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利益率の出し方や数値を高めるためのポイントとは?注意点とあわせて解説

利益率の出し方や数値を高めるためのポイントとは?注意点とあわせて解説

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「利益率」は、企業経営の効率性や健全性を判断するうえで欠かせない指標です。売上や利益額だけでは見えにくい課題や強みも、利益率を通して浮かび上がります。この記事では、利益率の基本的な種類や出し方、分析・活用のポイントまでをわかりやすく整理し、経営判断に活かすための理解を深めます。

経営判断に欠かせない基本指標「利益率」とは

利益率とは、売上高に対して利益がどれだけの割合を占めているかを示す指標です。計算式は「利益 ÷ 売上高 × 100」で表され、企業の収益構造や経営の効率性を判断するための基本的な目安となります。

昨今、慢性的な人手不足や人件費の上昇といった経営課題が深刻化する中、限られた人員でどれだけ利益を生み出せるかが企業の競争力を左右するようになっています。そのため、生産性の向上や人員配置の見直しを行ううえでも、利益率の把握は欠かせません。

利益率が高い企業ほど、環境の変化に柔軟に対応しやすく、持続可能な経営を実現しやすい傾向があります。経営層や事業責任者にとって、利益率は的確な判断を支える重要な指標のひとつです。

利益率と粗利率の違い

利益率と粗利率は、対象とする利益の範囲や活用目的が異なります。

粗利率(売上総利益率)は、売上高に対する粗利益(売上総利益)の割合を示す指標で、「粗利 ÷ 売上高 × 100」で求められます。商品やサービスの販売効率、原価管理、競争力などを測る際に使われます。

一方、利益率は、営業利益や経常利益、純利益などを含む広い利益指標の総称です。どの利益を基準とするかによって複数の種類があり、企業全体の収益性や経営効率を総合的に判断するために使われます。

つまり、粗利率は「コスト構造の効率」を見るのに対し、利益率は「経営全体の健全性・収益性」を評価する指標と言えます。

利益率の種類と特徴

「利益率」は主に5種類あります。

利益率の種類 特徴
売上総利益率 売上高に対する売上総利益(粗利)の割合。商品、サービスの付加価値、競争力、営業力を測るのに用いる。粗利率が高ければ、高収益体質や生産性の高さがうかがえる。
売上高営業利益率 売上高に対する営業利益の割合。本業の収益性や経営効率を測る基本指標で、人件費や販管費の管理状況などを含め、企業の運営力を評価できる。
売上高経常利益率 売上高に対する経常利益の割合。営業活動に加え、利息や配当など財務面も含んだ収益力を表す。企業の経営の安定性や持続性を評価する際に用いられる。
売上高税引前当期純利益率 売上高に対する税引前利益の割合。特別損失や一時的な要因を含むため、税務影響を除いた企業の実態的な収益力を把握しやすい。
売上高当期純利益率 売上高に対する当期純利益(最終的な利益)の割合。税金などすべての費用を差し引いたうえで残る利益であり、内部留保や配当戦略など長期的な経営判断に役立つ。
利益率の種類と特徴

利益率の出し方・計算方法

前述した5つの利益率それぞれの計算方法を解説します。各利益率の構成や特徴を把握し、経営状況や企業価値を分析する際に適切な方法で算出できるようにしましょう。

売上総利益率の計算式

売上総利益率の計算式は、「売上総利益 ÷ 売上高 × 100」で求めます。

売上総利益とは、売上高から売上原価(仕入れや製造にかかった直接的コスト)を差し引いた額です。売上総利益率が高いほど、付加価値の高いビジネスを展開できていると判断されます。

売上総利益率は「粗利率」とも呼ばれる、企業の収益力や競争力を測る指標です。日常的な経営判断だけでなく、将来的な成長戦略を考える上でも、粗利率は重要な情報となります。企業の粗利率が高いと、価格競争力や原価管理能力、商品やサービスの付加価値などが高く、変化に柔軟に対応しやすい傾向があります。

また、売上総利益率を同業他社や過去の自社データと比較することで、自社の強みや課題を把握する材料になります。原価の見直し、商品ポートフォリオの最適化など、具体的な改善策を講じる上で、欠かせない指標です。

売上高営業利益率の計算式

売上高営業利益率の計算方法は、「営業利益÷売上高×100」で求められます。

この指標は、企業の本業における「利益創出力」を測るもので、数値が高いほど本業の収益性が高いと評価されます。

営業利益とは、売上総利益から販売費や一般管理費など、本業に関わるすべての経費を差し引いた利益です。売上高営業利益率を確認することで、同業他社と比較して、どれだけ効率的に経営が行われているかを判断できます。

また、他社との比較だけでなく、自社の過去の数値推移と照らし合わせることで、経営の改善点や成長度合いを把握する手がかりにもなります。経営者や管理職はこの数値を常に意識し、継続的なコスト管理や価格戦略の見直しに活用すべきです。

売上高経常利益率の計算式

売上高経常利益率は、「経常利益÷売上高×100」で求められます。

この指標は、企業の総合的な収益力を判断する材料になります。業界平均や過去との比較にも適していて、収益力の課題や自社の強みを判断するのに欠かせません。

「経常利益」は、本業の営業利益、受取利息や受取配当金などの営業外収益、支払利息などの営業外費用を含みます。すなわち売上高経常利益率が高いほど、本業や財務の総合的な収益力が高いことを意味します。営業利益率よりも広い視点から経営状況を判断することが可能です。

例えば、借入金が多く支払利息が大きいと、この指標が低下します。その場合、資本金を増加させて借入金の返済に用いる、などで借入金を減らすことにより売上高経常利益率の回復を見込めます。

売上高税引前当期純利益率の計算式

売上高税引前当期純利益率は、「税引前当期純利益÷売上高×100」で計算します。

税引前当期純利益は、経常利益に特別利益を加算し、特別損失を差し引いて求めます。ここで得られた利益を売上高で割ることで、売上高全体に対して利益が占める割合が明らかになります。

これによって、企業が税制の影響を除いた実質的な収益力を把握でき、経営判断や改善策を検討する際の参考にもなります。本業や財務活動、その期特有の特別な損益も反映されるため、臨時損失や特別損益などが多い場合、数値が変動しやすいです。

売上高当期純利益率の計算式

売上高当期純利益率の計算式は、「当期純利益÷売上高×100」です。

「売上高当期純利益率」は企業が本業を通じて最終的に利益をどれだけ残せたかを示します。経営の効率性や収益性を客観的に評価するため、多くの企業や投資家、株主が重視する指標です。「当期純利益」は、売上から原価や人件費、経費、税金などすべての費用を差し引いた後に残る純粋な利益です。

この指標は、最終的な経営成果を明らかにします。企業が事業活動を終えた際に、手元に資金がいくら残るかが明らかになるため、経営健全性や、投資判断にも影響を与える重要な指標です。

利益率の分析方法

利益率を分析するには、さまざまな視点から、総合的に判断する必要があります。自社の過去数年にわたる利益率の推移をチェックし、現在の経営状況を客観的に把握しましょう。

自社の過去の利益率の動きから分析する

利益率の変動を時系列で追うことは、経営状況を把握する上で欠かせません。過去のデータに基づく分析を重ねることで、以降の経営戦略の見直しやリスク管理に活かせます。

過去数年間の推移を見ると、事業が成長した時期や、想定外の課題に直面した時期が明確になります。例えば、売上が伸びても利益率が下がっていた時期は、人件費の変動や新たな設備の投入による光熱費の増加などが関係していた可能性があります。

外部環境の変化や、一時的な要因も見逃せません。新たな競合の出現、急激な為替変動、市場トレンドの変化も利益率に影響します。短期的な変動に惑わされないよう、長期的な視点で、経営の安定性や成長性を評価しましょう。

利益率以外の指標と組み合わせて分析する

利益率の分析では、利益率単体だけでなく、売上高成長率や自己資本比率、キャッシュフローなど、他の財務指標と一緒に分析します。

企業の利益率が高くても、売上成長が鈍化している場合、競争力の低下や市場での機会損失といったリスクにつながるため、さまざまな角度から、企業の経営状況を把握する必要があります。

売上高成長率が高いと、企業規模の拡大や、市場での優位性が期待できますが、低下している場合は、商品力や戦略に課題があるかもしれません。また、自己資本比率が高いほど借入金への依存が少なく、リスク耐性が高い企業だと判断されます。

さらにキャッシュフロー分析も不可欠です。「キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー ÷ 売上高)」など、実質的な収益力を測る指標を活用し、「現金収支」が確保されているかを確認しましょう。利益が上がっても、キャッシュフローが伴っていなければ、資金繰りにトラブルが生じる可能性があります。

複数の財務指標を組み合わせ、総合的に分析することで、企業の健全性や成長性、将来への備えまで多角的に評価できます。

同業他社などの平均値と比較する

業界内での平均的な利益率と、自社の利益率を比較することで、競争力の有無、市場での立ち位置を、客観的に判断できます。

利益率が業界平均数値を下回っている場合、コスト構造に無駄がないか、販売戦略に弱点がないか、商品やサービスの競争力が十分か、を見直すきっかけとなります。

しかし、単純な数値比較だけでは正確な分析とは言えません。事業規模や商品、ビジネスモデルが異なると、利益率に差が出るのは当然であるからです。背景にある要因や、経営資源の違いにも注意して、なぜ差異が生じているのかを多角的に分析することで、初めて正確な分析となります。

市場分析をより効果的に行うための最新手法、フレームワークについては、下記の関連ページも参考にしてください。
市場分析を効果的に行うには?最新手法と効率化するフレームワークを紹介

利益率の目安

利益率の目安を把握すれば、自社の経営健全性を判断できるだけでなく、競争力アップのための具体的な手段を見つけられる可能性があります。一般的な利益率の目安はどれくらいなのか、業界ごとに具体的な情報を把握しましょう。

利益率の一般的な目安は5%~10%

企業の経営分析では、売上高営業利益率が重要な指標になります。この利益率が5%以上であれば、経営状況は良好と評価されます。

利益率は業界ごとに大きく異なります。例えば製造業の場合、経済産業省の調査によると、大企業と中小企業のいずれも、売上高営業利益率の平均は約4%です。この水準は業界の特性、コスト構造が関係するため、必ずしも低水準とは限りません。

利益率は単に「高い」か「低い」か、で比較するのではなく、業界ごとの傾向、自社の経営戦略、といった要素を総合的に考慮し、健全経営の指標とすることが大切です。

参照:経済産業省|1.中小企業の売上高営業利益率

業界別の利益率の目安

企業の収益性を評価するには、業界ごとの「売上高営業利益率」の平均を把握する必要があります。目安は次のとおりです。

業界 売上高営業利益率(平均)
製造業 5.2%
卸売業 3.2%
小売業 3.8%
合計 4.8%
業界別売上高営業利益率

参照:経済産業省|経済産業省企業活動基本調査「2024年企業活動基本調査確報-2023年度実績-」

業界ごとにビジネスモデルやコスト構造に違いがあり、利益率にも相応の差があります。製造業の利益率は高めですが、小売業や卸売業などは、利益率がやや低い傾向があります。業界内での自社の位置づけ、経営目標を立てる際には、これらの指標を参考にしましょう。

利益率を高めるためのポイント

企業が利益率を高めるには、売上を伸ばし、コストを抑えることが基本です。売上を増やすことで利益を拡大させるだけでなく、固定費や変動費などのコスト削減も意識して取り組むようにしましょう。

原価率を下げる

原価率が下がると、売上総利益が直接的に増加します。その結果、企業全体の利益率向上にもつながります。

原価率を下げる具体的な方法に、仕入れ先の見直しがあります。複数の仕入れ先を比較し、より良い条件で取引できる業者への変更や、長期契約による割引交渉が有効です。大量購入に伴い割引を求めるなど、有利に単価交渉を進めましょう。仕入れ先との取引条件を確認してください。

製造工程の効率化も必要です。業務フローの見直しや、作業の自動化により、無駄を省いたコスト削減が実現します。

原材料の代替も手段のひとつです。品質や安全性を維持し、低コストの代替品を採用することで、原価全体を引き下げられます。

売上高を増やす

売上高を増やすには、販売単価や販売数の向上を目指した、積極的なマーケティング施策が不可欠です。マーケティング戦略やプロモーション活動に力を入れることで、自社商品やサービスの独自性、優位性を明確に伝えることができ、販売単価のアップを目指せるためです。

また、新規顧客の獲得、既存顧客のリピート促進も大切です。市場動向を分析し、顧客ニーズに合わせて柔軟に戦略を見直すことで、売上向上が期待できます。

固定費を削減する

「固定費」は、売上有無に関わらず、毎月必ず発生する費用です。固定費を効果的に削減することは、企業の安定的な利益率向上につながります。

固定費削減の主な対象として、家賃やリース料の見直し、人件費の適正化などがあります。家賃の安い事務所を選ぶ、人材配置に無駄がないかを確認する、などの見直しを行うことで、長期的なコスト圧縮効果が期待できます。

また、業務をデジタル化させ、アウトソーシングを積極的に活用し、会計や総務など間接部門の効率化を進めることで、固定費全体の削減を実現できます。地道な取り組みが、企業の持続的な成長を支えてくれます。

固定費の見直しや間接部門の効率化を進める際は、コア業務への集中をどう実現するかをあわせて考えることも効果的です。

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変動費を削減する

「変動費」は、材料費や外注費、販売手数料などが該当し、売上に比例して増減します。変動費を効率的に管理し、売上高に占める変動費の割合を低減できれば、企業の利益率が上昇します。

削減策に、仕入れプロセスの見直しがあります。複数のサプライヤーを比較し、より有利な条件で仕入れる工夫を行うことや、外注先との契約内容を定期的に再交渉し、コストの適正化を図ることが重要です。また、物流コストの最適化も欠かせません。配送ルートやロットを見直し、コスト削減を目指しましょう。

利益率を改善させる際の注意点

利益率の向上だけに注目していると、思わぬところで企業の健全性に影響が出る可能性があります。利益率の数字だけでなく、全体を見渡した経営判断を心掛けましょう。

利益率だけを見ずに実数を確認すること

単純に「利益率の改善」だけに注目すると、経営の実態を見誤ることがあります。利益率だけでなく、売上高や利益額といった実数値も確認するようにしましょう。

売上が大幅に減少すると、コストを削減することで利益率自体は上昇するかもしれませんが、同時に利益額が減少することもあります。数値の背景にある事実を見落とさず、実数もあわせて全体を把握することが健全な経営判断につながります。

利益率に影響を与える外部要因にも対策を行うこと

利益率は外部要因により、左右されることがあります。市場の景気変動、競合他社の動き、法律の改正、場合によっては突然の災害も影響します。

対策として、リスクマネジメントや、事業計画に外部要因を織り込むことが欠かせません。外的な影響を見逃さないようにし、早めに対策を計画しましょう。

例えば、原材料の価格が高騰した場合、単一の仕入れ先に依存していると、リスクになります。回避するためには、普段から複数の仕入れ先と取引を行い、コスト上昇のリスクを分散させることが挙げられます。

また、需要が変動する際には、柔軟に生産ラインを調整できるようにしましょう。変化に即応できる組織づくりが、安定した利益率維持につながります。

利益率に依存しないこと

「利益率」は、企業の収益性を示す大切な指標です。ただし、経営判断を利益率に依存して行うのはリスクが伴います。新規事業への先行投資、研究開発費の増加により、一時的に利益率が下がることもあるからです。

経営には、長期的な成長戦略、市場シェアの拡大、顧客満足度(CS)の向上のためにコストを費やすことも重要です。目標と利益率のバランスを意識し、総合的な視点で経営判断をしましょう。

まとめ

利益率は企業経営の基本指標で、経営の効率性、収益性を評価する上で重要です。同時に、利益率だけで、経営状況を判断するのは危険です。実際の売上高、利益額、業界平均や過去の自社データとも比較し、外部要因やコスト構造も含め、多角的に分析することが求められます。

新規投資や市場環境の変化も視野に入れ、総合的な指標をもとに経営判断することが、持続的成長への鍵となります。