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BPOは「事業の保険」になる。中小企業の経理・事務アウトソーシング導入プロセスと成功の秘訣

BPOは「事業の保険」になる。中小企業の経理・事務アウトソーシング導入プロセスと成功の秘訣

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前編では、BizMow株式会社 代表取締役の木村仁哉氏に、創業の背景と中小企業が抱える構造的な課題について伺いました。後編では、BPO導入における具体的なプロセスや事例、そして成功させるための秘訣を深掘りします。問題発生時に急な採用で対応するのではなく、BPOを日頃から活用することで、予期せぬ事態への『保険』として活用する意義を伺いました。

中小企業のBPO活用実態。ルーティン業務の代行で生産性向上を実現

――現在のBPOを中心に事業を展開している木村さんですが、顧客である企業の利用実態はどのようなものでしょうか?

BizMow株式会社 代表取締役 木村仁哉氏(以下、木村):BPOといえば、以前はキャンペーン事務局のように数百人規模で一時的に利用するケースが多かったため、大企業が使うものといったイメージが強くありました。しかし、最近は月に数十時間程度のボリュームから引き受ける会社が増えています。スポット業務ではなくルーティン業務、小ロットな業務ではなくある程度のボリュームがある業務の方が効果を感じていただきやすいと思います。

――具体的にどのようなルーティン業務を依頼できますか?

木村:例えば、お客様からの問い合わせ対応を行うカスタマーサポート、請求書や見積書の発行といった営業事務、仕訳入力や給与計算前の準備などバックオフィスの経理業務が挙げられます。また、経営側が設定したKPIを取得・追跡するためのオペレーションを代行するKPIモニタリングも得意としています。例えばEC事業において、広告媒体ごとの成果を集計し、費用対効果の分析をサポートするなどが可能です。

――貴社が得意とする「徹底化」について、お聞かせください。

木村:私たちが自信を持って提供できることは、バックオフィス周りのオペレーションを丁寧に行うことです。一方、顧客獲得のためのマーケティングや、自社サービスのコンテンツ企画といった苦手領域はあまり受けないようにしています。

一般的に事務職と呼ばれるスタッフたちは、物事を具体化し、細かく丁寧に確認していく特性を持っています。BizMowでは、まさにこのようなことが好きで得意なメンバーが集まっているため、丁寧なバックオフィス業務のオペレーションを実現しています。抽象的に大枠で捉える動きとは対照的に、徹底的に細部にこだわる力があるため、そもそもの特性として「ちゃんとやる」という土台があるのです。

BPO導入の第一歩は、お客様のビジネスモデルの把握と業務設計

――BPOの依頼があった際、どのように業務設計を進めていくのですか?

木村:まず、お客様のビジネスモデルやニーズを把握することから始めます。その中で、現在どこに課題を抱えているかをヒアリングし、スキルとタイミングの両面で担当できるスタッフを選定しています。

――BPOは型にはまったものをアウトソースするイメージが強く、そもそもプロセスが固まっていないから依頼できないというイメージがある方も多いと思います。プロセスが固まっていない状態からでも相談できますか?

木村: はい、プロセスが固まっていない状態でも遠慮なくご相談いただけます。BPOは定型化された業務を依頼するイメージが強いかもしれませんが、実際には大枠だけを決めてもらい、細部については実際のオペレーションを通じて設計していく方がやりやすい場合もあります。

特に成長段階にある中小企業では、経営陣が本業に注力する中で経理体制の整備が後回しになりがちです。そのため私たちは、経理部門の仕組みをゼロから構築するサポートを提供しています。「どのような機能を持つべきか」という組織設計の段階から、「ファイルをどのようなフォルダ構成で管理すべきか」といった実務レベルの運用まで、包括的に提案していきます。

BPO成功の秘訣は「共創」の姿勢。手順ではなく目的を共有する重要性

――BPOを導入したことで、具体的に生産性が向上した事例はありますか?

木村:ECサイトを運営されている会社で、販売管理システムと在庫管理のExcelが連動しておらず、販売情報を手打ちでExcelに転記しているケースがありました。手打ちによるミスで在庫がないのに売ってしまうトラブルが発生し、お客様へのお詫び連絡などの余計な仕事が発生していたのです。

そこで、販売システムから出力した販売情報を連携させれば自動で在庫計算がされるようにExcelを加工するなど、自動転記の仕組みや業務フローの標準化を構築しました。これにより、入力時間やミスが大幅に減り、生産性が向上しました。

――BPOを成功させる秘訣として、中小企業が持つべき視点や姿勢をお聞かせください。

木村:最も重要なのは、「丸投げ」ではなく「一緒につくる」視線、つまり「共創」の姿勢です。「丸投げ」になってしまうと、ご依頼の意図を正しくくみ取れているかを何度も確認する必要があり、その分スピードや効果を感じにくくなってしまいます。私たちのようなBPO事業者は外部の人間ではありますが、会社のビジョンや大切にしている価値観など、まるで自社の社員であるかのように会社のことを伝えていただければ、BPO事業者側で判断できることが増え、BPOの効果を感じていただけると思います。

――業務の手順を細かく伝えることが重要になりそうですね。

木村:ただ、そういった親心的な気持ちにも問題があります。業務の手順だけを細かく伝えてしまうと、たった一つの手順を間違えただけで業務が滞るリスクがあるのです。例えば、「最寄り駅の改札へ行く」というミッションがあったときに、「35メートル進んで、右に曲がって、その次の交差点を左に曲がって…」と細かな手順で伝えると、とてもややこしく感じませんか?そうではなく「駅の改札に行く」という全体像や目的の大枠を伝えた方が、トラブルが起こっても担当者は自分で調整し、たどり着けます。BPOにおいても、単に手順を指示するのではなく、業務の目的や全体像を共有することでイレギュラーな事態にも柔軟に対応し、具体的な方法を一緒に模索するような「共創の関係」が築けると思います。

心理的ハードルを乗り越えてBPOを活用する意義

――BPO導入には、心理的な抵抗感がある企業も多いように思います。

木村: そうですね。BPOを導入する際のハードルは、物理的な手間だけでなく、精神的なものもあると考えています。具体的には、「自社の業務を見られる抵抗感」 や、「社内のスタッフの皆さんが自分の仕事を取られるのではないかという危機感」 があると感じています。このような精神的な側面も、適切に対処する必要があります。

しかし、このハードルを乗り越えて外部の専門的な力を活用し、適材適所を進めることは会社の成長に不可欠です。バックオフィス業務を私たちのような専門的な集団に任せることで、社内の人材は本来集中すべきコア業務に専念できるようになります。これは、それぞれの強みを発揮できる役割を最大化させることにつながります。お客様側の業務内容について、リスペクトを持って接するという姿勢を大切にし、協力体制を築いていくことが重要だと考えています。

――AIやDXが進化する中で、今後BPOはどのような役割を担うでしょうか?

木村:AIが発達しても、AIには最終的な責任が負えないという背景から、AIをサジェストとしては使えるけれども最終的な承認は人間が行うこととなります。また、AIは様々な提案はしてくれるものの、その中から自社にフィットするものを選択するのは人間の仕事です。私たちのようにバックオフィスに強みを持つ集団が関わることによって、それらの業務のDXやAIの導入が上手に進んでいくと考えています。多くの会社のバックオフィスを経験してきた私たちが外部から関わることで、「こんなことができるんですか!?」と、気づいていただけることもあります。

私はBPOには、問題が起こる前の「保険」のような役割もあると考えています。私たちが関わらせていただくことで、いまある業務を可視化し、人の異動があっても事業を継続していける体制をつくることができるので、全国各地の中小企業の「保険」になり得ると思うのです。これからもお客様の業務の属人化リスクを可視化し、解消できる提案プランを提供することでサポートしたいと考えています。

取材・文:池田アユリ

(前編はこちらから)

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話し手
木村 仁哉
BizMow株式会社
代表取締役

1981年生まれ、慶應義塾大学法学部卒。 大手メーカーの財務部勤務を経て、2008年に同社を設立。 「志ある経営者の縁の下の改革者」をミッションに、管理部門の強化と周辺業務のアウトソーシング事業を行っている。 社員全員が完全な在宅勤務で運営を行っており、日本各地や海外など様々な拠点に約150名のスタッフが在籍。 アジア太平洋地域における成長企業として「High Growth Companies Asia-Pacific 2022-2025」に選出されたほか、当社の働き方モデルと地方創生への貢献が認められ「地方創生テレワークアワード・地方創生担当大臣賞」を受賞。