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引き継ぎ書の作り方と活用法は?手順や注意点を解説

引き継ぎ書の作り方と活用法は?手順や注意点を解説

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担当者の退職や異動時に「業務が止まる」「ノウハウが失われる」といった問題を防ぐのが、「引き継ぎ書(業務引継書)」です。

しかし現場では、「何を書けばいいのか分からない」「テンプレートが古く、実務に合っていない」「引き継ぎ書を作っても活用されていない」といった声がよく聞かれます。

本記事では、引き継ぎ書の正しい作り方から注意点、効率化するポイントまでを徹底解説します。後任者が迷わず業務を開始できる“実務で使える引き継ぎ書”を作りたい方は、ぜひ参考にしてください。

引き継ぎ書とは?

引き継ぎ書とは、担当者が行っている業務内容や進行中の案件、注意点などを整理し、後任者へ引き継ぐための文書です。企業では、退職・異動・産休育休・長期休暇などのタイミングで作成されるのが一般的で、主な目的は次の3つにまとめられます。

  1. 業務を中断させることなく、スムーズに継続させる
  2. 属人化(特定の人しかできない状態)している知識やノウハウを“見える化”し、共有する
  3. 後任者の業務習熟スピードを高め、ミスやトラブルを防ぐ

引き継ぎ書は、組織のパフォーマンスを維持する重要なツールです。では、マニュアルとの違いは何なのか、必要なシーンはどのような場面なのか、解説していきます。

引き継ぎ書とマニュアルの違い

「引き継ぎ書」と「マニュアル」は混同されがちですが、目的も内容も下記のように大きく異なります。

項目 引き継ぎ書 マニュアル
目的 業務担当者の変更に伴う情報の橋渡し 業務を標準化し、誰でも同じ品質で遂行できるようにする
内容 担当業務・案件の状況・注意点・人間関係など“個別性”が強い 手順やルールなど“汎用的・固定的”な情報
使われるタイミング 退職・異動・長期休暇などスポット的 日常業務の中で継続的に使用
更新頻度 タイミングごと 定期的に更新が必要

マニュアルが「業務の標準ルール」なのに対し、引き継ぎ書は「担当者固有の業務状況を整理した情報」です。実務では、マニュアルで業務の“型”を示し、引き継ぎ書で“現状・注意点”を補完するという使い分けが最も効果的です。

引き継ぎ書が必要なシーン

引き継ぎ書は、次のような場面で必要性が高まります。

1. 担当者が退職・異動するとき
最も典型的なシーンです。引き継ぎ書がないと後任者が業務の全体像をつかめず、顧客対応・契約管理・社内調整などに支障が出ます。

2. 産休・育休・長期休暇を取得するとき
休暇で一時的に業務を離れる場合でも、業務の停滞は避けられません。引き継ぎ書があれば、人に依存しない運用が可能になります。

3. 業務が属人化している部署で改善を行うとき
改善活動や内部監査では、“誰が何をやっているか整理できていない”ケースが多くあります。引き継ぎ書は、属人化した業務を棚卸しする効果もあります。

4. 業務移管・アウトソーシングを行うとき
社内の別部署や外部委託先に業務を移す場合、引き継ぎ書は“移管ドキュメント”として機能します。

良い引き継ぎ書と悪い引き継ぎ書

業務引き継ぎの成功を左右する最大のポイントは、引き継ぎ書の質です。どれだけ丁寧に口頭説明を行っても、文書として残された情報が不十分であれば、後任者は「どこから手をつければ良いのか」判断できません。逆に、情報が体系化され、読み手に寄り添った引き継ぎ書があるだけで、業務理解のスピードは大きく向上します。

ここでは、良い引き継ぎ書と悪い引き継ぎ書の違い、そして現場で起こりがちな失敗例を解説します。

良い引き継ぎ書の特徴

質の高い引き継ぎ書には、次の4つの共通点があります。

1. 業務の全体像がひと目で理解できる
良い引き継ぎ書は、個々の作業手順を羅列する前に「この業務は何のために存在し、どのような成果を求められているのか」といった大きな枠組みを示しています。これにより後任者は「なぜこの作業が必要なのか」を理解し、迷う時間が減ります。

2. 手順が具体的で、再現性が高い
良い引き継ぎ書は下記のような特徴があり、読むだけで作業が再現できるレベルまで噛み砕かれています。

  • 抽象的な説明ではなく、実際の操作手順が明記されている
  • 使用するシステム名・保管場所・ファイル名が具体的
  • 必要書類の提出期限、担当者名などが明確

「誰が読んでも同じ品質で実行できる」 ことが条件といえます。

3. 注意点・判断ポイントが整理されている
業務には必ず下記のような「注意すべきポイント」や「ミスをしやすい箇所」が存在します。

  • 顧客への返信期限は24時間以内
  • 見積書の金額欄は自動計算されないため要確認
  • 仕入れ値の変動が大きいため、月初に価格チェックが必要

こうした“現場でしか分からない判断基準”が記されていると、後任者は迷わず動けます。

4. 担当者間の連携先が分かる
業務は1人で完結しません。「相談すべき人」や「承認ルート」、「顧客担当者の連絡先」や「トラブル時の窓口」などが引き継ぎ書に記載されていると、後任者のストレスは大幅に減ります。

悪い引き継ぎ書の特徴

逆に、質の低い引き継ぎ書には次のような問題があります。

1. 情報が断片的で、全体像が見えない
作業の一部だけがメモのように書かれており、業務の目的や流れが分からない状態です。後任者は「どこから着手すべきか」判断できず、混乱が生じます。

2. 曖昧な表現が多く、再現できない
「適宜処理してください」「トラブル時は関係者に連絡」「必要に応じて修正」といった抽象的な表現だと、何を基準に判断すべきかが不明確なため、ミスや問い合わせが増えます。

3. 最新情報に更新されていない
古い手順のまま放置されていたり、すでに使われていないシステムが記載されていたりすると、後任者が誤った文書を参考にして作業が滞ります。

4. 情報量が多すぎて読みづらい
情報過多で視認性が低い場合も問題です。
「長文で改行がない」「図や表がなく、文章だけが羅列されている」「不要な詳細が延々と続く」といった引き継ぎ書は、読む側の負担が大きく重要なポイントが埋もれます。

よくある失敗例

引き継ぎ書の作成でよくある失敗例は次の4つです。

失敗例1:記載内容が“担当者の頭の中”前提になっている
例:「A社の担当はBさんです。いつも通りで大丈夫です。」
→ 後任者に“いつも通り”が分かるはずがありません。経験則に依存した書き方は最も危険です。

失敗例2:進行中のタスクが漏れる
退職直前の引き継ぎではタスク漏れが発生しがちです。
「提案中の案件」や「顧客からの回答待ち事項」「来月必要な申請タスク」などが書かれていないと、業務が止まってクレームにつながるリスクがあります。

失敗例3:引き継ぎ書だけでなく、口頭引き継ぎにも頼りすぎる
書類の記載が不足している状態で、「これは後で説明します」「その時に口頭で伝えます」と曖昧にしてしまうケースもよくあります。引き継ぎ書は、説明の補助ではなく「後任者が自走できるための設計図」であるべきです。

失敗例4:不要な情報を入れ込みすぎる
「過去の経緯を数年分すべて書く」「組織図を詳細に書きすぎる」「業務外の余計な情報が混ざる」など、実務的にいらない情報は混乱のもとです。重要な内容が埋もれ、生産性が下がります。

引き継ぎ書に含めるべき基本項目

引き継ぎ書の目的は、後任者が迷わず業務を開始できる状態をつくることです。単に作業内容を書き連ねるだけでなく、業務の背景や判断基準まで含めて整理する必要があります。

ここでは、引き継ぎ書に必ず盛り込むべき4つの基本項目を解説します。この項目を押さえておくことで、再現性の高い実務レベルの引き継ぎ書を作ることができます。

(1)業務の全体像と目的

まず記載すべきなのは、業務の全体像と目的(Why) です。良くない引き継ぎ書は、いきなり手順(How)から書き始めてしまいます。しかし、業務の全体像や目的が理解できていなければ、後任者は判断軸を持てず、作業が機械的になってしまいます。

■記載すべき内容の例

  • この業務が組織の中で果たす役割(役割・位置づけ)
  • 業務のゴール(KPI・責任範囲)
  • 年間・月間のサイクル(繁忙期・締め日)
  • 関連する業務とのつながり(前工程・後工程)

■記載例
「毎月の請求業務は、売上を正確に締めるための基幹業務です。顧客の入金管理とも連動しており、経理部門との連携が必要です。月末3営業日前が締め日です。」
この“前提の理解”があるだけで、後任者の業務遂行スピードが飛躍的に高まります。

(2)具体的な業務手順

具体的な手順(How)は、引き継ぎ書の中心となる部分です。ここでは、誰が読んでも同じ水準で実行できるレベルの詳細さを意識して書くことが重要です。

■手順を整理する際のポイント

  1. タスクを大項目 → 中項目 → 小項目に分解する
  2. 実際に使うシステム・ツール・ファイル名を明記する
  3. 写真・図・箇条書きを活用し視認性を高める
  4. 毎回必要な作業(定型業務)と、状況に応じた作業(非定型業務)を区別する

■よくある記載項目の例

  • 必要な準備物(アカウント、書類、データなど)
  • 作業の順番
  • 使用するファイルの保存場所(共有フォルダのパス)
  • 完了条件・提出期限
  • 他部署や顧客へ依頼するタイミング

■記載例
【請求書の作成手順】
① 会計システム(名称:○○)にログイン
② 左メニュー『請求管理』を選択
③ 前月分の売上データ(ファイル名:sales_2024mm.xlsx)をアップロード
③生成されたPDFの金額を確認
④承認依頼ボタンで上長へ送信

ここまで書いて、「後任者が業務を再現できる引き継ぎ書」になります。

(3)具体的なリスクや注意点

手順だけでは不十分で、“どこでミスが起きやすいか”や“どの判断基準で進めるべきか”まで可視化することで、引き継ぎの質が大きく向上します。

■記載すべきポイント

  • 過去に多かったトラブル事例
  • チェック漏れが起きやすい箇所
  • 承認が必要なケースの判断基準
  • 顧客や上司が特に重視しているポイント
  • 法令・ルール上の制約

■記載例
「見積書は自動計算ではありません。金額欄の5桁目がズレやすいため、提出前に必ず目視で再チェックしてください。」
「A社の担当者は価格変更に敏感なため、値上げ前には必ず電話で事前説明を行うこと。」
この“暗黙知”(経験でしか分からないコツ)を言語化することで、後任者の不安を大幅に軽減できます。

(4)関係者の情報と連絡先

最後に、誰と連携し、誰に相談すべきかをまとめておくことは極めて重要です。業務は一人で完結しないため、関係者を整理することで後任者の迷いがなくなり、トラブルも減少します。

■記載すべき内容の例

  • 上司・チームメンバー
  • 他部署の担当者
  • 外部パートナー(業者、顧問、税理士など)
  • 顧客の担当者名・連絡先
  • 相談すべき順番(エスカレーションルート)

■記載例
「顧客への見積金額に変更がある場合は下記へ。

  • 一次相談:営業部Aさん(内線1234)
  • 最終承認:部長Bさん
  • 外部協力会社C社(担当:田中様/090-xxxx-xxxx)」

連絡先を整理しておくことで、後任者は迷うことなく業務を進められます。

引き継ぎ書を作っている様子

引き継ぎ書の作成プロセス

引き継ぎ書は「何となく書き始める」と、情報が抜け漏れたり、後任者が理解しづらい内容になったりしがちです。作成に着手する前に“正しいプロセス”を踏むことが重要です。

業務の棚卸しからレビューまでの流れを押さえておくことで、網羅性の高い、実務で使える引き継ぎ書が完成します。

ここでは、誰でも高品質な引き継ぎ書を作れる3つのステップを紹介します。

業務内容の整理と洗い出し

最初のステップは、担当者が行っている業務をすべて棚卸しすることです。ここでの精度が、その後の手順や注意点の記載品質にも直結します。

■洗い出しのポイント

  1. 定例業務と不定期業務を分類する
    例:月次請求は定例、突発対応は不定期
  2. 年間・月間・週次のサイクルを明確にする
    例:毎月15日締め、毎週金曜に報告
  3. 関係部署や外部との接点も含める
    例:経理への報告、顧客への確認依頼
  4. 過去のメール・カレンダー・タスク管理ツールを確認する
    (本人も認識していなかったルーチンを掘り起こせる)

■洗い出し方法の例

  • Excelやスプレッドシートで「業務名・頻度・目的・関係者」の4列をつくる
  • カレンダーや実績データを見ながらタスクを書き出す
  • 同僚や上司にも「抜けている業務はないか」確認する

業務は本人が気づかないうちにルーチン化されていることが多く、第三者の視点での棚卸しが効果的です。

スケジュールの設定

引き継ぎ書の作成は、退職や異動の直前に一気に進めようとすると質が落ちます。適切なスケジュールをあらかじめ設定し、段階的に進めることが重要です。

■スケジュール設定の基本ステップ

  1. 引き継ぎ期限を確定する
    (退職日・異動日・休業開始日など)
  2. 逆算して作成スケジュールを組む
    例:
    – 4週間前:業務の洗い出し
    – 3週間前:初期ドラフト作成
    – 2週間前:レビュー
    – 1週間前:後任への共有・説明
  3. 後任者との引き継ぎ面談日を確保する
    後任者が質問できる時間を設けると、理解度が格段に上がる
  4. 業務の繁忙期を避けて作業する
    通常業務が忙しい時期と重なると、作成が後回しになりミスの原因に

■ポイント

  • 「できるだけ早く着手」が鉄則
  • 引き継ぎ書の作成は、退職意思を表明した直後から始めるとベスト
  • 後任者が未確定でも、できる部分から作成できる

ドラフト作成とレビュー

業務を洗い出し、スケジュールを組んだら、引き継ぎ書のドラフト作成に入ります。

■ドラフト作成時に意識すべきこと

  1. 後任者の立場で書く
    専門用語の説明、判断基準、頻度などを丁寧に記載
  2. 視覚的に理解しやすい構成にする
    – 箇条書き
    – 表の活用
    – フローチャート
    – 図解
  3. “抜け漏れチェックリスト”を用いる
    例:
    – 定例業務はすべて記載したか?
    □手順は再現性があるか?
    □リスクや特記事項は含めたか?

■レビューの重要性
引き継ぎ書は一人で完結させないことが品質向上のポイントです。第三者のレビューによって、抜け漏れや曖昧な表現に気づくことができます。

レビューを依頼すべき相手

  • 上司
  • 同僚(業務の流れを把握している人)
  • 後任者(決まっている場合)

レビューでチェックする観点

  • 読めば業務の目的・流れが理解できるか
  • 手順が具体的で再現できるか
  • 判断基準・注意点が明確に書かれているか
  • 不要な情報が混ざっていないか

レビュー後は、修正 → 再チェックを繰り返して完成度を高めていきます。

引き継ぎ書作成時の3つのポイント

引き継ぎ書は「業務内容をただ書き出せばよい」というものではありません。読み手である後任者が理解し、再現し、ミスなく業務を遂行するためには、作り方のルールを押さえておく必要があります。

引き継ぎ書の質を左右するのは次の3つのポイントです。ここを意識すると、読み手の負担が大幅に減り、引き継ぎの効率が向上します。

ポイント(1)MECEの原則を意識する

MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)とは、「モレなく、ダブりなく」情報を整理するための基本原則です。引き継ぎ書は多くの情報を含むため、この原則を取り入れることで以下の効果が得られます。

  • 抜け漏れの防止
  • 情報の過不足がなくなる
  • 読み手が全体の構造を理解しやすくなる

■MECEを引き継ぎ書に活用する例

  1. 業務の分類を整理する
    例:
    – 定例(毎日・毎週・毎月)
    – 不定期(必要時のみ)
    – プロジェクト(期限あり)
  2. 手順を段階ごとに並べる
    例:
    準備 → 入力 → 承認 → 提出 → フォロー
  3. 注意点を分けて書く
    例:
    – ミスが起きやすい点
    – 判断が必要な場面
    – トラブル時の対応

■悪い例(MECEになっていない)
「毎月の業務:請求書作成、顧客管理、申請書対応、顧客フォロー、チェック」
→ カテゴリが混在しており、抜け漏れが発生しやすい。

■良い例(MECEになっている)
【月次業務】請求書作成・売上集計
【随時業務】顧客の問い合わせ対応
【プロジェクト業務】新システム導入の準備

このように分類するだけで、引き継ぎ書の読みやすさは向上します。

ポイント(2)後任者の理解度に合わせる

引き継ぎ書は「自分が分かればよい文書」ではありません。読み手である後任者の立場に立って書くことが最も重要です。

■後任者に合わせた書き方のポイント

  1. 前提知識がどの程度あるかを想定する
    – 新入社員レベルなのか
    – 業界経験者なのか
    – 他部署からの異動者なのか
  2. 専門用語や略語は必ず説明する
    例:
    NG:「BPRは今月末までに対応」
    OK:「BPR(業務プロセス改善プロジェクト)のタスク対応」
  3. 「なぜその作業が必要なのか」背景も添える
    背景を理解することで、後任者は正しい判断がしやすくなる。
  4. “判断基準”を必ず書く
    例:
    ・顧客への返答は原則24時間以内
    ・5万円を超える見積もりは上長確認が必須

■後任者が理解できない典型例

  • 「ここは以前の担当者に聞いてください」
  • 「この辺りは慣れれば分かります」
  • 「この部分は臨機応変に」

これらは引き継ぎ書として問題のある書き方です。

ポイント(3)視覚的な工夫をする

どれだけ内容が正確でも、読みづらい引き継ぎ書は使われません。しかし、視覚的な工夫を加えることができれば、情報の理解・定着は向上します。

■視覚的工夫のポイント

  1. 箇条書き・表・図を活用する
    → 文章だけの引き継ぎ書は読み手の負担が大きい
  2. 重要箇所は強調(太字・色分け)する
    → 注意点が埋もれず、一目で確認できる
  3. 手順はフローチャートにする
    → 業務の流れが直感的に理解できる
  4. ファイル保存場所をリンクで示す
    → 後任者が迷わずアクセスできる
  5. 1ページが長くなりすぎないように章立てする
    → 読みやすさが大幅に向上する

■視覚的工夫の例

業務 手順 注意点
請求書の作成 売上データをアップ → システムに入力 → PDF出力 金額欄は自動計算ではないため目視チェックが必要

こうした構造にするだけで、引き継ぎ書の実用性は飛躍的に高まります。

引き継ぎ業務を効率化させる2つの秘訣

引き継ぎ業務は「退職や異動の直前に慌てて対応するもの」というイメージを持たれがちですが、本来は日常業務の延長として、普段から準備しておくべき仕事です。

多くの企業では、引き継ぎ書の作成が担当者の負担になり、期限ギリギリで作られることが少なくありません。その結果、抜け漏れや不十分な説明が発生し、後任者が混乱したり、業務が停滞したりします。

そこで重要なのが、次の2つのポイントです。

普段からマニュアルを用意しておく

引き継ぎ書は「業務の現状」と「担当者固有の暗黙知」をまとめた文書ですが、その土台となるのが日頃から更新されているマニュアルです。普段からマニュアルを整備しておくメリットやその内容、引き継ぎ書との役割分担などを見ていきましょう。

■マニュアルを整備するメリット

  1. 引き継ぎ書の負担が大幅に軽減される
    引き継ぎ書では「現状」「注意点」「例外対応」に絞れる。
  2. 業務の属人化を防げる
    日常的に業務が標準化され、誰が担当しても同じ品質を保てる。
  3. 新人教育・評価などにも転用できる
    組織の生産性向上にも直結する。
  4. 急な休職・体調不良時にも対応できる
    突発的な欠員にも強い組織体質になる。

■マニュアル化すべき内容の例

  • システム操作手順
  • 社内決裁フロー
  • 書類作成のフォーマット
  • 顧客とのコミュニケーションルール
  • 毎月の定例タスク

■引き継ぎ書とマニュアルの役割分担

文書 役割 内容
マニュアル 業務の標準化 手順・ルール・フォーマット
引き継ぎ書 現場の実情を反映した業務の橋渡し 現状・案件状況・注意点・例外処理

日常的にマニュアルを整備しておくことで、引き継ぎ書は“後任者のための最終調整”だけに集中できるようになります。

引き継ぎ書作成にはテンプレートを活用する

効率向上に向けたもう一つの鍵が、テンプレートの活用です。テンプレートを使うことで、以下の効果が得られます。

■テンプレートを使うメリット

  1. 抜け漏れを防げる
    書くべき事項が枠として用意されているため、品質が均一になる。
  2. 短時間で作成できる
    ゼロから構成を考える必要がなく、業務内容の入力に集中できる。
  3. 他部署でも統一フォーマットで運用できる
    組織としての生産性が向上し、後任者も見慣れた形式で理解しやすい。
  4. レビューもしやすい
    フォーマットが共通化されていれば、チェックポイントも明確。

■テンプレートに含めるべき項目例

  • 業務の目的
  • 業務の全体フロー
  • 定例業務・不定期業務
  • 使用ツール・書類の保存先
  • 注意点・リスク
  • 進行中案件の状況
  • 関係者一覧
  • 引き継ぎ完了チェックリスト

テンプレートがあることで、書き手も読み手も迷うことがなくなります。

■テンプレート活用の実務的な運用例

  • Googleドキュメントで共通テンプレートを用意する
  • 複数部署で使えるように「汎用版」と「部署別カスタム版」をつくる
  • 年に1回、総務・人事部でテンプレート改訂を行う
  • テンプレート内に“例文”を入れて参考にできるようにする

テンプレートを整備しておけば、急な引き継ぎにも即対応できる「強い組織」 をつくることができます。

まとめ

引き継ぎ書は、退職・異動・長期休暇など“担当者が変わる瞬間”に業務を止めないための重要なドキュメントです。単なるメモではなく、業務の全体像(Why)から手順(How)、注意点・判断基準、関係者情報までを整理し、後任者が迷わず自走できる状態をつくる「業務の設計図」といえます。

良い引き継ぎ書は、全体像が分かり、再現性が高く、暗黙知が言語化され、連携先が明確です。反対に、曖昧表現や更新不足、情報過多は混乱やミスを招きます。作成する際は業務の棚卸し → スケジュール逆算 → ドラフト作成とレビューの順で進め、MECEや読み手目線、視覚的工夫を徹底しましょう。

さらに、日頃からマニュアル整備を進めてテンプレートを標準化しておけば、引き継ぎは“イベント対応”から“平時の仕組み”へ進化します。引き継ぎ書を資産として蓄積することが「属人化に強い組織」と「安定した顧客体験」をつくる最短ルートといえます。

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