
業務工数を3割削減!構造的ムダを排除する3ステップと単純化のコツ
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業務効率化に失敗する根本的な理由として、「個別最適」「属人化」「変わらない前提」といった成果を阻む構造的ムダが課題として存在しています。これらの問題を放置したままツールを導入しても、真の生産性向上は実現できません。
本セミナーは、「なぜ、業務効率化しても成果が出ないのか〜成果を阻む”構造的ムダ”の正体〜」と題して開催され、株式会社スタディスト リーンソリューション部 部長の小峯悠司が登壇しました。
前編では、多くの企業がDXに投資しながらも成果が出ない理由と、業務効率化の成果を阻む「個別最適」「属人化」「変わらない前提」という3つの構造的ムダの正体についてご紹介しました。
後編では、それらの構造的ムダを具体的にどのように可視化・単純化していくべきか、3つの実践ステップと企業の導入事例をもとに解説します。
(前編はこちら)
目次
構造的ムダを排除するために必要な3つの実践プロセス
株式会社スタディスト リーンソリューション部 部長 ⼩峯悠司(以下、⼩峯):構造的ムダを排除するために必要なステップとしては、「業務の棚卸し」「業務の構造化」「業務の単純化」の3つが挙げられます。
Step 1:工数や難易度まで詳細に書き出す「業務の棚卸し」
1つ目のステップは「業務内容の棚卸し」です。
棚卸しでムダの排除を目指すには、業務内容だけを書き出すのではなく、その他にも工数や難易度を含めて詳細に洗い出す必要があります。棚卸しの際には、業務難易度を感覚型・選択型・単純型の3段階に分けて判断材料としましょう。
人の知識や経験が必要な感覚型を自動化することは難しい一方で、手順が決まれば誰でも可能な単純型ではRPAや生成AIなどのデジタルツールを活用し効率化・単純化が見込めます。
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Step 2:全体俯瞰でボトルネックを見つける「業務の構造化」
⼩峯:2つ目のステップは「業務の構造化」です。
棚卸しした業務をフローに並べて構造化することで、ムダの発見につながります。このステップで注意すべき点は、最初から細かな作業単位に分解しすぎないことです。まずは業務という大きな単位で全体を棚卸しし、フロー図として並べることをお勧めします。
部署や課という単位ごとに業務を眺めているだけでは、他部署との関係性まで捉えることは困難です。例えば、A課での業務後にB課C課を経由し再びA課に戻ってくるといった、部署間を何度も往復するような非効率な流れが発生しているケースも珍しくありません。
一連の流れとして可視化すれば、順番を入れ替えるだけで、それまで複数回発生していた引き継ぎをわずか1回に集約できるといった事実に気付くことができます。
こうした他部署とのつながりに潜む構造的なムダは、フローとして全体を俯瞰して初めて浮き彫りになるのです。

Step 3:4つの観点でムダを削ぎ落とす「業務の単純化」
⼩峯:3つ目のステップは、可視化された業務を「単純化する」プロセスです。
「なくす」「減らす」「寄せる」「任せる」という4つの観点から、現状の業務を疑いムダを排除します。
「なくす」では、具体的な目的や理由が見当たらない業務は見直しの対象となります。
習慣的に作成している報告書が誰にも読まれなかったり、惰性で手続きを行ったりしている業務などが廃止の対象です。目的が不明確な業務をなくすことで、本来すべき業務に注力できます。
「減らす」では、業務の量や頻度、回数に明確な根拠がない場合は削減の対象です。
週次の報告を月次に変更する、あるいは過剰なチェックがある場合は妥当な回数まで減らしたほうが良いでしょう。関係者が増える、時間が長期化するといった会議は、多くの企業で削減すべき対象だと言えます。
「寄せる」では、時間や場所のほか、担当者が分担している業務を1つに集約することで業務の効率化を実現できます。
例としては、午前と午後に分けて行っていた業務をまとめて実施することや、設備や物品が分離していた場合に1つに集めるといった事例が挙げられるでしょう。物理的・時間的な分断を解消することで、移動のムダや重複する準備工数を削減できます。
「任せる」はここまでスリムアップされた業務を、ITツールや社外のリソースへと手放すステップです。
不要なものを削ぎ落としてから機械化・システム化に着手する順序が、このステップのポイントです。ただし、担当者の変更については注意が必要となり、業務の押し付けでは効果が見込めないため、クオリティや効率が上がる場合のみ検討するようにしましょう。

3割の余力を生む!「慣例」を打破した製造・外食の成功プロセス
⼩峯:ここからは、当社が支援した企業の実施例を紹介します。
1つ目は、従業員が1,000名以上在籍している製造業の例です。この企業の設計部門では、コア業務に注力できないといった課題があり、抜本的な環境改革を要望されていました。
そこで、業務効率化の手段や改善対象を議論するなどの支援を行った結果、約3割の業務に対して効率化できる余地を発見しました。また、支援後には議論を通じた副次的な効果があったという報告も受けています。
チームメンバーが互いの業務や時間の使い方を改めて知ることができた以外に、3拠点にまたがっていた設計部門間のコミュニケーションの壁も取り払う効果があったようです。
当社が支援サービスを提供する際には、いきなり改善に取り組むのではなく、どうなりたいかという理想の姿を社内で共有することから始めていきました。その結果、「改善の余地を見つけるきっかけが生まれ、本来あるべき姿を振り返ることができた」とのうれしいお言葉もいただいています。

⼩峯:もう1つの実施例は、大手外食チェーンの管理部門を対象に、社内で進められていた合理化プロジェクトを支援した取り組みです。
管理部門には約200〜300名が在籍しており、部門をまたぐ業務が多いため、どのようなムダがあるかが見えにくい状態でした。業務を可視化して非効率な部分を改善しようとしても、作業量が膨大で思うように進まないという状況が続いていたのです。
そこで当社が支援に入り、業務の可視化に取り組みました。その結果として業務ベースを見直すことができただけでなく、全体の業務量を30%削減できる見通しが立ち、新年度からは削減された工数に応じた適正な配置転換が実施されています。
また、業務改善に前向きな空気が社内に醸成され、10年以上続いていた慣例化された社内ルールの見直しが進んだことも大きな成果と捉えています。
質疑応答
Q1:Excelとシステムの二重運用が解消されません。どうすれば一本化できるでしょうか。
⼩峯:Excelは部門・課ごとに独自のカスタマイズがなされており、現場にとって使い勝手の良いツールになっています。その一方、システムはあくまで全社業務の共通化を目的として導入されるものです。つまり、「Excelでないと困る理由」が現場に残ったまま、ツール導入だけが先行してしまっているケースが多いと考えられます。
一本化を進めるには、まずExcelのどの機能・利便性が代替できていないのかを明確にし、その解決策について現場と認識を合わせることが重要です。全メンバーの納得感を醸成してからツールを浸透させていく順序が、二重運用の解消につながります。
Q2:店舗・拠点ごとにオペレーションが違いすぎて、標準化に手がつけられません。どこから着手すべきでしょうか。
⼩峯:大きく3つの段階に分けて考えるといいと思います。
第1段階は「現状把握」です。 店舗・拠点ごとに何がどのように違うのか、なぜ違うのかを明らかにするところから始めましょう。
第2段階は「方針の合意」です。 客単価や立地など、拠点ごとの特性を踏まえたうえで、何を守り、そして何を捨てるかを組織として決めておく必要があります。
第3段階が「標準化の実践」です。 全店舗を統一することが目的ではなく、効率化や品質の安定といった本来の目的に向けて取り組むことが、標準化を前進させることにつながります。
Q3:紙での承認フローが残り続けています。電子化への抵抗を払拭する方法はありますか?
⼩峯:紙の文化が根強い背景には、運用の融通が利くといった理由が隠れています。デジタル化によって失われる利便性をどう代替するか、運用面でのケアも欠かせません。それに加えて、ツールへのアレルギーを解消する環境づくりも求められます。
Q&Aの整備だけでなく、システムの操作方法をいつでも質問できる窓口を設けるなど、電子化を定着させるために必要な支援を組織全体で実施し、運用と環境の両面で浸透させていくことが重要です。
まとめ
本セミナーでは、生産性向上を阻む構造的ムダの正体と、その解消に向けた具体的な手法を解説しました。
表面的なツール導入だけでは、前編で解説した「個別最適」「属人化」「変わらない前提」という3つの構造的ムダを改善できません。業務の棚卸しからフローの構造化、そして単純化へと順を追って進めることで、ようやく改善の成果が現れてきます。
構造的ムダを排除した先には、コア業務の標準化というステップが待っています。まずは一度立ち止まって、自社の業務を疑うところから始めてみてください。
(前編はこちら)







