじめ決めておくとよいでしょう。

非定型業務を整理する「見える化」のアプローチ

非定型業務をまるごと標準化するのは現実的ではありません。ただし、非定型と呼ばれる業務のすべてが判断を要するわけではなく、分解すれば型にできる部分が含まれます。ここでは扱いやすい単位に整理する考え方を紹介します。

非定型業務の分解と定型化できる部分の特定

非定型業務は、全体をひとかたまりで捉えず、「毎回異なる判断が必要な部分」と「条件によってルール化(定型化)できる部分」に分けるところから始めます。

たとえば製造現場の設備トラブル対応では、原因の特定と復旧方法の選択に判断が要りますが、一次連絡先や記録項目、報告のタイミングはルール化できます。店舗のクレーム対応でも、緊急度の見立てや担当者への振り分け、初動の定型的な返答は条件分岐として整理できます。

切り分けの出発点は、やはり業務プロセスの可視化です。判断が発生している箇所を洗い出し、前後の作業を並べてみると、実際に判断を要しているのは全体のごく一部だったということも少なくありません。ルール化できる部分を先に固めれば、担当者は本当に判断が必要な場面に集中できるようになります。

属人化したノウハウの言語化と共有

判断そのものを完全に定型化することはできませんが、「どんな状況でどう判断するか」を文書として残すことはできます。ベテランが無意識に行う見極めの言語化が、属人化を和らげる糸口です。

具体的には、フローチャートで判断の分岐を描く、判断マトリクスで軸と閾値を整理する、実際の事例をFAQの形で蓄積するといった方法があります。ヒアリングで「なぜそう判断したのか」を掘り下げると、暗黙のうちに使われている基準が表に出てきます。

すべての判断を網羅する必要はありません。よく発生する状況のパターンを整理するだけでも、担当者が変わった場合の対応品質の低下を抑えることができます。蓄積した内容を誰でも参照でき、現場が更新できる状態にしておくことで、個人の経験が組織の資産へと変わっていきます

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まとめ

定型業務と非定型業務、両者を分けるのは業務の重要度ではなく、手順を固められるかどうかです。発生タイミングで分類する定常業務とは切り口が異なり、定型業務と非定型業務の違いを踏まえた仕分けが改善の出発点になります。

定型業務は、業務プロセスを可視化して現場が使える型に落とし込み、判断基準を明文化することで再現性を高められます。非定型業務も、判断が必要な部分とルール化できる部分に分解すれば、後者は型にできます。残る判断の領域も、基準を言語化して共有すれば属人化を和らげられます。

ただし、仕分けと可視化は第一歩にすぎません。現場が自ら基準を見直し、回し続けられる仕組みへと育てていくことが、オペレーションの変革、ひいては組織の変革につながります。ムダのない流れを継続的に追求するリーンオペレーションも、その延長線上にある考え方です。まずは自社の業務を書き出すところから始めてみてください。