
【2026年改正】女性活躍推進法とは?改正内容や目的、 基本原則などをわかりやすく解説
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女性活躍推進法は、女性が能力を十分に発揮しながら働き続けられる職場環境を整えるために制定された法律です。本記事では、2026年改正の主なポイントと企業が行動計画を策定するためのステップを解説します。加えて、国の支援制度や今後の課題と展望についても紹介します。改正法の全体像を把握したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
2026年に改正される女性活躍推進法とは
2026年4月から改正女性活躍推進法が順次施行されます。改正ポイントについて見る前に、まずは法律の目的と基本原則を整理します。
女性活躍推進法の目的
女性活躍推進法は、働く意欲のあるすべての女性が、自分の能力を発揮して社会のさまざまな場面で活躍できる環境を整えることを目的に制定されました。少子高齢化や人手不足が進む中、多様な価値観を組織に取り入れることは、社会の活力を維持するうえでも不可欠です。
同法では、事業主(国・行政機関・企業等)に対して女性の登用を進めるための「行動計画」を策定・公表し、女性活躍に関する情報を積極的に公開することを求めています。これにより、求職者が自分に合った職場を選びやすくなる仕組みが整えられています。
総じて、女性が安心して長く働き、社会全体がより豊かになることを目指す点が、この法律の本質的な目的です。
女性活躍推進法の基本原則
同法の基本となる考え方は、以下の3つです。
①女性に対する採用、昇進等の機会の積極的な提供と、女性の慣行や健康の特性に留意しつつ個性と能力が十分に発揮できるようにすること
②女性が結婚・妊娠・出産・育児・介護、その他の家庭生活に関する事由により、やむを得ず退職することが多いといった影響を踏まえ、職業生活と家庭生活の両立が円滑かつ継続的にできるように環境を整備すること
③活躍を推進するにあたって、女性の職業生活と家庭生活との両立については本人の意思が尊重されるべきであること
参照元:女性の職業生活における活躍の推進に関する法律第二条|e-Gov検索
参照元:厚生労働省|女性活躍推進って何のこと?_2.基本原則(第2条)
女性活躍推進法が求められる背景
女性活躍推進法が制定・改正される背景には、日本特有のジェンダーギャップや労働市場の課題があります。それぞれのトピックについてデータを交えながら解説します。
日本におけるジェンダーギャップの現状
ジェンダーギャップとは、男女間の性差によって生じる格差を指す言葉です。「ジェンダー」とは、「女性・男性」といった生物学的な性別ではなく、社会的・文化的に形成される性の概念です。こうした社会的な性差に基づく不平等は、国際的な指標によって可視化されています。
日本のジェンダーギャップは、複数の国際指標によってその課題が明確に示されています。世界経済フォーラムが2025年6月12日に発表したジェンダー・ギャップ指数(GGI)で、日本は148ヵ国中118位と低い順位に位置し、特に政治分野での遅れが全体の順位を押し下げています。
また、人間開発の基本側面(健康、知識、生活水準)における性差を測るジェンダー開発指数(GDI)は193ヵ国中89位で、中間的な位置付けです。健康や教育の分野では一定の成果が見られる一方、所得や経済的自立の面では男女格差が依然として存在しています。さらに、ジェンダー不平等指数(GII)では172ヵ国中22位と比較的上位にありますが、労働参加や意思決定の場における男女差はなお大きい状況です。これらのデータから、日本が構造的なジェンダー不平等という課題を引き続き抱えていることがわかります。
日本と海外のジェンダーギャップの比較
国際的な指標で比較すると、日本は主要先進国の中でもジェンダー平等の達成度が低い国です。ジェンダーギャップ指数(GGI)では、アイスランドや北欧諸国が0.86〜0.92と高い水準を維持する一方、日本は0.666で118位にとどまり、特に政治や経済分野での遅れが際立っています。
ジェンダー開発指数(GDI)でも、欧州諸国が1.0前後と男女差が小さいのに対し、日本は0.970で89位と中位に位置しています。ジェンダー不平等指数(GII)では22位と一定の評価を得ているものの、上位国との差は依然として大きい状況です。これらの結果から、日本では女性の社会参加や活躍が十分に進んでおらず、今後さらなる改善が求められています。
参照元:内閣府男女共同参画局|男女共同参画に関する国際的な指数
労働市場における女性の課題(M字カーブ、L字カーブ)
女性の労働力人口比率はこれまで、結婚や出産の時期にいったん下がり、子育てが落ち着くと再び高まるという「M字カーブ」が特徴的でした。近年、働く女性が増え、この傾向は弱まりつつありますが、別の問題が見えてきています。
それは、正規雇用比率において、25~29歳をピークに正規雇用の割合が下がり、その後は非正規雇用が中心となる「L字カーブ」であることです。これらの特徴から、働き続けたい女性が依然としてキャリアを維持しにくい状況が労働市場に根強く残っていることが明らかとなっています。
参照元:厚生労働省雇用環境・均等局|令和6年版働く女性の実情(p.3,p.4)
参照元:内閣府男女共同参画局|L字カーブの解消に向けて①(p.8)
女性活躍推進法の改正ポイント【2026年施行】
女性活躍のさらなる推進を図るため、改正法が2026年4月から順次施行されます。今回の改正では、企業の情報公表の項目拡大や健康上の特性への配慮などの内容が盛り込まれています。ここでは、企業の実務に特に影響を与える主な改正点を、項目ごとにわかりやすく紹介します。
有効期限が2036年(令和18年)3月31日までに延長
当初、2026年3月末までとされていた現行法の有効期限が、今回の改正によって2036年3月31日まで10年延長されることになりました。これにより、企業は今後も継続的に女性活躍推進の取り組みを進めていく必要があります。
参照元:厚生労働省|ハラスメント対策・女性活躍推進に関する改正ポイントのご案内
情報公表義務の対象拡大(101人以上企業へ)
現在、従業員301人以上の企業には「男女間賃金差異」の情報公表が義務づけられています。改正後はこの対象が従業員101人以上の企業に拡大されます。加えて、従業員101人以上の企業には新たに「女性管理職比率」の公表が義務づけられる予定です。
これにより、従業員301人以上の企業は「男女間賃金差異および女性管理職比率に加えて、2項目以上を公表」、従業員101人〜300人の企業は「男女間賃金差異および女性管理職比率に加えて、1項目以上を公表」しなければなりません。なお、従業員100人以下の企業は努力義務の対象となります。
参照元:厚生労働省|ハラスメント対策・女性活躍推進に関する改正ポイントのご案内
プラチナえるぼし認定要件の追加
女性活躍への取り組みが優良な企業の中で、一般事業主行動計画の目標を達成するなど特に優れている企業が認定を受けるのが「プラチナえるぼし」です。改正後は、このプラチナえるぼしの認定要件に、求職者などに対するセクシュアルハラスメント防止措置の内容を公表していることが追加されます。すでに認定を受けている企業も、認定を維持するためには同様の情報公開が必要となる見込みで、施行時には一定の猶予期間が設けられる予定です。
企業が取り組むべき行動計画策定と情報開示の4ステップ
企業が女性活躍推進法に基づき実効性のある取り組みを進めるには、状況把握や行動計画の策定、外部への公表など段階的に進めていく必要があります。ここでは、企業が取り組むべき4つのステップを解説します。
ステップ1.状況把握と課題分析
行動計画を策定するために、まず現状を多角的に把握し、課題を丁寧に分析することが大切です。必ず把握すべき基本項目は「採用した労働者に占める女性労働者の割合」「男女の平均継続勤務年数の差異」「労働者の各月ごとの平均残業時間数等の労働時間(健康時間)の状況」「管理職に占める女性労働者の割合」の4つです。
これらに加えて、「男女別の採用における競争倍率」や「セクシュアルハラスメント等に関する各種相談窓口への相談状況」といった女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供、「男女別の育児休業取得率および平均取得期間」や「男女別のフレックスタイム制、在宅勤務、テレワーク等の柔軟な働き方に資する制度の利用実績」など職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備、これら2つの選択項目について、自社の現状を洗い出し課題を分析します。
参照元:厚生労働省|女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しましょう!
ステップ2.行動計画の策定
行動計画には計画期間・数値目標・取組内容・実施時期の4要素を明確に盛り込みます。計画期間は、各事業主の実情に応じて、2025年度までのおおむね2~5年を一区切りとして設定し、進捗に応じて適宜見直します。
数値目標は、女性が活躍できる機会の拡大や、仕事と家庭の両立支援といった観点から項目を選び、実数や割合などで定めます。従業員300人以下の事業主は、少なくとも1つは数値目標を設定する必要があります。
さらに、設定した目標を達成するためにどのような取り組みを進めていくのかといった具体的な行動計画と、それぞれの行動を実施する時期についても明記します。
参照元:厚生労働省|女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しましょう!
ステップ3.計画の周知と労働局への届出、外部への公表
策定または変更した行動計画は、非正規社員を含むすべての従業員に周知することが必要です。周知方法は掲示物の掲示、メールでの配信、イントラネットへの掲載、書面の配布など、職場の状況に合わせて選択します。
また、行動計画は電子申請・郵送・持参のいずれかで一般事業主行動計画を策定届とともに所轄の都道府県労働局へ届け出ます。さらに、同法と次世代法の行動計画は、要件と計画期間が一致していれば、一体的に策定し届け出ることが可能です。加えて、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」や自社ウェブサイトに掲載し、外部への公表も行います。
参照元:厚生労働省|女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しましょう!
ステップ4.実施と効果測定
取り組みを形骸化させないためには、定期的な点検と評価が欠かせません。数値目標の進捗や行動計画の実施状況を丁寧に確認し、その結果を踏まえて次の改善策を検討します。こうした継続的な見直しによって、PDCAサイクルが実質的に機能します。さらに、必要に応じて従業員や労働組合から意見を収集し、現場の声を計画に反映させることで、計画の精度と実効性をより高めることが可能です。
参照元:厚生労働省|女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しましょう!
女性活躍推進法に基づく政府の支援制度
企業の取り組みを後押しするために、国は多様な支援制度を整備しています。その中でも代表的な制度を3つ紹介します。
えるぼし認定・プラチナえるぼし認定
女性が活躍しやすい職場づくりに積極的に取り組む企業を評価する制度として、「えるぼし」と「プラチナえるぼし」の認定制度があります。一般事業主行動計画を策定し届出を行った企業のうち、女性活躍に関する厚生労働省が定めた基準を満たす場合、厚生労働大臣から認定を受けられます。改正後は、「女性の健康支援に関する基準を追加した新しい認定えるぼしプラス(仮称)」も創設予定です。
申請は各都道府県労働局が窓口です。認定企業は、専用の認定マークを自社サイトや名刺などに掲載でき、女性活躍を重視する企業としての信頼性向上や人材確保に役立つ点が大きなメリットです。
女性の活躍推進企業データベース
企業における女性活躍の状況を一元的に公開できるのが「女性の活躍推進企業データベース」です。女性活躍推進法に基づく情報公表や行動計画の発信に利用でき、自社データの掲載に加えて、他社の取り組みや数値を業種・規模別に検索して閲覧できます。先進事例を参考にしながら、自社の改善や魅力発信にも活用できる、実用性の高いプラットフォームです。
女性活躍推進における課題と今後の展望
女性の活躍を促進する取り組みは着実に進んでいますが、依然として解決すべき課題が残っています。ここでは、女性活躍推進における主な課題と、今後の展望についてまとめます。
女性特有の健康課題への対応
女性の勤続年数が長くなるにつれ、月経・妊娠・出産・更年期などライフステージごとに直面する健康課題は大きく変化します。長く働き続けるためには身体の変化を理解し、適切に対処できるようヘルスリテラシーを高めることが欠かせません。企業側もこれらの課題に関する知識を深め、気軽に相談できる職場環境を整えることが必要です。
近年はPMS(月経前症候群)でも取得できる休暇や、不妊治療を支援する制度を導入する企業が増えています。また、制度名を工夫して心理的な負担を軽減し、利用しやすくする取り組みも広がっています。
こうした制度整備や柔軟な働き方の導入、相談窓口の設置は従業員の働きやすさを高めるだけでなく、生産性向上にもつながる重要な施策です。今後は、産業医や保健師などの専門職と連携しながら、誰もが安心して働き続けられる職場づくりを進めていくことが求められます。
アンコンシャス・バイアスへの対策
アンコンシャス・バイアスとは、経験や習慣から無意識のうちに形成される思い込みのことです。「女性は理系に向かない」「性別で得意不得意が決まる」といったものが一例で、気づかずに放置すれば女性の活躍を妨げ、組織全体の成長機会まで奪いかねません。
まずは、一人ひとりが自分の中に潜む思い込みに気づき、意識的に向き合うことが重要です。同時に、組織としてもどのようなバイアスが生じやすいのかを把握し、制度や対話の仕組みを通じて改善していく姿勢が求められます。日常の言動を振り返る習慣を持ち、相手の表情や反応に注意を払うことで、思い込みに気づく力が自然と高まるでしょう。こうした小さな積み重ねが、誰もが自分の力を発揮しやすい職場づくりにつながります。
多様な働き方の推進
近年は、育児や介護といった事情から、働く時間や場所に制約を抱える人が増えており、従来の勤務形態だけでは多様な人材が十分に活躍できない状況にあります。このような中、働き方の多様化を進めることは、深刻化する労働力不足の解消に大きく寄与します。
具体的にはテレワークやフレックスタイム制、週休3日制など、柔軟に働ける仕組みを整備することが多くの女性の社会進出を後押しする重要な取り組みとなります。さらに、制度を実効性のあるものにするには、業務の可視化や標準化を進め、誰もが働きやすい環境を支える体制づくりが欠かせません。
まとめ
2026年改正の女性活躍推進法では、情報公表義務の拡大や認定制度の強化などの内容が盛り込まれています。背景にはジェンダーギャップなどの社会的な課題があり、企業には行動計画の策定・見直しに加え、健康課題への配慮や多様な働き方の整備がよりいっそう求められます。
スタディストのリーンオペレーション支援ではこれまで2,100社以上の業務改革を支援してきました。「可視化」から「標準化」「単純化」「徹底化」、そして「価値強化」へとつなげる5つのステップを通じて、ムリ・ムダ・ムラのないオペレーションと生産性向上を実現します。女性活躍推進法を推し進めるにあたって、業務改善などの課題を抱えている企業の方は、ぜひ一度ご相談ください。
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