
生成AIで社内の「ムラ」を解決!業務効率化の秘訣と実践活用パターンとは?
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「アウトプットの品質にばらつきがある」「特定の業務が属人化しており、担当者が不在だと業務が滞る」「個人の持つノウハウが組織全体で共有されず、有効に活用されていない」。現代企業は、このような課題に直面しています。
そこで本セミナーでは、株式会社Workstyle Evolutionの池田朋弘氏に登壇いただき、これらの解決策として生成AIによる業務効率化を「ムラ・ムダ・ムリ」の3つの観点から解説いただきます。今回は特に「ムラ」(不均一性)の解消に焦点を当て、生成AIへの明確な指示(プロンプト)の重要性を解説。生成AIで実現する業務効率化の秘訣とは――? 実践的なアプローチが満載です。
目次
「3つのムダ」の概念
株式会社Workstyle Evolutionの池田朋弘氏(以下、池田):今回は「生成AIを活用した業務効率化」のポイントを、「ムラ・ムダ・ムリ」という3つの課題にしてお話したいと思います。
この「3つのムダ」とは、具体的には以下の通りです。

「ムラ(不均一性)」とは、個人ごとのスキルや経験の差により、アウトプットの品質やプロセスが不安定な状態を指します。
「ムダ(非効率性)」とは、人間がやる必要のない、またはとても非効率な作業が多い状態をいいます。
「ムリ(過負荷・能力不足)」とは、経験や能力の不足、あるいは絶対的なリソース不足によって、対応できない仕事や過剰な負担が生じている状態です。
今回は、このうちの「ムラ」に焦点を当て、生成AIがどのようにその解消に貢献するのかを深掘りしてみましょう。
「要件」と「具体例」を蓄積していく
池田:現在、多くの企業で、安定した品質やサービスを提供したいにもかかわらず、できる人とそうでない人の差が生まれています。生成AIはこのような「ムラ」を解消するための強力な手段になります。
生成AIの大きな価値のひとつは、これまで言語化されていなかった個人の経験や勘に基づく知識を、誰もが同じレベル感で作業を行えるように平準化できる点にあります。生成AIにプロンプト(明確な指示)を与えることで、高い精度で高品質なアウトプットを量産できるようになるのです。
この生成AIへの指示であるプロンプトの質が極めて重要です。多くのケースで、プロンプトが「~を作ってほしい」といった要望のみに留まり、具体的な方向性やイメージが不足していると思います。これは新卒社員に十分な情報を提供せずに丸投げする状況に近く、結果としてAIのアウトプットの精度が低くなってしまいます。
高精度なプロンプトを作成するためには、要望に加えて「具体例」と「抽象的な要件」を明確に提示することが鍵となります。
例えば、セミナー紹介文の作成依頼であれば、過去の具体例を示すことでアウトプットのイメージを共有し、さらに「タイトルには〇〇という単語を入れる」「リード文では『顧客の課題』に触れる」といった要件を言語化して加えることで、AIのアウトプットの方向性を大幅に高めることができます。
実際に私も、SNS投稿で生成AIを活用しています。使用するプロンプトは約1万2千文字にも及び、投稿するスタイルや要件、そして多数の過去の成功事例を詳細に定義して、毎回の投稿に活かしています。
質の高いプロントにしていくためには、「On-the-Job Prompting (OJP)」という概念を持って取り組むことをお勧めします。これは、職場内で実務を通じて行われる教育訓練を行う「OJT(On-the-Job Training)」のように、仕事を進めながら生成AIのプロンプトに良いアウトプットを追加していく手法です。
まず、参考となるベストなアウトプットをひとつ、自身で作成します。次に、それを「具体例」としてプロンプトに含めて、新たなアウトプットを生成させます。AIの最初の出力は完璧ではありません。人間が手直しして改善したものを「次の具体例」としてプロンプトに加えていくのです。
これを繰り返すことで、生成AIはより多くの具体例を学習し、徐々にアウトプットの精度を高めていきます。この方法は、作成したものをコピー&ペーストでプロンプトに追加するだけなので、現場の負荷をかけずに効率的に生成AIを教育し、プロンプトのレベルを上げていくことが可能です。

要件の言語化を支援する「リバースナレッジ」
池田:実際に、いざ生成AIへの「要件」を言語化しようとした時、「暗黙知(個人の経験や勘に基づく知識)の壁に阻まれ、データは大量にあっても言葉として説明することが難しい現状があります。
そこで有効なのが「リバースナレッジ」というアプローチです。これは、AIに大量のデータやアウトプットを与え、そこから共通する特徴や良い点、課題点などを抽出させることで、これまで言語化が困難だった仕事を明確にする方法です。
例えば、反応の良いSNS投稿だけを生成AIに分析させ、「以下のデータから、○○についての特徴を箇条書きでリストアップしてください」と指示します。すると、AIは「課題提起と解決策」「具体性と実践性」「読者の関心を引く工夫」といったポイントを言語化してくれます。

これにより、人間がゼロから考えることなく、AIの提案内容から重要なポイントを選択するのです。この手法は、SNS投稿だけでなく、営業提案書、採用面談ログ、社内チャット情報など、様々な一次・二次データから知見を抽出する際に有効です。
また、生成AIはコンテンツを作成するだけでなく、人間が作成したものを「チェック」するツールとしても有益です。例えば、生成AIに「以下の内容について、チェック観点で問題ないかを確認してください。結果は表形式で出力してください」と指示します。すると、あなたの上司の代わりにフィードバックをしてくれます。
現在、生成AIはテキストデータだけでなく、画像、音声、映像、ファイルなど、様々な形式のデータに対応できるように進化しています。これにより、現場の様子を録画した動画から良い点や改善点を抽出したり、営業のロープレの音声からフィードバックを得たりするなど、これまでテキスト化が難しかった領域でも、ムラの解消に貢献できるようになっています。将来は、文字起こしを介さずに、直接映像や音声からAIが状況を理解し、フィードバックを行うことも可能になるでしょう。
まとめ
生成AIを効果的に使うには、私たちの持っている知識や経験を言葉にすることが欠かせません。確立された具体例や要件は、コンテンツ作成だけでなく、品質チェックツールとしても活用でき、組織全体の品質をリアルタイムで担保する役割も果たします。
ばらつきがちだった社内のノウハウを誰もが使えるようにし、品質の「ムラ」をなくせば、組織内で個人の能力や経験が平均化し、アウトプットの質が安定します。その結果として、幅広い業務で「ムラ」の解消が期待されるでしょう。
(後編はこちらから)









